Martinu Sinfonietta Giocosa(ユーモラスなシンフォニエッタ)/
Toccata e Due Canzoni(トッカータと2つの歌) /
Sinfonietta La Jolla(シンフォニエッタ・ラホヤ)
(ジュリアン・ヤコブソン(p)/タマーシュ・ヴァーシャーリ/ボーンマス・シンフォニエッタ)


CHAN 8859 Martinu (1890-1959)

Sinfonietta Giocosa(ユーモラスなシンフォニエッタ)
Toccata e Due Canzoni(トッカータと2つの歌)
Sinfonietta La Jolla(シンフォニエッタ・ラホヤ)

ジュリアン・ヤコブソン(p)/タマーシュ・ヴァーシャーリ/ボーンマス・シンフォニエッタ

CHANDOS CHAN 8859 1990年録音

 「音楽日誌」(2014年9月)に素っ気ない言及有(反省しております)

ピアノ協奏的作品、「ラホヤ(ラ・ホッジャ)」(1950年)以外は正式な和訳さえ探せぬけれど、Bohuslav Martinu(1890-1959)はどれを聴いても期待を裏切らぬものばかり。彼の作品にはほぼ調性は付かないけど、けっして難解に非ず、擬古典的バロック風作品(1923-1940頃パリ時代)やら、亜米利加時代の交響曲もわかりやすい。作品はどの時代なのかわからぬけれど、どれもドキドキするほどクール!カッコ良い!ソロは初耳だったけど、英国の現役とのこと。往年の名ピアニスト(1933-)はすっかり指揮者となって、但しこのオケは1999年に解散しておりました・・・作品詳細情報わからんでも音楽は楽しめるけど、妙に不安です。
 哀れんでくださった旧知の読者より親切なメールがあって曰く、
Sinfonietta La Jollaはカリフォルニアのラホヤ(La Jolla)のMusical Arts Societyからの委嘱で作られたものですので、ラホヤが発音としては近いと思います。私も19年前に一度家族で行ったことがありますが、ラホヤはサンディエゴの北にある太平洋に面したリゾート地です。なかなか風光明媚なところですね。しゃれた街並で、メキシコに近いことから銀細工の店が多くあります。値段も手頃でしたね。

La Jolla Musical Art Societyは夏に音楽祭を行っています。今年のプログラムは↓
http://www.ljms.org/SummerFest-2014/SummerFest-2014/SummerFest-2014-Performances.html

マルティヌーは管弦楽曲でピアノをオブリガートとして使うのが好きですよね。この曲はコンチェルトみたいな曲ですけど、オブリガートとしても使っていますね。ピアノが彼の管弦楽曲に独特の風合を与えているように思います。コープランドもピアノオブリガートが好きですけど、コープランドとマルティヌーはタングルウッドで一緒に仕事をしてるんですよね。

 ・・・なるほど。Bohuslav Martinuは多作であって、けっこう好きなんなんだけど、系統的な拝聴に至っておりません。せいぜい交響曲くらい?もう30年ほど前か、どこか欧州の音楽祭にてMartinuの室内楽的作品を集中的に取り上げて、バロック風の旋律リズムをとても気に入りました(ピアノ・オブリガートが素敵だった)やがて幾十年、未だにその作品に再会できません。このCDの和訳もエエ加減なもの、Giocosaって喜歌劇なんかに使われるから(いちおう)「ユーモラスな」としました。滑稽とか、喜びみたいな意味もあるそう。Sinfonietta La Jolla(シンフォニエッタ・ラホヤ)は、大昔怪しげ廉価盤を聴いておりました。(気まぐれで、リリカルで、ユーモラスな旋律の宝庫。切り詰められた響き。木管のおどけるような高音で飛躍する旋律から始まって、まるでピアノ協奏曲のようにピアノが活躍します。朗々としたトランペットも美しい。こんなマイナーで素敵な音楽、と)もちろん処分済。

 Sinfonietta Giocosa(ユーモラスなシンフォニエッタ)は、小編成管弦楽+ピアノ(協奏曲というより対等な関係)による擬バロック風?4楽章編成、30分ほどの作品。第1楽章「Poco Allegro」はMozart の短調交響曲風わかりやすい旋律、ぎくしゃくとほの暗く、わずかにユーモアを感じさせるもの。勇壮とか優雅とは無縁、どの楽章も淡々と無表情なリズムを刻みます。第2楽章「Allegretto poco moderato」、第3楽章「Allegro」も皆似たような風情、不協和音にどんどこ崩れて不安げ、ピアノは時に浮き立って自在な乱入を試みるけど、基本リズムは着実な歩みなんです。管弦楽が主体の時は、ピアノが必ずシンプルにオブリガートする、といった風情。

 第4楽章「Andantino (Moderato) - Allegro」は静謐な哀歌のような弦から始まって、闊達なピアノとの掛け合いが明るい。旋律は平安、難解晦渋の欠片もないもの。ラスト延々とピアノ・ソロが続くけれど、それは特別ヴィルテゥオーゾを強調するようなものに非ず、乾いて叙情的なもの。ラスト、例の如しオケとピアノの愉しい、ユーモラスな掛け合いで締め括りました。

 Toccata e Due Canzoni(トッカータと2つの歌)は急-緩-(緩)急のシンフォニア風、は計26分ほど。Toccataは暗く不安げなオケの細かい音型に+ピアノが低音で静かにオブリガート、やがてリズムを維持したまま徐々に旋律が発展し、トランペットを口火に喜ばしく爆発!といったところ。執拗にシンプルなリズムを繰り返すのはパターンでしょう。Canzone No. 1「Andante moderato」は静謐かつ優雅な愛の歌、といったところ(金管抜)、Canzone No. 2「Allegro (poco) - Adagio」は不安な叫び〜暗い詠嘆がしばらく続いて、やがて(例の)シンプルなピアノ打鍵に導かれてテンポ・アップ、細かい音型の繰り返しは、やはり擬バロック風でしょう。あちこち花火を散らすような華やかな散発もあって、やがて安寧に眠るように収束していく・・・

 Sinfonietta La Jolla(シンフォニエッタ・ラホヤ)は以前書いた通り、木管のおどけるような高音で飛躍する旋律から始まって、各パートは同じシンプル音型を受け取って繰り返します。ブランデンブルク協奏曲第3番をちょっぴり思い出しました。(第1楽章「Poco Allegro」)前2作品より、祝祭的雰囲気に溢れ明るく、躍動する爆発が続きます。第2楽章「Largo - Andante moderato」は幻想的であり、オーソドックスな緩徐楽章、前半は弦のみ、ピアノもほとんど散発的な登場のみ。後半オーボエ、フルート、ホルンが色彩を加え、力強く盛り上がります。

 終楽章「Allegro」は軽快にステップするようなリズム。ちょっぴり不安げな陰影も有、熱気を帯びてノリノリに躍動、力強く闊達な風情に充ちました。ピアノのシンプルなオブリガートは効果的であって、やがて平明優雅な歌にテンポダウンを経て、賑々しいフィナーレとなりました。(Coplandを連想しました )

 どれも名曲。ヴァーシャーリ率いるボーンマス・シンフォニエッタは文句ない充実したアンサンブル。こういった作品でのピアノ・ソロは逆に存在感が難しいことでしょう。両者のバランスや音質になんら不満はありません。

(2014年10月4日)


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written by wabisuke hayashi