Bach マルコ受難曲(グッドマン)/ルカ受難曲(レーム)
マルコ受難曲 BWV247(ハイス博士による再編版)
グッドマン/フィンランド・リング・アンサンブル/ヨーロッパ・ユニオン・バロック管弦楽団 BRILLIANT 99049(2枚組) 録音年不明 J.S.Bach ルカ受難曲 BWV246 レーム/チュービンゲン・コレギウム・ムジクム室内管弦楽団/バリンゲル・カントライ(読み方いい加減)
イェルデン(t)/シャイブル(b)/レーマン(s)/シュミット(s)/クンストラー(a)/ニコルソン(t)/ヘルリッツ(b) 「マタイ」「ヨハネ」「ルカ」「マルコ」の各受難曲をまとめたBOXのひとつ。全部合わせて8枚で$15.92。berkshire record outletにて。日本ではもっと格安で買えるはず。 ワタシ、どんな演奏でもたいてい楽しみを見出しますし、これがオペラや声楽系となると演奏の良し悪しなどトンとわからない。バッハは好きですしね、もうどんなんでも感動してしまう。「マタイ」「ヨハネ」辺りはまだ回数聴いている分、感想もないではないのですが、「ルカ」「マルコ」はさすがに珍しくて、なんとも言いようがありません。解説も何もないのは、こういう曲の場合マズイかもしれません。でも、この価格ならばすべて許す。 「マルコ受難曲」は、LP時代にエラートの廉価盤で持っていました。(演奏家も曲も何も覚えていない)解説はおぼろげに記憶していて、「歌詞だけが残っていて、既存のBach の作品からそれに合う旋律を借りて再編した云々」となっておりました。LPは一枚で、このCDは2枚ですからきっと違う版なのでしょう。 ハノーヴァー・バンドでお馴染みのグッドマンの指揮であり、古楽器による新しい録音です。このCDは音源の出典が書いていないけれど、どこかで見たことがありますね。曲の雰囲気はバッハそのもので、牧歌的な雰囲気、美しい旋律の連続です。古楽器の素朴で粗野な音色が魅力的で、声楽も(とくに合唱の透明なこと)高い水準と思います。 学術的な意義に止まらない、日常聴くに値する名曲で感動的です。適度な奥行きが明快な録音も出色。 「ルカ受難曲」は、たしかバッハが演奏したことはあるが、別の人の作品だったはず。ま、当時は著作権なんか曖昧で、バッハもずいぶんアチコチから曲を借りているらしいから(ヴィヴァルディなんかうんと有名)、いいじゃないですか。大バッハのお眼鏡にかなった曲なんですから。 と、云いながら、ほかのBach 作品に比べると、さすがにどうも霊感に乏しい感じ。旋律が生真面目というか、素直すぎるというか。けっして凡作ではないですが、例えば「マタイ」の冒頭の合唱が幾重にも折り重なって、怒濤のような感動が押し寄せてくるような、そんな世界じゃないんですよ。もっと素朴で普通の作品。「マタイ」と同じコラール旋律が聴かれます。 現代楽器による演奏で、ちょっとオフ・マイクで残響過多気味。雰囲気はありますが、アンサンブルの緊張感は足りないと思います。なんとなく違和感を感じるのは、使用楽器のせいばかりではないでしょう。ちょっと身振りが大きくて、やや昔風演奏スタイル。 厳しいことをいいましたが、そんなヘタクソな、聴くに耐えない演奏ではありません。貴重な価値ある録音にまちがいはありません。良い勉強になりました。
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