Mahler 交響曲第7番ホ短調
(オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)


EMI TOCE3233 Mahler

交響曲第7番ホ短調

オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

EMI TOCE3233 1968年録音

 いつもの如く愚にもつかぬド・シロウトの【♪ KechiKechi Classics ♪】な日々。ほんまは日曜のマチネ、名古屋繁華街の立派なコンサートホールに出掛ける元気が出ません。Mahler交響曲の生体験も残すところ第4番ト長調、第10番 嬰ヘ長調(できればCook版全曲希望)そしてこの第7番ホ短調、ほんまは初生体験の予定は先延ばし。

 せめてOtto Klemperer(1885ー1973独逸)の録音でも聴いておきましょう。この人、Mahlerの高弟だったのに、人気の第1番とか第5番、第6番の録音がありません。(第8番も)人気の低い第7番には特異な個性を刻んだ録音を残してくださいました。かつて見たことがないほど大曲風、音質も悪くないと思います。

 第1楽章 「Langsam (Adagio) ゆるやかに Allegro risoluto, ma non troppo」テノールホルンの生暖かい音色はなんとも締まりない、なんとも落ち着かぬはずが、たっぷり堂々重厚な怪しい風情、増量中な演奏であります。この楽章はいったりきたり、まとめにくい楽章と思うけれど、慌てず地に足をしっかりつけて歩みは盤石であります。このテンポ、重さ遅さ、ほとんど30分に及んで第1楽章からいつになく大曲の風格が漂います。(27:53)。

 第2楽章 「Nachtmusik 夜曲 I. Allegro moderato」。ここからはこの作品の白眉3楽章分連続。「夜の歌」表題は第2第4楽章から来ているのですね。ここもテンポ遅っいなぁ、いつまでも終わりまへんで(22:12)。ホルンは気持ちよく朗々と歌ってますよ。親しみやすい旋律はいくらでもセクシーに仕上げられそうなところ、クール着実にしっかりとした”重い”足取りは「夜の行進」なんだそう。

 第3楽章 「Scherzo. Schattenhaft 影のように」は流したような間奏曲?”影のように”とは言い得て妙、さらりと流した演奏でも良いと思うし、事実ここが一番短い楽章。クレンペラーはアクセントしっかり、隈取はっきり怪しくうごめくように味が濃い。バルトーク・ピチカートも衝撃的。フィルハーモニア管弦楽団って清廉なサウンドと思うけれど、クレンペラーだと様子が違うようです。(10:29)

 第4楽章 「Nachtmusik 夜曲 II. Andante amoroso」悩ましいヴァイオリン・ソロから始まる「夜の歌」、ホルン、木管と牧歌的な旋律が続いてギターも登場、ほんまもんのセレナードでっせ。まるで小舟が静かに揺れるようにノンビリ、妖しいひととき。名曲でっせ、ここもクール・デリケートな仕上げなのにたっぷりセクシーやなぁ、そして音楽がとても大きい。(15:49)

 第5楽章 「Rondo-Finale. Allegro ordinario」ここのノーテンキぶりは、せっかくの前3楽章陶酔をすべてぶち壊ししてまう残念な楽章。クレンペラーはここに焦点を当てて、仰け反るほどテンポは遅く、歩みは盤石であります。オーケストラは朗々と鳴り渡ってクール、微速前進に慌てない、安易に走らない。イライラするくらい盛り上げを意図しません。やはり前楽章との違和感は相当なもの、いったい全部でどれだけ?CD一枚に収まらぬ重量級交響曲に至りました。(24:30)

(2020年1月19日)

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written by wabisuke hayashi