Mahler 交響曲第5番 嬰ハ短調
(ダニエレ・ガッティ/ロイヤル・フィル)


RCA 75605513182 Mahler

交響曲第5番 嬰ハ短調

ダニエレ・ガッティ/ロイヤル・フィル

RCA 75605513182 1997年録音

 Daniele Gatti(1961ー伊太利亜)はコンセルトヘボウを首になって、現在はシュターツカペレ・ドレスデンの首席に復活して活躍しているらしい。彼はは1996ー2009年ロイヤル・フィル音楽監督在任。四管編成+8種の打楽器+ハープという大編成作品、これぞ近現代管弦楽デーハーな精華、第4楽章「Adagietto」静謐な官能が大人気な作品、第3楽章「Scherzo」ホルンの躍動も大好きです。発売当時から世評は高く、自分もロイヤル・フィルの金管を絶賛しておりました。音質はクリアそのもの。

 第1楽章「Trauemarsch. In gemessenem Schritt. Streng. Wie ein Kondukt.(正確な速さで。厳粛に。葬列のように)」前作交響曲第4番に出現したトランペット旋律が主役になって冒頭骨太な存在感、カスタマーレビューには「シカゴのハーセスを上回る」などの声もあるけれど、それは音色や個性の違い、嗜好の問題でしょう。たしかにロイヤル・フィルの金管の威力は壮絶。そして36歳当時若手の表現はじっくりたっぷり歌って粘着質に非ず、テンポは動いても清冽雄弁に疾走してパワフル、それは恣意的なものを感じさせぬ有機的な流れと感じます。(13:09)

 第2楽章「Sturmisch bewegt. Mit grosster Vehemenz. (嵐のような荒々しい動きをもって。最大の激烈さをもって)」心持ち速めのテンポ、オーケストラは鳴りきって迫力たっぷりに揺れ動くけれど、暴力的な重さに非ず。金管も弦も若々しいエネルギーに充ちて、デリケートな抑制部分も効果的な対比表現でした。(14:18)

 第3楽章「Scherzo. Kraftig, nicht zu schnell.(力強く、速すぎずに)」ここが一番好きなところ。明るいホルン・ソロが爽快なスケルツォ楽章。しみじみ上手いもんですよ。優雅なワルツを曖昧さなく歯切れよろしく、しっかりリズムを刻みます。後半の焦ったようなテンポ・アップ、ホルツクラッパーの効果はリアル、それが際立つクリアな音質。(17:23)

 第4楽章「Adagietto. Sehr langsam. (非常に遅く)」ここは弦とハープによる躊躇いと官能の吐息。寄せては返す情感の揺れ、肌理細かくもデリケートな仕上げでした。ロイヤル・フィルの弦は洗練されて美しい。(10:13)

 第5楽章「Rondo-Finale. Allegro giocoso(アレグロ・楽しげに)」冒頭のホルンは第3楽章とは雰囲気変わって牧歌的。優しい旋律が滑るように進んで、上機嫌なフィナーレが始まりました。ここは前楽章との雰囲気が違い(明る)過ぎて時に違和感のある演奏に出会うこともあるけれど、抑制した表現に移行はスムースでした。快活に清潔なキレを感じさせて、強引さとか力みなき爽やかさが続きました。(15:00)

(2025年6月7日)

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written by wabisuke hayashi