Mahler 交響曲第4番(リム/ヤナーチェク・フィル)
Mahler 交響曲第4番ト長調 ピョン・ヨン・リム/ヤナーチェク・フィルハーモニー/ヘー・スン・キム(s) JFO 0006-2 録音年不明(DDD) 250円(中古)で購入 Mahler の第4番は難しい作品だと思います。メンゲルベルクなどの例外はあるが、あまりに個性的、強烈に演奏するような曲でもないし、かといってフツウにしすぎてもツマらない。馬力と厚みのあるオーケストラが必ずしも成功するわけじゃない。でも、オーケストラのやる気のなさはモロに出そうですね。第4楽章のソプラノには清楚を求めたいが、これがなかなか上手くいかないんです。(バーンスタイン盤のボーイ・ソプラノも成功とは言い難い) ワタシの勝手な望みでは、中低音が暖かくて過剰な艶のない、表には出ていないが、じつは名人集団の余裕のワザで楽しみたいもの。なにもしていないようで、じつは微細なワザが〜隠し包丁、または隠し味ののような〜あちこちと・・・これはコンセルトヘボウや、バイエルン放響が念頭にあるんです。 ヤナーチェク・フィルはチェコ共和曲オストラヴァのオーケストラとのこと。あまり録音はありませんが、こういうCDを見つけると看過できないワタシの性格。しかも、隣国・韓国の指揮者(祖国では中心的な存在とのこと)とソプラノ、自らの作品である「EARL」(意味わからず。伯爵か、人の名前か?)も入ってたっぷり71分。録音年が見つけられないが、キムの生まれが1981年だからごくごく最近でしょう。音質良好のスタジオ録音でした。 アンサンブルがしっかりとしていること、ぽってりとした豊満さもあるし、意外と好演でした。だいたい、この辺り(=中欧)の地方オーケストラは似た感じがあって、洗練されないが、少々泥臭くって、素朴な味わいがある。暖かくて、しかも厚みもあるんです。この曲には、精緻で神経質な演奏は必要ないでしょ。 キムの歌声は一つの理想だと思います。この色気のなさ、ヴィヴラートも少なくて、むしろ力強い線の太さを感じさせます。でも、それがいかにも飾りのない若々しさをストレートに表現していて、ある意味メルヘンなこの作品にピタリとハマりました。まだ化粧っけもなくて少々イモだけれど、じつはこれから磨いてどんどん美人になっていく、そんな予感の歌声。 たとえば、第4楽章冒頭のクラリネット・ソロがどれだけココロに染みるか、それが問題なんです。この安らぎ、控え目な表現、鋭く鳴りすぎない金管。心静かに、いつまでも鈴の余韻を楽しみたいもの。
交響詩「EARL」は、ちょうどJanacekの「シンフォニエッタ」に雰囲気が似ています。映画音楽のような親しみやすい、民族的な音階も登場する佳曲でした。(2002年2月25日)
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