Mahler 交響曲第1番/R.Strauss 「変容」
(オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ドレスデン)
Mahler
交響曲第1番ニ長調「巨人」
R.Strauss
変容
オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ドレスデン
EDEL 0002612CCC 1962/66年録音 10枚組4,680円で購入したウチの一枚
オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ドレスデンによるMozart 交響曲集は、後にBOXで再購入いたしました。それに含まれていたのがこの一枚。LP時代DGの廉価盤で出ていたような記憶もあります。Mahler 作品はお気に入りで「安く見掛ければ無条件に購入!」的作品なので、手許にどれほどあるのか?数えるのも怖いような状態。このドレスデン(このオーケストラのMahler は珍しい)との一枚は、すっかり失念していて偶然(拙CD棚より)発掘したもの。
いえいえ「第5番が素晴らしい!」とのサイト記事を拝見して、あれ?持ってたっけ?と探したらMahler は一枚だけあった、ということです。聴き進むウチ、これは普段馴染んでいるMahler とは、ずいぶんと色合いが違うもんだと感心しましたね。非常に地味で、ソフト、やや内省的表現か。正直、個人的には全面賛同!迄たどり着けません。でも、個性的で聴きどころはたくさん有。「これを探していた!」と言う人もいらっしゃると類推されます。
第1楽章、青春の憧れがジンワリ奥深い響きで、控えめに表現されます。この若者はやや老成しているようでもあり、はにかみが過ぎるとも〜閑話休題、弦も木管もホルンも、ドレスデンの微細な色合いの変化が楽しめて期待させる始まりです。第2楽章も、かっちり几帳面にリズムを刻んで端正+ティンパニの楔(とても効果的)、ホルンの奥深い叫び(出てくる度感心するばかり)、透明なる木管が・・・と基本第1楽章と同じですか。中間部の弦+木管のワルツも優雅でした。
ところが第3楽章は妙に大人しすぎて、変化が少なくてツマらない。ここのキモは急なテンポ・アップだと(これは思いっきりやっていただきたい)思うけど、ほとんど動かない。盛り上がりが足りない。やる気なし、みたいに聞こえます。なんだ、つまんえねぇの・・・という雰囲気を引きずったまま終楽章へ。
終楽章って、どういう表現が望ましいですか?いや、もう正直に思いっきり泣き叫んで激情の限りを尽くして・・・というのも悪くない。(少々聴き疲れするが)スウィトナーは著しい抑制方面でして、これほど金管が目立たない、おとなしい地味な演奏も珍しい・・・と油断していたら、最後の最後で大爆発!〜ティンパニのアクセントが思いっきり強烈で、かつて経験したことがない迫力。文句なくカッコいい。金管も満を持してそれに呼応しました。
Mahler って、実力あるオーケストラで硬派軟派いずれ余裕の演奏に馴染んでいるが、ワタシが最近好む「地味渋系」とも異なる「内省系」演奏か。ドレスデンの涼やかな響きは楽しめるが、それが全面的に「新しい『巨人』像」みたいな成果は上がっていないかな、との感想です。
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「変容」(メタモルフォーゼン)は、R.Strauss晩年のワタシ(珍しく)お気に入りの作品。人生の諦観みたいなものがひしひしと伝わるじゃないですか。この作品をそうそう多様に聴いているわけではないが、おそらくは弦の柔らかくも涼やかな魅力全面開花の演奏です。練り上げられ、溶け合い、ゆったりと歌い交わすアンサンブルの妙。刻々と変化する各パートの表情の豊かさ。ニュアンスの肌理細かさ。落ち着いた地味な味わい。流れの自然さ。込み上げる情感の深さ・・・
こちらには文句などありません。(2004年8月18日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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