Mahler 交響曲第 1番(岩城/札響’88ライヴ)


Mahler

交響曲第 1番ニ長調「巨人」

岩城 宏之/札幌交響楽団

1988年11月15日 北海道厚生年金会館ライヴ  FM放送からのエア・チェック・カセット〜MDへ

 中学一年生の時だったと思うが、ワルター/コロンビア響の「巨人」には心底感銘したものです。(いまとなっては)懐かしい青春の痛みが充満していたようであり、Mahler の他の作品とは別格の思い入れがあります。CD時代になってから、その演奏は聴いておりません。「自分の思いが単なる勘違いだったら・・・」という恐れがあるんです。でも、いつかは聴いてみたい。

 日本を代表する名指揮者=岩城さんとは子供時代からの馴染みだし、中学生時代にN響のライヴも聴いたことがあります。(演目は忘れてしまったが〜アンコールのEnescu「ルーマニア狂詩曲」のみ記憶がある)この録音は1990年前後にエア・チェックしたものだと思うが、この曲を初めて聴いた頃の感激が蘇りました。

 札幌で18歳まで過ごしたワタシにとっては、札響は特別な存在。ペーター・シュヴァルツも数回聴いています。Brucknerの第7番は彼の演奏で初めて聴いたはずだけれど、なんやらよくわからんかったのが正直なところ。それでも一種熱気が満員の会場(たしか市民会館)に充満していて、いつまでも拍手が鳴り止まなかった記憶もあります。

 驚くべきはオケの響きの美しさでしょう。繊細で奥行きのある弦、色気のある透明な木管(とくにオーボエ)、全体としてよく整ったアンサンブル。金管は最終楽章で少々疲れが見えるが、充分な迫力でした。岩城さんと言えば、若い頃の爆発的な元気の良い迫力がイメージされるが、むしろ抑制が利いています。

 迫力に不足はない。スッキリとした印象が全体を支配するが、テンポはそれなりに揺れていて、第3楽章の葬送行進曲の途中で急にテンポ・アップするじゃないですか。あの対比も存分だし、しかも数回登場する似たような場面では最後のみ極端にテンポを変える配慮もある。つまり、細部への微妙なニュアンスへの配慮があって、Mahler の甘く切ない旋律をていねいに、ていねいに歌ってくれます。

 テンポは適切だと思うが、けっして急ぎません。終楽章も騒ぎ過ぎなくて、満足感が高い。この曲は大好きだから7・8種のCDは買っていると思うが、切ない気持ちにさせてくれる演奏は滅多にないもんです。


 74分収録のMDには21分の余白が出来ました。「この時間にピタリとはまる録音は?」とカセットをひっくり返すと、こんな録音が目に付きました。

Stravinsky

バレエ組曲「火の鳥」

ヤンソンス/オスロ・フィルハーモニー

1993年8月8日 ザルツブルグ・ライヴ

 ワタシのカセット400本の在庫は、最盛時1,000本を越える在庫のなかから厳選し残したもの。安物カセットだけれどエア・チェック(この言葉自体が死語か。ワタシなりの)技術の粋を集めた優秀録音(のつもり)です。(イタリア辺りのブート・レグとは水準が違う)

 この演奏、ライヴとは信じられないくらい整ったアンサンブルで、当時の評価の高さを証明します。繊細で、透明で、自信に満ちあふれていて、技術的な不安はまったく存在しません。メリハリの対比、切れ味はさすがだけれど、ロシア方面の脂ぎったエネルギーの高さ、とは異なります。もっと洗練されている。

 ここから先はワタシの勝手な感じ方だけれど、妙に冷たくて表情が乏しい印象を受けました。(ブーレーズの研ぎ澄まされた明快さとは意味合いが異なる)「火の鳥」ならこの演奏でも充分満足できるが、Mahler とかBruckner、いやBEETHOVEV辺りでは、このオケの響きではきっと不満が出るだろううと想像されます。(2001年11月16日)


 

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written by wabisuke hayashi