Jsquin Desprez ほか「マニフィカト」
(マデルナ/南ドイツ放送交響楽団/合唱団)


ARKADIA CDMAD018.1
Josquin Desprez (マデルナ編曲)
4声のマニフィカト

Bach
マニフィカト BWV243a

Stravinsky
Bach 「高き天より私は来て」によるコラール変奏曲

Giovannni Gaburieli(マデルナ編曲)
モテト「いと高く祝福された主」

グラーフ(s)ラウリッヒ(con)アダルベルト・クラウス(t)ショッパー(b)
マデルナ/南ドイツ放送交響楽団/合唱団
(1971年10月28日ザールブリュッケン・ライヴ)

ARKADIA CDMAD018.1  300円で購入

 ブルーノ・マデルナのライヴ・シリーズではMahler の大物を最初に文書にしてしまいました。でも、あれは彼のCD中でも音質の悪いほうに属していて、ここでは意外と良好なんです。やはり声楽はよい音の状態で聴いたほうがわかりやすいと思います。このCD、一回分の演奏会でしょうか。

 Josquin Desprez は(1440-1521)だから、ワタシの縄張りから外れるような少々昔過ぎる作曲家。でも、「岡山ポリフォニー・アンサンブル」の演奏会に行くようになって、ナマのア・カペラを聴いちゃうと「人の声の偉大さ」に息を飲むばかり。ま、なにがなんやら歌詞の意味合いもわからんが(「私の魂は主を崇め」〜って、神々に対する人並みの畏敬の念はあるつもりだけれど、基本的に無宗教のワタシ、でも)心が浄化されていくような、静謐な感動があります。(懺悔すべきことはいっぱいありまっせ)

 マデルナの編曲では「静謐」から少々遠くて、多彩で(派手とも言う)朗々たるフル・オーケストラが華々しいし、合唱も力強い。ま、旋律はそのままなんだろうけど、古臭いセピア色の写真が、いきなり大画面の極色彩巨大画面映画になったようなもんで、金管木管にハープ+鐘+オルガンまで加わって圧倒されます。懐かしい旋律が効果的に浮かび上がって、ド・シロウトのワタシには楽しめました。(ワン・パターンで恐縮だけれど、ストコフスキーのBach を連想させます)

 有名なBach の「マニフィカト」は、ややユルめで大味かな?(昔風か)途中のテンポ設定が妙に遅かったりして「?」な部分もあるが、オーケストラも声楽も生き生きしていることは保障します。ライヴならではのアンサンブルの粗さもないわけじゃないが、ビックリするような特別な仕掛けはありません。(と、思う)これは最近、古楽器系のスッキリ軽快な演奏ばかり聴いているから、そう感じるのかも知れません。クリスマスが近いとこの曲は聴きたくなる。


 Stravinskyはわりと有名なBach の編曲です。これはもの凄く雄弁で、わかりやすい。そして楽しさ百倍。シンプルな下降線の合唱旋律に、ハデハデしくも細かい木管、金管(トランペットが朗々と!)がバリバリ絡みついて、変奏されていく楽しさ。なんとなく宗教とは禁欲的でストイック、控えめな印象もあるが、カトリックの本場・イタリアでは大騒ぎでステーキ食っているかのような量感が溢れてしまう。リズムの改変はジャズのベースを連想させます。

 Gaburieliは金管合奏のための作品が有名で、ワタシもCD数枚所有。イタリアらしからぬ、少々哀愁味漂う旋律はお馴染みで、いつも通り魅力的。合唱は入っていないが、原曲ではモテトらしい。切々と歌うフル・オーケストラにヴァイオリン・ソロの「泣き」が絡みます。ずいぶんと色彩は華やかだけれど、敬虔な味わいは失われなくて、このCD中でもベストを争う聴き応えでした。

 こんな演奏会やって、宗教的なバックのある観客はどう聴いたのでしょうか。Bach の「マニフィカト」はオリジナルだけれど、ほかの編曲も素直に楽しんだのでしょうか。(拍手収録されず)オーケストラも合唱も上々の出来で、演奏水準に不満はありません。(2001年12月21日)

 


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