Mahler 交響曲第7番ホ短調「夜の歌」(マデルナ/ウィーン交響楽団)Mahler 交響曲第7番ホ短調「夜の歌」 マデルナ/ウィーン交響楽団 HUNT HUNTCD 547 1967年録音 $1.99にて購入 ブルーノ・マデルナは現代イタリアの作曲家で、1973年に53歳で残念ながら亡くなっています。1970年には来日していた由。意外と録音が残っていて、もう少し長生きしてくれればブーレーズ並の人気になっていたかも。レパートリーの広くて、おそらくMahler は得意だったはずで、この曲もRAIミラノ響との録音(1974年)が存在します。 こういうのは録音水準が重要でしょう。これはあまり芳しくなくて、音の粒子が粗すぎる感じ。それでもそう聴きにくい音ではない。ま、本場イタリアのCDだから、海賊録音(おそらく放送からか?もちろんライヴ)の可能性も高いんです。わざわざMahler を状態の悪い音質で聴かなくても良さそうなものだけれど、この不人気曲はワタシ、お気に入りなんです。 ワタシは(以前にも書いたけれど)濃密な夜の怪しい雰囲気が、霧のように広がる演奏が好ましいと思っております。ロスバウトなんかが代表例だけれど、マデルナはずいぶんと異なりました。変化もあるし、楽しい。そして明るい。ウィーン交響楽団はいつになく快調です。 全体として躍動感があり、いきいきとした表情でよく歌う演奏。この曲の白眉は第2楽章「セレナードT」第3楽章「スケルツォ」第3楽章「セレナードU」で、この部分をこれほど楽しげに、アツく演奏してくれるのもの珍しい。なぜ「夜の歌」かというと、この「セレナード」からきていて、ギターとかマンドリンがいかにも「窓辺で歌う、愛の歌」っぽい感じを表現しているわけ。 「セレナードT」冒頭のホルンからして、思わせぶりで節回しが独特なんです。つぎつぎと絡んでいく木管の構造が、これほど明快になっているのも初体験。いかにもイタリア風の歌心に溢れていて、Mahler の美しい旋律を楽しんでいるような演奏でした。次の「スケルツォ」が、かつて聴いたことがない快速で、印象一変。せわしくなく、切迫した味わいがなんとも不思議で、この楽章が細かい音の断片でできあがっているかのような錯覚に陥ります。(ウィーン交響楽団、かなり頑張っています) 「セレナードU」は、マンドリンやギター(異常に音が大きいので、拡声しているのか)に乗ってマデルナ本人の歌も聞こえました。よくテレビの宣伝に出てくるような、ヴェニスの船に揺られてイタリア民謡を歌うようなところか。切々とした旋律が、これは美しく表現されていて出色の楽章。 すべてをぶちこわしてしまう(はず)のノー天気「フィナーレ」。むしろ抑制気味で、テンポ、強弱をつぎつぎと変えていって、いつになく「聴かせる」音楽になっているのは、作曲家・マデルナの手腕か。なんとなく雑然とした楽章ではあるが、かなりわかりやすく整理されて楽しめました。 マデルナはあと10枚ほど手に入れているので、楽しみはまだまだ続きます。(2001年10月12日)
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