Mozart 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(抜粋15曲)
ヨーゼフ・クリップス/ウィーン・フィルハーモニー


SEEM(英DECCAの海賊盤)

Mozart

歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(抜粋15曲)

ヨーゼフ・クリップス/ウィーン・フィルハーモニー/ウィーン国立歌劇場合唱団/シエピ/ダンコ/デルモータ/ベーメ/デラ・カーザ/コレナ/ギューデン/ベリー

SEEM(英DECCAの海賊盤) 1955年録音(ステレオ)

 エーリヒ・クライバーの「フィガロ」と並んで、英DECCAが「モーツァルト生誕200年記念」で録音したもののはず。もう歴史的録音の範疇でしょうが、ちゃんとしたステレオ録音だし、(ワタシみたいな歌方面に暗い人間でも)なんか有名そうな、往年の豪華な歌手が揃っていて貴重な録音。じつはこのCD、「序曲」が入っていなくて残念賞だなぁ、と思っていました。ところが1999年6月頃に、岡山市立図書館で借りたCDに(ヨーゼフ・クリップス/IPOの「ジュピター」「ハフナー」)この序曲がオマケのように付いていたんですね。

 で、カセットにCDからの序曲と15曲の歌を合体して、続けるようにしてみました。(余白には、初めて聴いたIPOとの「ハフナー交響曲」を収録)これが、朝食時のラジカセからのBGMやら、ドライブのお供には最適。さすがのワタシでも知っている旋律ばかりですしね。根性なしでも、CD一枚分ならなんとか最後まで楽しめます。

 ヨーゼフ・クリップスの音づくりはいつものように、バランスが取れ、力みのまったくないもの。冒頭がら異常なる劇的緊張感が横溢する、フルトヴェングラー盤とは大違い。ウィーン・フィルとの相性抜群で、もうこんなやさしい音楽は消滅してしまったかもしれませんね。それに、シエピといえば一世一代のドン・ジョヴァンニの当たり役、デルモータのドン・オッターヴォはフルトヴェングラー盤と同じ配役・・・・な〜んて、知ったか振りして本当は本で読んだだけなんすよ。(CDも持ってました)

 オペラ通の方には笑われるかも知れないけれど、ベーム盤(1967年プラハ)が手元にあって、フィッシャー・ディースカウ/シュライヤーのコンビと印象がずいぶんと違う。シエピのほうが、いかにもスケベそうで色気があるじゃないですか。有名な「互いに手を取り合って、あちらへ」は、シエピとツェルリーナ役のヒルデ・ギューデンとの絡みですけど、女性が口説き落とされる情景が眼前に浮かぶよう・・・・(女はこうしていつも、ヤクザなスケベ男に口説かれちゃうんだから・・・)、と感じるのはワタシの大いなる誤解でしょうか。(ウィーン・フィルがほんとうに美しい)

 全曲を聴いた訳じゃないし、なんとなく大時代のような歌い方なのかも知れないけれど、800円ながら充分堪能しました。音質的には、時代を感じさせるのは当たり前で、ましてやこのCDは海賊盤。おそらくLPから勝手にCD化したんだと思います。さすがに正規復刻の序曲の方がかなり明快でした。

ちなみにヨーゼフ・クリップスのMozart 序曲集は、旧コンサートホール・レーベルでかなり録音があって、オーケストラはチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団。CDではAd'es 14.181-2(5枚組)の一部として出ていて、貴重です。でも、音質最悪。


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written by wabisuke hayashi