Korngold/Goldmark ヴァイオリン協奏曲
(ヴェラ・ツウ(v)/ユー・ロン/ラズモフスキー・シンフォニア)


Korngold/Goldmarkヴァイオリン協奏曲 NAXOS 8553579 Korngold

ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35

Goldmark

ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 作品28

ヴェラ・ツウ(v)/ユー・ロン/ラズモフスキー・シンフォニア

NAXOS 8553579 1995年録音 800円で購入

 某サイトでの言及により、ワタシも(かなり以前に)サイトに掲載していたことを思い出しました。

美音でテクニックはしっかりしています。でも、個性らしい個性はほとんど感じられなくて、じつにスムーズで耳あたりが良くて・・・・それだけ。コルンゴールドはともかく、ゴールドマルクはもっと豊満な演奏であってほしい、と思います。
とは、その時のソロへの感想だけれど、果たしてそうだったのか。(おそらくは)6年ぶりの再聴であります。

 「個性らしい個性はほとんど感じられなくて、じつにスムーズで耳あたりが良くて」・・・う〜む、なんと傲慢なる言い切り方か。線が細く、ゆらゆらと揺れる旋律が稀有な個性!というか、心ある方の評価では「甘美な音がまるで二胡のようであります」「音程が甘いと批判される向きもあろうかと思いますが、これは彼女独特の音程感というべきもので、それが艶かしい表情を醸し出しています」とのこと。嗚呼、なんという音楽への情愛、素晴らしい感性表現か。ワタシも(後追いながら)その通りだと思います。

 とくに競合録音の多い(作品の柄も大きい)Goldmarkに於いて、時に(ほんの少し)細部テクニックの甘さ、強靱なる旋律表現の不足(弱さ/線の細さ)を指摘することは可能でしょう。しかし第2楽章「アンダンテ」のウェットな”泣き”は、東洋人の琴線に触れるものだと思います。「まるで二胡」とは言い得て妙であって、か弱く、ゆらゆらと奥床しく詠嘆が揺れるのです。肉食中心の人種では表現も共感も出来ない・・・

 終楽章、情感がさざ波のように広がる繊細さも出色。表情、あくまで穏やなる微笑みを浮かべ、優しい風情が”圧倒的爆発盛り上がり”を作らない。肉感的ではない。数年前のワタシはオケの無個性ぶりを論(あげつら)っているが、それはそれとして伴奏としての役割は果たしていると思います(響きは洗練されない)。

 Korngoldはいっそう彼女の個性に似合って、無条件にか弱い甘美な世界に浸ること、可能と思います。以下(以前のコメント)にはハイフェッツへの賛美が見られるが、それはあくまで「ハイフェッツ賛美」(異議なし)であって、作品への共感という意味ではヴェラ・ツウの魅力も劣るものでもない。まさに甘露、泣けるほどの妖しくも魅力的な旋律を詠嘆して、背筋ゾクゾクさせるほど魅力的。官能極まって、やや清涼なるRachmaninov か?というくらい濃厚な世界が延々と・・・

 (ワタシが安易にイメージするところの)”東洋女性の柳腰”的ゆらゆら、楚々としたヴァイオリンは、やはり纏綿とした第2楽章「ロマンツェ」が白眉でしょう。終楽章の躍動では、やや技術的にもたつくことないでもないが、それは彼女の優雅な歌の魅力を減じるものではありません。

(2006年11月3日)


 ゴールドマルクのほうはパールマンのレコードがあったはずだけれど、コルンゴールドの協奏曲は珍しい。(ワタシの知る限りではハイフェッツRCA7963-2-RG以来?・・・・・そういえば最近DGで若手の録音があったかな?真剣に探してないけど)このような隠れた名曲を、新しい録音(しかも激安)で揃えてくれるのがNAXOSの立派なところ。
 ヴァイオリン協奏曲はBeeやんのが一番とは思うけれど、いろいろと聴いてみたくなるじゃないですか。

 コルンゴールドは「エーリッヒ・ヴォルフガング」というくらいだから、ドイツ・オーストリア系の人で、もともとウィーンの音楽家の家系らしい。1897年に生まれで、ナチスの台頭の影響でハリウッドに渡ったはず。この曲は1945年の作だけど、思いっきり甘く、切ない旋律で、バーバーのヴァイオリン協奏曲にも一脈通じる作品。
 ま、いかにもハリウッドの映画音楽、ってなかんじの楽しい曲なんです。

 最終楽章の、ちょっとおどけた感じの細かい音形もわかりやすい旋律で、全25分あっという間に終わります。晦渋さ(眉間に皺、の深刻さ・・・意外と日本人音楽愛好家が好むはず)0%で、いかにも安易でわかりやすい旋律がかえって敬遠されているのかも。心やすく、気軽に楽しめる音楽っていいじゃないですか。初めて聴いても懐かしい。

 ゴールドマルクは1830年の生まれだから、世代的にはもっと前ですよね。ハンガリーの人ですけど、ブラームスが1833年でほぼ同年代。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲って、最終楽章がややハンガリー風じゃないですか。(ちょっと重厚に味付けされているけど)この曲は、ブラームスに負けないくらいオーソドックスなロマン派の曲だけれど、逆にハンガリー風の味わいを抜いた感じ。

 演奏のせいもあるんでしょうが、じつに素直な聴きやすい旋律。ま、時代が違うからコルンゴールドみたいなトロ甘さはないけれど、負けないくらいの名旋律で36分かかるけっこうな大曲。最終楽章のソロの細かい音形は、かなりのテクニックも必要です。

 演奏が、ワタシのようなマイナー好きにはたまらない。

 ラズモフスキー・シンフォニア、っていかにもでっち上げっぽいでしょ?「ブラティスラヴァの各オケから優秀なメンバーを集めて1995年に結成された」といっても、この録音の当年。スロヴァキア・フィルも放送響も、契約条件の改善を求めてきたんじゃないかな。(きっと、いままでは録音時の一回買い切り契約=つまり、なんぼCDが売れても放送に使われてもそれ以上一銭も入ってこない・・・・これ、ワタシの勝手な想像)

 NAXOSは売れてますからね、きっとそんなこんなでアルバイト募集して、こんな名前を付けたと思います。(最近、NAXOSはそのパターンが多いような気がする)

 ツウは女流ヴァイオリニストで、指揮者のロンとともに上海出身。有名なドロシー・ディレイ門下なんですが、美音でテクニックはしっかりしています。でも、個性らしい個性はほとんど感じられなくて、じつにスムーズで耳あたりが良くて・・・・それだけ。コルンゴールドはともかく、ゴールドマルクはもっと豊満な演奏であってほしい、と思います。

 オケは、アンサンブル的にはスロヴァキア放響より立派なくらいですが、ソロと同じで個性不足ですね。上手いけど、サラリとしていてスケールが小さい。これはやはり促成団体の弱点でしょうか。

 録音は上等で、名曲、演奏にクセもないので充分お勧めです。コルンゴールドは、先に挙げたハイフェッツ盤が手元にあって、いや、もう、これが凄くって言葉も出ない・・・・、けど、このCDも悪くありませんよ。


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written by wabisuke hayashi