Brahms 交響曲第2番ニ長調(ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団)


Brahms
交響曲第2番ニ長調 作品73
ハイドンの主題による変奏曲 変ロ長調作品56

ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団

ODE CLASSICS ODCL 1009-2 1971年録音   7枚組 3,990円

 同じ録音とは絶対に思えない〜PILZ盤と。と、思ったらホントに違う録音なんですね。1998年頃執筆した以下の文書はまったくダメでなにもわかっちゃないが、拍手の収録含め、こちらは相当に臨場感が豊かで印象が異なる演奏です。ODE CLASSICS盤(紙箱にビニール袋収納、解説はおろかインデックス表示さえない〜これでいいんです)を聴いた後にPILZ盤を聴いてみると、もう少しいろいろと納得するところがあるもの。

 とにかくここまで値下がりしてくれたし、Brahms 交響曲第2番はこちらを聴いてください。(ODE CLASSICS 解散だから、見かけたら早く買いましょう)ずっとわかりやすく、そして楽しめるはず。「録音水準で感想の質が変わる演奏は、所詮それだけものでしかない」なんていう厳しいご意見もありつつ、ま、ド・シロウトですから、そこいらへん許してください。でも、これは全然演奏の質が違う。

 会場聴衆のリアルな雑音(これ、楽章ごとにあって効果的)から、まばらな拍手。そして「いかにもケーゲル」風の硬質な音色で曲は始まります。PILZは「いかにもケーゲル」風硬質音色〜この印象が薄いんです。あちこちの細かなニュアンス、というか味付け、というよりワザ、に工夫がされているようで、一癖も二癖もある入魂の個性的響き。アンサンブルより勢い!といったライヴの味わいドップリ。

 なにが「Brahms の田園交響曲」だい。やる気充分・その気充分なノリノリの演奏で、妙にナマナマしい色気はあるし、なによりアツい・・・って、冷酷表情なアツさで「オーケストラの音色にドイツらしい渋さ」(誰だ!こんなこと書いたの。ワタシ?)なんてとんでもない。追い立てられるような切迫感の連続。

 これは金管の鋭い〜しかし厚みのない絶叫と、頻繁なテンポの揺れ(前のめり)の効果です。ホルンは奥行きがあって良い音色ですね。第2楽章は良く歌うんです。しかし、それはやすらがない。闘争的であり、挑戦的です。リアルです。オーボエがシミジミ歌って、クラリネットもそれを受けてくれるが、それでも不安は隠せない。でも、これが現代の不安な「美」なんでしょう。

 おお、第3楽章は繊細で軽やかな出発。間の取り方も効果的。木管も達者なものじゃないですか。これに弦が出張ってくると、やや表情にカタさと不安がよぎってくる。旋律の歌わせかたに、安定が感じられないのは何故?美しくないわけじゃないんです。なんとなく気分的に完結しないまま、終楽章へ。

 もう、これは大爆発(暴走)ぶりで、疾風怒濤「もう、どうにも止まらない」(山本リンダ風)よ的激演奏ぶりに舌を巻くばかり。なにに怒っているのか?ケーゲルさんは。PILZ盤では「不機嫌」だけれど、こちらではリアルに激怒ぶりが伝わりました。この曲はもっと美しい曲だと思うが、凡百の「なにが言いたいんだ、オマエは」的な演奏より、主張は明確です。いつも聴きたいとは思わんが。また「狂気の演奏!」と一言だけ書いてわかった気になって、悦に入る人が増えるんだろうなぁ。 

 「ハイ・バリ」もテンションの高い、強烈な演奏。以下、自戒を込めて内容のない20世紀中執筆の文書をそのまま掲載。(2002年3月21日)

 


Mozart

交響曲第40番ト短調K550

Brahms

交響曲第2番ニ長調 作品73

ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団

PILZ 442064-2 1970年代の録音?

 1998年の正月にタワーレコードにて800円で買ったCD。EGRシリーズとかいう旧東ドイツの放送用録音復刻もの。録音年は不明です。音の状態はけっこう良いんですよ。あちこちで投げ売りされ、さすがにもう店頭在庫も尽きた頃でしょう。(2000年)

 Mozart の40番は、フルトヴェングラーばりのデモーニッシュな味わいを期待しましたが・・・・外れ。

 第1楽章はイン・テンポでさっさと進めています。まるでぶつぶつと文句を云いながら、仏頂面で早足の散歩しているよう。(そんな人と出会ったらヤバいですよね)哀愁もなにもあったもんじゃない。「オレの人生はいったい何だったんだ」と、どうしょうもない怒りを叩きつけたような演奏。

 3楽章メヌエットは意外と力まず弦を少々引きずる感じ、最終楽章は盛り上がらないで抜いたような演奏。アンサンブルはテンション高く引き締まっていますが、愉悦感無し。怒れるMozart 。珍品。

 Brahms は、オーケストラの音色にドイツらしい渋さがあります。意外と静々と、弦と木管の対話もいい感じで始まり、盛り上がりもあるのに機嫌が悪そう。トランペットの朗々としたソロでも何故か冷たい。後半にいけばいくほど、オーケストラの濁りは耳に付きます。ようはするに、オーケストラが鳴らない、上手くない。アンサンブルの乱れも広がる。

 この曲には、暖かい牧歌的な響き、最終楽章の素朴な喜びの爆発を期待したいところ。力は入っても、冷たさがが付きまとう不思議な演奏。3楽章などは軽く流して期待させるのですが、なんとなくさいごまで「?」のまま終わってしまう。部分部分は、たしかに美しいところもあるのですが。

 それでも懲りずにケーゲルを聴いているワタシ。文句いいながら聴いているんですよ。それも楽しい。凡百有名指揮者のクソ高いCDに比べりゃ、なんという脳味噌への刺激。

 録音は自然で飾りがなくて好きな音です。このシリーズの、黒地をベースに旧東ドイツの旗が翻っているジャケットは良いセンスと思います。(ジャケットパターンは2種類有)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi