そうとうマイナー・レーベル

ジュリアン・フォン・カーロイ(p)


Schumann

クライスレリアーナ 作品16

Liszt

「ダンテを読んで〜ソナタ風幻想曲」(巡礼の年 第2年「イタリア」S.161より)
メフィスト・ワルツ
ハンガリアン・ラプソディ第13番 ニ短調
鬼火(超絶技巧練習曲より)

Debussy

グラナダの夕暮れ(版画より)
金色の魚(映像 第二集より)
花火(前奏曲集第二巻より)

カーロイ(p)

ARKADIA CDGI 908.1  1953/54年録音  200円

 ジュリアン・フォン・カーロイって誰やねん?と、つぶやきながらGoogle検索を掛けると出てきました!って、これ自分のサイトじゃない。なんの解決にもならない。じゃ、原語表記「Julien von Ka'rolyi」でどうだっ!〜出てきたけど、へぇ、Chopin の録音があるんだね、というくらい。ま、ネームヴァリューだけでCDを買うという風習はないし、一番大切なのは価格が安いこと。これ、今は亡き大阪ワルツ堂日本橋店で在庫処分200円でした。中古じゃないよ。似たようなもんだけれど。

 Schumann大好きなんですよ。とくにピアノ曲ね。自由で、気まぐれで、甘くて、ちょっと切なくて・・・「クライスレリアーナ」はその代表的名曲中の名曲。このピアノ、ノリノリの躍動感があって、ハズむようだね。神経質な世界は皆無で、あまり委細かまわず即興的な印象が強い。速いテンポ部分での流れの良さ(第7曲「モルト・プレスト」の切なさ!)はもちろんだけれど、第6曲「レント・アッサイ」のためらいがちの表情もたまらない。

 ごめんなさい。ワタシLisztは苦手なんです。カーロイって、ハンガリー系の名前でも存在するけど、得意だったのかな?メインの収録だし。バリバリ弾いているけど、いわゆる超絶技巧系の「冷たい」演奏ではない。けっこうアツい、というか、なんかこの人、良い意味でラフで骨太な感じがする。美音系じゃないが、技巧を技巧として「この曲、難しいっすよ!」みたいな圧力を感じさせない自然さ(というか、人間くささ)+チカラ強さがありますね。

 スケールもあるし、「一昔前のヴィルティオーゾ」みたいな貫禄もあります。技術的にはまったく凄くて「メフィスト・ワルツ」など「長年弾き込んでいるけんね!文句は言わせんよ」的自信に溢れて、お見事。ハンガリアン・ラプソディの怪しき風情は「ブルースか?」というほどの、揺れ動く味わい深淵なるスタイル。〜この曲、すっかり好きになりました。(Brahms のハンガリー舞曲の旋律によく似ている〜当たり前か)

 「鬼火」・・・・おおっ!と一言。(音質にばらつきあるね。だいたい聴きやすいけど。これは音が若干遠い)

 Debussyは、もっと湿っぽい弾き方が似合うと思いますね。ここでもバリバリ弾いちゃうカーロイ。豪快系Debussy〜即興系か?「金色の魚」は、エキゾチックなLisztに聞こえました。この「花火」は、そうとうに華々しい炎を吐き出していて、大輪の花。ちょっと、演奏が騒がしすぎて彼の味わいには合っていない作曲家も知れません。(2003年6月27日)  


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written by wabisuke hayashi