Honegger 交響曲第1/2/3番「礼拝」
(ミッシェル・プラッソン/トゥールーズ・キャピトール国立管弦楽団)


EMI 724358551624 Honegger

交響曲第1番
交響曲第2番
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(v)/ルシアン・モルイ(va)/ジャン・ルイス・ハーディ(vc)
交響曲第3番「礼拝」
カルヴァン・シーブ(v)/ジャン・ルイス・ハーディ(vc)

ミッシェル・プラッソン/トゥールーズ・キャピトール国立管弦楽団

EMI 724358551624 1977/9年録音

 色々中途半端に拝聴して、自分なり宿題を残している作品は数知れず。例えばProkofievの交響曲バレエ音楽、Saint-Sae"ns然り、Glazunovもそう、まとめて一気聴きできる体力気力集中力日々衰えを自覚いたします。このHoneggerもそんな悪い事例のひとつであって、セルジュ・ボド、このプラッソンの2枚組を入手して既に8年ほど?実質放置状態。他にシャルル・デュトワのCDもあったような・・・拝聴決意のキッカケは、取引先商談行き車中FMから流れた交響曲第3番「礼拝」途中より拝聴・・・なんてカッコ良い作品、演奏なんだ!それがシャルル・デュトワ/バイエルン放送交響楽団でした。なるほど、閑話休題(それはさておき)

 ミシェル・プラッソン (Michel Plasson, 1933-)は2003年にこのオケのシェフを退任後、様子がわかりません。もう高齢なので引退したのかも。仏蘭西の実力派、録音も膨大(管弦楽歌劇)〜そのわりに日本じゃ人気薄いですか?2005年パリ管と来日したそう。誰それの録音を集める!みたいな性癖はないから、プラッソンのCDは他、Lisztの交響詩(ドレスデン・フィル)くらいしか聴いたことはないかも。ああ、ジャン・フィリップ・コラール(p)との華やかなRachmaninov をFM放送で聴いた記憶も・・・それくらい。

 Honeggerは瑞西出身仏蘭西で活躍した作曲家、仏蘭西六人組とかいうけど、なんや雰囲気ちゃうなぁ、ハード、硬派、ちょっぴり暗く、怪しい雰囲気も有。最大のヒット曲は蒸気機関車疾走する「パシフィック2-3-1」か。交響曲第1番(いずれも調性表記なし)は3楽章21分ほど、1932年クーセヴィツキー/ボストン交響楽団にて初演とのこと。大富豪であった彼は現代演奏会演目として生き残る作品を数多く依頼し、偉大なる貢献をしておるのですね。第1楽章「Allegro marcato」から切迫感溢れる、それこそ”蒸気機関車疾走する”風情連想させて辛口、ほんのり甘く、粋なお仏蘭西風情とは異なる世界。第2楽章「Adagio」も、うねうね、なんやら引きずるように怪しい、暗い。微妙に不協和音なのに、響きは洗練されております。やがて祈りのように金管が盛り上がる8分半ほど。

 終楽章「Presto」はもぞもぞ、不安げな旋律開始、やがて確固とした足取り、リズムはシンプルに、賑々しく盛り上がります。ラスト静謐な安寧にて収束しました。カッコ良い!音楽やなぁ、Honegger。未だCD一枚目は始まったばかり、オケの響きはやや薄く軽く、明るく、アンサンブルはややラフなのも悪くない。

 交響曲第2番は弦楽5部+トランペット1本(終楽章ラストのみ登場)。合奏協奏曲みたいな感じか。現在指揮者として活躍するヤン・パスカル・トルトゥリエ(v)参加。滅茶暗な作品は、第2時世界大戦中1942年現代音楽の擁護者パウル・ザッハー/バーゼル室内管弦楽団(現在の同名団体とは違うそうな)初演。第1楽章「Molto moderato」暗鬱静謐な開始は不安の塊、やがて切迫する例の”やや不協和音”激しく鳴り響いて、こりゃほとんどBartokでっせ。彼よりフクザツ、そして(弦楽のみでも)多彩かも。第2楽章「Adagio mesto」は息も絶え絶え、地底を這いずりっているような絶望的な雰囲気漂って、中低音の弦楽ソロもそんな風情、いっそう増長させております。

 終楽章「Vivace no troppo」不安定なピツィカート、迫る危機風に開始。やがて力強い前進が始まるけれど、戦況はよろしくない感じ。”やや不協和音””やや変拍子”カッコ良いですよ。いや増す激しい戦闘、やがてラスト明るく変調して、厚い雲から一筋の輝かしい光明=トランペット登場!と期待したら、ここでは出番なし(任意のパートである由)残念。弦楽アンサンブルは、みごとな統率になっておりました。

 交響曲第3番「礼拝」(または「典礼風」)。初演は第2時世界大戦後1946年シャルル・ミュンシュ。戦争被害者への想いなのでしょうか。第1楽章「怒りの日(Dies irae)」以前聴き知っているものより、やや快速表現か、響きは軽量でも切れ味ある”かなり不協和音”かなりフクザツな音楽は、まさに疾走する”怒り”でしょう。第2楽章「深き淵より/Adagio(De profundis clamavi)」怒りは消え、美しい静謐な瞑想と官能の高まりが聴かれます。ここ13分半、全曲中もっとも長い作品のキモ、オケの淡い色彩が活かされるべき楽章でしょう。(この作品を得意としたカラヤンを聴いてみたいもの)途中、唐突にちょっぴり出現する小太鼓?も妙に寂しい。

 終楽章「我らに平和を/Andante〜Adagio(Dona nobis pacem)」足取り微妙に不確かな行進曲に始まり、不安げなホルンが色彩を添えます。弦楽器木管も徐々に参集して不協和音頻出、重苦しい雰囲気霧のように立ち込める序盤。徐々に響きは厚くなって、大音響へと(マイナス気分)絶頂へ。やがて安寧休息のAdagioが静かに、囁くように到来、ピッコロが平和の小鳥を歌って消えいくように全曲を終了いたしました。

 FMから流れたシャルル・デュトワのほうが感動したかな?ちょっと線が細くて淡彩なのかも。カラヤンが好き、というくらいだからもっとメリハリたっぷり、ゴージャスな表現もありえるのでしょう。

written by wabisuke hayashi