Honegger 交響的楽章第2番「ラグビー」/第1番「パシフィック231」/
コンチェルト・ダ・カメラ(室内協奏曲)/夏の牧歌/
交響曲第3番「典礼風」(ジャン・フルネ/オランダ放送フィル)


Denon COCO-70425 Honegger

交響的楽章第2番「ラグビー」
交響的楽章第1番「パシフィック231」
コンチェルト・ダ・カメラ(室内協奏曲)
夏の牧歌
交響曲第3番「典礼風」

ジャン・フルネ/オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団

Denon COCO-70425 1993年録音

 Arthur Honegger(1892ー1955瑞西仏蘭西)は「6人組」の一人、Darius Milhaud(1892ー1974仏蘭西)と同い年、終世のお友達だったそう。両者とも日本じゃ人気薄いと思いますよ。自分はけっこう好きですよ、蒸気機関車リアルな描写「パシフィック231」は映画音楽だったらしいですね。エルネスト・アンセルメのLP(1963年録音)が出会い、それ以来のお気に入り作品でした。Jean Fournet(1913ー2008仏蘭西)はこのオケ在任1961ー1978年、退任したあとも親密な関係を続けていたのでしょう。デザインセンスも抜群。

 彼のピアノ協奏曲は機械じかけのおもちゃみたいな風情があって大好き。一連の交響的楽章も似てますよ、雰囲気。「ラグビー」は”スポーツを音楽で表現できますか”との問いかけに作曲されたらしくて、きっとラグビーのフォーメーションとかパス、相手チームとのぶつかり合い、ボールの流れを表現したものなのでしょう。残念ながらこちらこの球技の仕組を理解しておりません。変拍子とか「231」に似ているなぁ、くらい。オケはもうちょいと元気が欲しいところ。(8:43)

 「パシフィック231」は傑作!冨田勲でしたっけ、シンセサイザーでは逆に蒸気機関車の騒音警笛を使用して再編成しておりました。車輪がゆっくり重々しく回りだして、やがて白煙を吹き出しつつ大地を、山道を疾走する列車の姿、それが情感たっぷりに描写されております。刷り込みであるアンセルメは、現在の耳では少々アンサンブルやらリズムが怪しいけれど、迫力は充分。こちら整って表情の変化は見事だけれど、もうちょっと怒涛の爆発、重量感が欲しいところ。ラスト機関車は衝突?いえいえ堂々と停車したと思わせる描写でした。(6:30)

 コンチェルト・ダ・カメラはイングリッシュホルンのとぼけた音色、高貴なフルートと絡み合いながら、淡々として静謐、小粋な作品、これは初耳でした。第1楽章「Allegretto amabile」第2楽章「Andante」フィナーレ「Vivace」(計16:17)先の交響的運動の躍動に比べて、ずいぶんとおとなしくも耳優しいサウンドが続きました。「夏の牧歌」のキモは茫洋と遠いホルンでしょう。高原に爽やかな風が過ぎゆく感じ。中間部は木管たちが控えめな舞曲を奏でます。この作品は幾度聴いていて、その記憶からはちょっと線が細いかと。淡彩クールな表現はフルネの特徴なのでしょうか。(7:37)

 ラストは「典礼風」(「礼拝」という訳も有)。第二次世界大戦の死者を弔うための交響曲とのこと。初演は1946年シャルル・ミュンシュ。第1楽章「怒りの日」(Dies irae )は文字通り怒りと切迫に充ちて、前2曲の牧歌的風情とは大違いの始まり。むしろ「パシフィック231」の疾走によう似ております。第2楽章「深き淵より」(De profundis clamavi )は深い哀しみを湛えて静謐なアダージョ。これは「夏の牧歌」に匹敵する美しい瞑想でしょう。フルートは平和を象徴する鳩なんだそう。第3楽章「我らに平和を」(Dona nobis pacem )は足取り重苦しい行進曲(Andante)から始まって、ちょっぴり「アッピア街道の松」出足を連想させても、彼(か)の大団円カタルシスとは程遠い嘆きを感じさせるもの。やがてそれは大音響に不協和音を伴って頂点へ。やがて一転して安寧静謐な「Adagio」にガラリ雰囲気を変えるから、実質上4楽章なのかも。再び平和の鳩であるフルート登場。静かに全曲を閉じました。(35:15)

 Honeggerって、力強いリズムや破壊的な和音も登場して、シャルル・ミュンシュの録音も経験済。この素直なサウンドは少々薄いというか淡白、オケはちょっと弱いかなと感じます。80歳に至った指揮者の透明な心境かもしれません。

(2019年8月25日)

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written by wabisuke hayashi