Holst 組曲「惑星」 (ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル)
Holst
組曲「惑星」
ヘルベルト・カラヤン/ウィーン・フィル/ウィーン国立歌劇場合唱団
DECCA JB30 1961年
1918年初演された(エイドリアン・ボウルト)四管編成の巨大なる”映える”カッコよい作品。これは「惑星」ブームを導いた録音だったと記憶します。1959年時点のエイドリアン・ボウルトの録音は、いかにもオーケストラが作品に慣れていない感じだったけれど、二年後は著しいアンサンブルの向上が見られます。
20年ぶりの拝聴・・・のはず。当時は駅売海賊盤を聴いていて、音質に不満を漏らしておりました。久々の印象はクリアな音質とウィーン・フィルの迫力に打ちのめされました。Herbert von Karajan(1908-1989墺太利)53歳気力体力に充ちたスタイリッシュな表現、金管も打楽器強烈な迫力、弦の弱音の洗練も文句なし。これはこの作品ヴェリ・ベストかも。
「棺を蓋(おお)いて事定まる」自分も若い頃は、売れ筋カラヤンに対する反発心ばかリだったけれど、オーケストラ・コントロールの自在さ、グラマラスな表現に心奪われる機会が増えました。
初演当時は賛否両論だったそうだけど、現在はおそらく英国音楽最高の世界的人気作品。四管編成にティンパニ6台(2人)ほか9種の打楽器にハープ2台、チェレスタとオルガン、更には女声合唱も入る巨大なる編成。
「火星、戦争をもたらす者 (Mars, the Bringer of War)」鳴りきったウィーン・フィルの華やかにマイルドな金管、前向きな推進力たっぷりなリズム感はノリノリ。この時期ウィーン・フィルはこの作品にあまり慣れていなかったはず、そんなことを微塵も感じさせぬ圧倒的な統率でした。(7:08)
「金星、平和をもたらす者 (Venus, the Bringer of Peace)」控えめなホルンから始まって、その旋律をオーボエとフルートが受け取る静謐穏健な始まり。ヴァイオリン・ソロの優雅な旋律、チェレスタも効果的に極限のデリカシーな弱音も緊張感たっぷり。夢見るように美しい。(8:25)
「水星、翼のある使者 (Mercury, the Winged Messenger)」囁くようなスケルツォは極弱音に流麗に流れて、この辺り、雄弁な盛り上げかたは熟練の技でした。(4:02)
「木星、快楽をもたらす者 (Jupiter, the Bringer of Jollity)」ここがカッコ良い一番人気。幻想的な木管に彩られ、圧巻のホルンが野太くヴィヴィッドに響いて颯爽、これ以上の迫力はなかなか経験できぬスケールと洗練サウンドでした。そして優雅な「我が祖国に誓う」登場、後にその歌詞を付けていっそう有名になったけれど、作曲者にはそんな愛国の意味を旋律には込めなかったそう。(Wiki英語版より)(7:41)
「土星、老いをもたらす者 (Saturn, the Bringer of Old Age)」ハ長調とは思えぬ不安に暗い、重苦しい歩み。弱音での細部クリアな響きには深みがあり、重量感、そしてしっかりとしたリズム感もありました。粛々とスケール大きく高揚させて、クライマックス(fff)での打楽器も効果的に彩りを添えました。やがて宇宙の果てのような幻想的サウンドは儚く消えていきました。(8:37)
「天王星、魔術師 (Uranus, the Magician)」剛直な金管と打楽器ぶちかまして、スケルツォのリズムに歩みだして「魔法使いの弟子」に似たユーモラスなところ。ファゴットのリズム感、強烈な金管と打楽器。なんと華やかにゴージャス、余裕の響きなのでしょうか。(5:51)
「海王星、神秘をもたらす者 (Neptune, the Mystic)」不規則な拍子、微弱音に絡み合って浮遊する木管は宇宙の果てを連想させるところ。やがて神秘の女声ヴォカリーズが響いて、それは「合唱団は隣の部屋に置く。部屋の扉は曲の最後の小節まで開けておき、ゆっくりと静かに閉じる。合唱団、扉、副指揮者達(必要な場合)は聴衆から完全に見えないようにする」との指示なんだそう(Wikiより孫引き御免)この消えるような締め括りには優秀な音質必須でしょう。(7:37) (2026年8月8日)
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