Haydn チェロ協奏曲第2番ニ長調(ダニール・シャフラン(vc))
Tchaikovsky ロココの主題による変奏曲(スヴィァトスラフ・クヌシェヴィツキー(vc))


NAXOS 8.557500  970円 Haydn

チェロ協奏曲第2番ニ長調 Hob.7b/2

ダニール・シャフラン(vc))/ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエット国立交響楽団(1961年)

Tchaikovsky

ロココの主題による変奏曲(フィッツェンハーゲン版)

スヴィァトスラフ・クヌシェヴィツキー(vc)/アレクサンダー・ガウク/ソヴィエット国立放送交響楽団(1950年)

YEDANDCLASSICS YCC-0149

 2004年頃?激安出現したボックスを大量購入、やがてオークションでかなり整理し現在庫60枚ほどに落ち着いたYedangClassics。現在だったら米PIPELINE(往年の旧露西亜系放送)音源はBRILLIANTで拝聴可能です。露西亜のチェリスト、といえばロストロポーヴィチばかり有名だけれど、他にも名人はおったのですよ。ダニール・シャフランはステレオ時代まで活躍したからいくつか音源を聴いていたけれど、クヌシェヴィツキーは往年の室内楽を少々聴いたのみ。これは(いかにもYEDANDCLASSICSらしい)無定見な寄せ集めながら、音質もそれなりだし、演奏だって素晴らしい一枚也・・・

 ・・・と、ここまで書いて、思いは最近(2010年)入手した「悲劇のジャクリーヌ・デュ・プレ」17枚組へ。(リンク先価格表示よりずっと安く英国より到着)Elgarの協奏曲はダブっているんだけれど、駅売海賊盤のHaydn2曲+Boccheriniの協奏曲/BBC放送録音2枚分は首尾良くオークションで捌けて、万全の入手でありました〜じつはこれがけっこう大苦戦。デュ・プレのチェロが入魂入念連続故聴いていて疲れること(ちょろ聴き許されぬ/凄い演奏なんだけど)+やや音質問題(全部ではない)にて。Monn チェロ協奏曲ト短調(バルビローリ/ロンドン交響楽団1968年)なんて、オーケストラが明らかに音が濁って聴きづらいんです。

 こちら1950年代旧ソヴィエット時代の音源でしょ?(クヌシェヴィツキーはもちろんモノラル)それでもけっこう聴きやすい音。あとはソロの個性への嗜好となります。なんせこちら往年のヴェテラン揃いですから。Haydn始まりました。遅いテンポ、若きロジェストヴェンスキーのオーケストラはややダルでノリが足りない開始。ダニール・シャフランは明るい音色、粋に揺れ動いて良く歌います。ちょっと細部流してラフな感じもあって、いかにもヴェテランの風情であります。ちょっと昔風のダンディか。

 あまり最新録音に触れる機会はないんだけれど、こんな作品も現在だったら古楽器系溌剌軽快軽妙演奏が主流なんでしょうか。シャフランはテンポの揺れ、表情付けが少々鬱陶しい感じ。第1楽章カデンツァもそうとうに雄弁な歌なんです。技巧達者であることは間違いない。ニュアンスタップリな表情は、第2楽章の平明穏健な作品旋律には似合っておりますね。終楽章の安寧の旋律(まるで澄んだ空気に夜が明けていくような〜)はなんという魅力なのでしょう。やがて細かいパッセージをらくらくとクリアして、暗転もあって飽きさせない。チェロ・ソロとホルンの絡みも待っておりました。

 う〜む、やっぱりオールド・スタイルかな?もっとインテンポ+軽快リズムが欲しいところ。(拍手を即切ってしまうYedangClassicsはいつも興ざめ)

 クヌシェヴィツキーは「ロココ変奏曲」原典版を初演した人だけれど、これは馴染みのフィッツェンハーゲン版。1950年のモノラル録音だけれど、音質はこちらのほうがずっとよろしい。冒頭、オーケストラのモノローグにてびろびろ激甘ホルン登場!クヌシェヴィツキーはシャフランよりずっとモダーンなセンス、端正なる甘美たっぷりな音色にココロ奪われるチェロ。正直、この作品の牧歌的魅力を初めて発見いたしました。良く歌うが、先ほどHaydnほどの揺れもなく、流れは自然です。

 作品に馴染んでいるのか?ほとんどどの変奏曲も絶妙にしっとり瑞々しい味わいであって、深い呼吸を感じます。ガウクのオーケストラもぴたりと息が合って、21:04たっぷり、存分に愉しみました。但し、超絶技巧をウリにするような方向ではない。別にテクニックに不満はないけれど。

(2010年5月28日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi