Haydn 交響曲第87番イ長調/第85番 変ロ長調「王妃」/交響曲第83番ト短調「牝鶏」
(デニス・ラッセル・デイヴィス/シュトゥットガルト室内管弦楽団)


SONY 88697443312-28 1995-2007年録音 37枚組4,670円 Haydn

交響曲第87番イ長調
交響曲第85番 変ロ長調「王妃」
交響曲第83番ト短調「牝鶏」

デニス・ラッセル・デイヴィス/シュトゥットガルト室内管弦楽団

SONY 88697443312-28 1995-2007年録音 37枚組4,670円

 デニス・ラッセル・デイヴィスのHaydn全集はずいぶんと話題となり、評判も良かったが、HMVでは早々に売り切れとなりました。買い損ねたが、BBSでの熱心なお勧めもあり、アマゾンのマーケット・プレイスにて格安入手、ようやく拝聴できたのは2010年6月。ほぼ全部聴き流したが、どーも自分の嗜好じゃない。勝手な思い込み、先入観だけれど、もっと古楽器系の溌剌軽妙なアンサンブル+過激なリズムを期待したが、スタイルは極めてオーソドックス、テンポはやや遅め、じっくり聴かせるタイプでした。もちろん旧態大掛かりなサウンドじゃないけどね。音質も絶賛するほどのものではないと感じます。全部ライヴだったっけ。

 作品ごとの詳細録音クレジットがないとか、3枚不良品が混じって交換していただいた(このプロジェクトは大赤字だろうな)のは、本質問題に非ず。でも、数多くのCDを日々聴いている身としては、少々マイナス・イメージにならんでもない。この一枚を箱から取り出したのはほんの偶然です。いわゆる「パリ交響曲」アダム・フィッシャー全集に好感を持った身としては、こちらもしっかり聴いてあげなくては。もったいない。それにしてもCDは安くなったもんだ・・・

 交響曲第87番イ長調。第1楽章「ヴィヴァーチェ」表記だけれど、かなり明確にリズムを刻んで落ち着いた足取り、響きは透明で洗練されております。途中暗転が陰影を形作る。第2楽章「アダージョ」はフルート、オーボエ、ファゴットが絡み合って朗々と歌い交わします。弦の響きは繊細。この楽章にも陰影、暗転がちゃんとある。D.R.デイヴィスはけっこう雄弁に、盛り上げるべきところはしっかりとツボで押さえる、といった感じか。第3楽章「メヌエット/トリオ」は優雅で清潔なリズムを刻んで、ノビノビとスケールは大きい。典雅なオーボエの調べもシミジミ美しく、この楽章も陰りが・・・終楽章「プレスト」は、ちょっと走り出してはちょっと立ち止まって(何度も名残惜しげな休止が存在する)振り返る〜その表情は笑顔に溢れ〜そんな味わい深い楽しさ。

 交響曲第85番 変ロ長調「王妃」。第1楽章「アダージョ/ヴィヴァーチェ」は、「リンツ」みたいな感じの出足です。Haydnに作品を依頼したコンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピックという団体は100名ほど大規模だったらしくて、それに相応しいスケール、というか、主部に入ってもやたらとテンポ遅くないですか?極上に磨き上げられ、丁寧な仕上げであり、弦はもちろんオーボエの朗々たる響きはお見事。但し、なんか別な作品を聴く思いであります。第2楽章「ロマンツェ」は交響曲第100番ト長調「軍隊」とクリソツ、というか解説によると同じものらしい。リズムの刻みは着実、溌剌であります。第3楽章「メヌエット/トリオ」は馴染みの舞曲リズムを強調し、(やはり)オーボエが雄弁です。ホルンのキレも素晴らしい。

 終楽章「プレスト」はシンプルな音型+リズムでさらりと流した感じか。しっかり噛み締めるようであり、妙に盛り上がらない演奏。「王妃」はけっこう有名な作品だけれど、こんな落ち着き払って緻密な演奏は初耳であります。

 交響曲第83番ト短調「牝鶏」の開始は短調の劇的な旋律でした。名前がユーモラスだから誤解されているかも。第1楽章「アレグロ」に、牝鶏風鳴き声(オーボエ?まるで機械仕掛けの牝鶏)が入るのだね。D.R.デイヴィスはかなりしっかりと足取りで、クールに演奏して激昂はあり得ない。第2楽章「アンダンテ」は静謐な弦が心を洗うような美しい旋律を刻みます。途中一カ所強奏があって、聴き手をびっくりさせることでしょう。第3楽章「メヌエット/トリオ」は素朴な味わいに溢れ、この辺りがBeeやんには消えてしまったテイストと思います。

 終楽章「ヴィヴァーチェ」は、細かいリズムを刻んで躍動する旋律!破顔一笑、時にちょっぴり寂しげな表情を交えつつ、ヴィヴィッドな世界が続きます。ラスト、ゆったりとした情感にテンポを落とした締めくくりも文句なし。

 定期演奏会はおそらく数回同じ演目を繰り返すから、ライヴでも編集しているのでしょう。それを勘案してもアンサンブルの洗練はお見事。上手いオケです。絶叫はHaydnにあり得ない、知的なコントロールに響きは常にクリアであって、冷静な完成度と聴きました。

(2010年9月11日)

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written by wabisuke hayashi