Haydn 交響曲13番ニ長調/第36番 変ホ長調/
協奏交響曲 変ロ長調
(ヘルムート・ミュラー=ブリュール/ケルン室内管弦楽団)


NAXOS 8.554762 Haydn

交響曲13番ニ長調
交響曲第36番 変ホ長調
協奏交響曲 変ロ長調

ヘルムート・ミュラー=ブリュール/ケルン室内管弦楽団/オレン・シェフリン(vc)/フローリアン・ゲルトゼッツァー(v)/クリスティアン・ホンメル(ob)/マルティン・ケフェンヘルスター(fg)/ヴィンフリート・ラーデマッハー(v)

NAXOS 8.554762 1999年録音

 Helmut Muller-Bruhl(1939-2012独逸)率いる Cologne Chamber Orchestraの前身はカペラ・クレメンティーナ、たしか古楽器アンサンブルだったと記憶するけれど、こちら古楽器奏法を取り入れたモダーン楽器アンサンブルらしい。味わい深いマイルド質実に洗練された響き+颯爽とスリムなリズム感が快いノリでした。音質は作為を感じさせぬ良好なもの。

 交響曲第13番ニ長調は1763年、Haydn31歳の作品。弦+フルート1本+オーボエ2本+ホルン4本+ティンパニという意欲的な編成、但し、ティンパニは後人の付加なんだそう。第1楽章「Allegro molt」は快活な疾走にフルートが華やかに歌い、ホルンの豪快に厚みのある響きもカッコ良い。ティンパニも効果的な躍動に陰影のあるステキな旋律が続きました。(5:04)第2楽章「Adagio cantabile」には纏綿たるチェロ・ソロが延々と続いて、その旋律はシンプルに飾りのないもの。音色はジミだけど、控えめなヴィヴラートがエエ感じ。ティンパニはお休み。(7:18)第3楽章「Menuetto-trio」は牧歌的なリズム、ホルンの厚み、ティンパニは効果的。トリオは華やかなフルート・ソロが陰影豊かに、爽やかに歌いました。(4:38)第4楽章「Allegro molt」はリズムが躍動します。印象的な「ジュピター音形」がフーガして、ホルンの存在感は豊か。ティンパニの活躍も全楽章通りの推進力。これはスケールを感じさせる魅力的な作品でした。(3:15)

 交響曲第36番 変ホ長調は作曲年代不明、上記作品と同時代と類推されるとのこと。こちら弦+オーボエ2本+ホルン2本というシンプルな編成。第1楽章「Vivace」は陰影豊かに、流れるような旋律にホルンの響きが際立ちます。(5:05)第2楽章「Adagio」静かな付点のリズムに、ヴァイオリンとチェロのソロはゆったり、優雅に穏やかな旋律が歌い交わして、ここもHaydnの傑作でしょう。ここは弦のみ。(4:14)第3楽章「Menuetto-trio」はスキップするような舞曲。なんともノンビリとシンプル牧歌的な歩みでした。(325)第4楽章「Allegro」は明快にわかりやすい旋律が躍動して軽快軽妙、途中の暗転も効果的、晴れやかに終了いたしました。(3:56)

 Mozartのフィル・アップによく使われる協奏交響曲 変ロ長調のソロはヴァイオリン・チェロ・オーボエ・ファゴット。ティンパニ+ホルンも効果的にリズムを刻みます。第1楽章「Allegro」は3/4拍子、晴れやかにユーモラスな表情の主題に、各楽器ソロが色彩陰影豊かに絡み合ってノリノリ、これはMozartに負けぬ愉悦と陰影に充ちておりました。(9:03)第2楽章「Andate」は弦楽器管楽器のそろが優雅に、名残惜しげに歌い交わして、絶品の美しさ。(4:51)第3楽章「Allegro con spirito」はティンパニが力強くリズムを刻んで、ヴァイオリン・ソロしっとり合いの手を入れて始まります。快活な旋律はファゴット、オーボエ、チェロと引き継がれてノリノリに華やか、ソロの掛け合いは緊張感を高めて華やかでしょう。当時のエステルハージ家のオーケストラはそうとうの名手が揃っていたと類推できます。(6:04)ケルン室内管弦楽団も完成度の高い、しっとりとしたアンサンブルでした。

(2023年7月1日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi