Haydn ソナタ第14番ハ長調/カプリッチョ ト長調 「8人のへぼ仕立て屋に違いない」/
ソナタ第9番二長調/ソナタ第11番 変ロ長調/ソナタ第12番イ長調(トム・ベギン)


NAXOS 8501203 Haydn
ソナタ第14番ハ長調(パルティータ、early 1760s)
カプリッチョ ト長調 「8人のへぼ仕立て屋に違いない」 (1765)
ソナタ第9番二長調(ディヴェルティメント、before 1765)/ソナタ第11番 変ロ長調 (パルティータ、c. 1762)/ソナタ第12番イ長調(before 1765)

トム・ベギン(cem)

NAXOS 8501203 2007年録音

 この意欲的なソナタ全集+αの価値については他の方の詳細コメントに委ねましょう。2017年1月時点HMVでは12CD+1DVD=¥3,559 驚異の低価格!売れていないんやろなぁ、きっと。いろいろ選曲、楽器の選択に配慮と工夫があるらしく、この一枚目はViennese harpsichord, salon of a noble household.A=435Hz, werckmeister iii (1691)とのこと(現代の標準はA=440Hz)。ウィーン製のチェンバロでの演奏となります。Bach辺だったら、ニュアンスやらダイナミクス(音量の強弱の幅)もちろん現代の広い会場に相応しい現代ピアノのほうが作品そのものを愉しめると思っていて、Haydnも数少ない拝聴機会はピアノばかり。

 Franz Joseph Haydn(1732-1809)30歳代前半頃の鍵盤楽器はチェンバロが主流だったのでしょうか。上品なサロンをイメージしての録音らしい。実物は想像以上に音量は小さくて、デリケートなものですよ。もちろん自宅ではしっかり音量を上げて拝聴いたしました。安定した技巧は理解できましたよ。

 ソナタ第14番ハ長調は、左手がシンプルな三連符の伴奏を刻んで、装飾音も弾むような旋律が明るい第1楽章「Allegretto」(3:39)典雅に淡々としてリズミカル、時に暗転もある第2楽章「Andante」は8:27、けっこう長いもの。第3楽章「Menuet - Trio」第2楽章とあまり様子が変わらぬ感じ、1:14はあっという間に終わります。「8人のへぼ仕立て屋に違いない」って、なんかとてもユーモラスな題名ですね。民謡なんだそう。変幻自在の変奏曲になって、時々哀しげな風情の変化が散りばめられた8:43也。

 ソナタ第9番ニ長調は2楽章しかなくて、残り二楽章分は消失したらしいとのこと。可愛らしくも落ち着いた風情漂う第1楽章、途中シンプルなアルペジオ(Bach風?)から暗転して、陰影も感じさせるもの。(6:30)。第2楽章「Menuet - Trio」リズムがもうちょっとゆったりしているけれど、第1楽章とあまり雰囲気は変わらぬ懐かしい3:29也。ソナタ第11番 変ロ長調。第1楽章「Moderato」はしっかりとした足取り、リズム感ににちょっぴり勇壮な感じの出足(8:25)。第2楽章「Largo」哀愁漂う劇的な緩徐楽章、こんな甘美な風情は当時革新的だったことでしょう(4:45)。第3楽章「Menuet - Trio」ゆったり優雅ないかにも「メヌエット」な三拍子、のんびりとした風情にちょっぴり陰影もあるはHaydnの個性満開です。

 ソナタ第12番イ長調。第1楽章「Andante」デリケートな華やかさに溢れて、シンプルな開始でした。この辺り、清明な心境はHaydnの魅力満開なところでしょう。5:44。第2楽章「Menuet - Trio」は先の第11番 変ロ長調第3楽章「Menuet - Trio」によう似た三拍子は軽やかに弾みました。中間部の暗転も魅惑の対比。4:05。終楽章「Finale」に至って、ようやく快速の締めが登場して「ピアノ・ソナタ」(ここではチェンバロ)の形ができあがってきた感じ。2:10はあっという間です。

 さて、モダーン楽器(ピアノ)と比較する愉しみができました。オススメは?

(2017年1月15日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi