Mozart 「レクイエム」
(グロノスタイ/ベルリン放送交響楽団/RIAS室内合唱団)


CPRICCIO(新星堂) SMU-22  10 808/1

Mozart

レクイエム ニ短調K.626

グロノスタイ/ベルリン放送交響楽団/RIAS室内合唱団(1988年録音)
ヴィーンズ(s)シェレッケンバッハ(a)バルディン(t)ファウルスティッヒ(br)

ラウダーテ・ドミヌム〜証聖者の盛儀晩課 K339より
ザードリ(s)/イヴァン・フィッシャー/ブダペスト・フィル/ジュネス・ミュージカル合唱団(1987年録音)

CPRICCIO(新星堂) SMU-22 10 808/1  1,000円

 BBSに書き込みがあったので、更に再聴。「オペラでっか?」という評価は取り消し。(やはりオペラ、というより宗教的作品が似合う)非常に正確で、集中力もメリハリもある合唱であることに間違いはない。(「涙の日よ」の微妙微細なニュアンス!「主イエスよ」の正確なリズム感!)大仰なる、一時代前を連想させるような世界ではありません。淡々として、全体としてクールでおとなしい、といった印象が付きまといますね。これはオケの表現力(指揮者の問題か)が不足しているせいでしょう。声楽ソロは適度な感情移入もあって、悪くない。

 ベルリン放響(旧西)自体は、透明で素直に響いていると思いますよ。ところが、なにもしない、というか、やはり伴奏に徹している、合唱を聴いていただきましょう、といった抑制がありすぎ。これはワタシの好み問題ですから、「こんな真水のような清廉な表現を求めていた!」という人はいらっしゃるかもね。感情の動きが少ない、達観した解釈に至っていて、聴き込んでいくとジワジワ味が滲み出してくるような、そんな演奏か。

 でも、やっぱりワタシには物足りない。面白みが足りない。もっとウェットな演奏が好き。塩分控えめ、薄味がカラダには良いに決まっているし、爆演系はもとより好みから外れてはいるが、グロノスタイ盤を全面賛同できない・・・こういう演奏は飽きが来ませんか?

(2005年4月20日)


 5年ぶりの再聴となります。新星堂Mozart 1000シリーズ(CPRICCIO原盤)は1990年に出されました。全部で何巻だったのかもう知る由もないが、手許に17枚残っております。いまとなっては入手が難しい録音もたくさんありました。合唱指揮者として有名なグロノスタイの「レクイエム」もそんな一枚。ジュスマイヤー版です。

 管弦楽はほとんどそっけなく、おとなしく伴奏に徹している、という感想はその通り。でも全体が「おとなしい演奏なんです」というのは少々違うんではないの?と。合唱、ソロがけっこう雄弁。朗々と表情をつくり、メリハリもあってやや浪漫的、劇的と呼んでも差し支えない表現だと思います。もちろん時代錯誤的な濃厚な表情、ということはないが。このCDを聴いて以来10年余、ノン・ヴィヴラート少人数の合唱を聴き慣れたせいでしょうか。

 声楽ソロが絡み合うところなど、やや”清楚”と言いがたいテンションの高まりもあって、オペラでっか?と伺いたくなる場面有。スタイルはともかくとして、正確なアンサンブルと豊かな表情の〜刻々と感情が変化する〜合唱団だと思います。ま、ジミなのはオケなんですよね。古楽器スタイルじゃないから、大人数がちょっと中途半端というか、表現としては浪漫派よりなのに、オケの響きあくまで薄めで・・・といったところでしょうか。

 いずれにせよ、我らがヴォルフガング畢生の名曲に感動します。数年前のワタシはジュスマイヤーのお仕事に文句付けているが、いまだったら「ちゃんと完成させてくださってありがとう」と素直に感謝できます。しかし、この演奏は不満ですね、少々。「ラウダーテ・ドミヌム」が続くでしょ?こちらの完成度は高くて、ソロ・合唱・管弦楽のバランス最高です。真摯な祈りが溢れました。「合唱寄りのレクイエム」も悪くないが、素敵な管弦楽バックもちゃんと聴かせて下さいね。(2004年6月4日)


 グロノスタイというひとは、どちらかといと合唱畑の指揮者じゃないでしょうか。FM放送でBach のロ短調ミサ曲を聴いたこともあります。(ただし、経歴詳細は知らない) わりと新しいデジタル録音で、音の状態は良好。ちゃんと調べたわけではありませんが、国内盤で出たのはこれきりでしょう。

 おそらくワタシが声楽曲を本格的に聴いたのは、この曲だったはず。リヒターのとても厳しく、緊張感のあるLPで馴染みました。(キング世界の名曲1000シリーズ)極上の、これ以上ないといった旋律の美しさ。心洗われる合唱の繊細さ。制限された楽器編成でも、なんの不満も感じさせないプロのワザ。このCDはジュスマイヤー版ですが、師と弟子の歴然たる才能の違いはどんな素人にも理解できる。

 名曲だけに、版も含めて古今東西の個性的な名盤がひしめいていますが、このCDはひときわ地味。おとなしい演奏なんです。合唱団が有名なRIAS室内管ですので、オケは旧西側(現ドイツ響)のベルリン放響と類推されます。技術的、アンサンブル的にはまったく問題はなくて、スッキリしているというか、淡々としているというか、そんな感じ。

 テンポの揺れとか、強調、えぐりが、ほとんど、というか、まったくないんです。劇的な旋律ですから、アクセントで決めたいところはたくさんあるはず。でも、そんなところもサラリと流して、おとなしい、物足りないくらいのそっけない管弦楽。明らかに合唱団主体で、オケは伴奏に徹しているという珍しい演奏。

 声楽〜ソロ・合唱とも〜は、その清潔で、軽快な歌いぶりでじゅうぶん満足できる水準。最初からさいごまで、心安らかに聴ける、ほとんど真水のような〜銘水でしょうが〜、つまり、演奏者を意識させない、曲そのものを味わうための貴重な演奏なんです。ラスト「永遠の光」で、冒頭の旋律が戻ってくるときの懐かしい感動もひとしお。

 「ラウダーテ・ドミヌム」の、心温まる、安らぎの旋律は、そのまま続けても違和感はありません。ザードリはしっとりとしたソプラノで、敬虔な宗教的畏敬の念があふれています。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi