Grieg 弦楽のための作品集
(ステファン・バラット=ドゥーエ/オスロ・カメラータ)


 Grieg

組曲「ホルベアの時代より」 作品40
2つの悲しき旋律 作品34より第2曲「過ぎし春」
2つのメロディ 作品53「ノルウェーの旋律」「初めての出会い」
2つの抒情的小品 作品68より第2番「ゆりかごの歌」
2つの悲しき旋律 作品34より第1曲「傷ついた心」
2つのノルウェーの旋律 作品63「民謡風に」「牛寄せの声と農民の踊り」
ペール・ギュント 組曲第1番 作品46より「オーゼの死」

ステファン・バラット=ドゥーエ/オスロ・カメラータ

NAXOS 8.557890 2005年録音

 Stephan Barratt-Due(1956-諾威)はヴァイオリニスト、教育者らしい。Oslo Camerataは1998年に創立されたアンサンブルとのこと。NAXOSは知名度さておき、世界各地の演奏者を発掘して玉石混交、これはもちろん玉でしょう。小編成、きりりと引き締まって清潔、速めのテンポが躍動しております。母国が誇るEdvard Grieg (1843ー1907)はその昔音楽の授業で習った知識によると「国民楽派」たっぷり北欧ローカルに濃厚、溌溂、時に哀愁の旋律が並びました。選曲も文句なし。

 組曲「ホルベアの時代より」は、もともとピアノ独奏曲から編曲され、こちらのほうが有名になったんだそう。名曲中の名曲でっせ。Ludvig Holberg(1684-1754誰やらよう知らん)の時代、すなわちバロック形式を借りた借りた組曲。前奏曲(Allegro vivace)は快活溌溂にウキウキしてカッコ良い!聴き馴染んだ演奏よりいっそうヴィヴィッド軽快な開始(2:33)サラバンド(Andante espressivo)とはいかにもバロック風題名、内実は優しく哀愁を帯びた旋律が陰影のあるもの(3:24)

 ガヴォットとミュゼット(Allegretto-Poco piu mosso)は仏蘭西舞曲、センスはぐっと今様に颯爽としたリズム感に溢れます。(3:15)アリア(Andante religioso)と云う題名はBachを連想させ、こちらたっぷり浪漫の哀愁、嘆きの深い世界が詠嘆するもの。(5:28)リゴドン(Allegro con brio)も仏蘭西の舞曲、いかにも風バロックの衣装を借りた合奏協奏曲風、ピチカートも応酬して先人への敬意を評しておりました。アンサンブルは高い技量を誇ってデリケート。(3:53)

 「過ぎし春」(4:21)「傷ついた心」(3:19)は題名だけでも泣けるような、実際そっと呟くような諦念の旋律は繊細の極み。薄幸のヒロインの物語みたいなイメージ。「ノルウェーの旋律」は素朴に歩むようなリズム感に始まりました。(3:43)「初めての出会い」は題名だけでもステキな静謐(3:43)「ゆりかごの歌」もよう似て、抑制された囁きが続きました。(3:07)これもピアノ・ソロがオリジナルでしょう。

 「民謡風に」哀しみに溢れて静謐に懐かしく、やがて嘆きの声は高まりました。(6:51)「牛寄せの声と農民の踊り」こちらは夢見るようにゆったりと田園風景〜楽しげな踊りが快活そのもの。(1:56-2:04)ラスト「オーゼの死」は誰でも知っている旋律、ペール・ギュントの母オーゼを看取る場面。荘厳な哀しみが辺りを包み込みました。(4:20)

(2021年7月31日)

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written by wabisuke hayashi