フランス・オペラ・ハイライト(ポール・パレー/デトロイト交響楽団)


PHCP-20397 Gounod(グノー1818-1893)

歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
ワルツ/クレオパトラと黄金の杯/ヌビア人の踊り/クレオパトラとヌビアの奴隷たちの踊り/トロイ人の娘の踊り/ヘレネの踊り/フリギア人のバッカナール/第2幕のワルツ

He'rolde(エロール1791-1833)

歌劇「ザンパ」序曲

Saint-Sae"ns(1835-1921)

歌劇「サムソンとデリラ」〜バッカナール

Thomas(トーマ1811‐1896)

歌劇「ミニョン」〜ガヴォット

Massenet(マスネ1842-1912)

演奏会用序曲「フェードル」

Auber (オーベール1782-1871)

歌劇「王冠のダイヤモンド」序曲

ポール・パレー/デトロイト交響楽団(1960-62年)

MERCURY録音 これはGX659という駅売海賊盤980円也

 これは往年のMERCURY名録音の海賊盤です。なんせ1990年代初頭に入手したもの、掲載した写真はネットより拝借いたしました(PHCP-20397)収録が微妙に異なってBerliozの「王の狩りと嵐」とかBizet「ジプシーの踊り」が含まれません。こちらの収録がLPオリジナルなのかも。駅売海賊盤の件はかつてさんざん言及、既に歴史的役割を終え、ヘタするとオリジナルより高くなってしまいました。棚中在庫カウントしてみると概ね100枚弱?なんとかオークションにて売ったり、2007年岡山を転居するときに地元図書館に寄付したり、往年のピーク時の1/4-1/5へ。もうこれ以上、にっちもさっちも身動き取れまへんで、CD収納棚最下段に厳選在庫、しっかり生き残っております。25年前は「1,000円激安!」、懐かしいけど合掌。閑話休題(それはさておき)

 1960年前後、自動車の街デトロイトに出現した驚異のアンサンブル+極上の音質音源も、ぼちぼちパブリック・ドメインに至っております。

 こういったお洒落、小粋、素敵な小品集って人気なくなったんじゃないでしょうか。演奏会演目にも見当たらんなぁ、なかなか。かつてFMを熱心に聴いていた人には懐かしい、甘美な旋律続々登場します。どれも、さらりとあまり飾りや品を作らず、さっぱり表現、ニュアンスにも欠けない表現は名人芸。Gounodの歌劇「ファウスト」バレエ音楽がこのCDのメイン、始まりました。

 いきなりの充実した金管の鮮烈な合奏〜優雅な弦を中心としたワルツ開始です。これは誰でも知っている旋律、ほんの短いものだけれどJ.Straussより粋なんじゃないか。「クレオパトラと黄金の杯」は落ち着いてゆったり優雅な4分半。続く「ヌビア」ってどこ?所謂シロウトが想像するところのアラビア風エキゾチックな音楽でした。「クレオパトラとヌビアの奴隷たちの踊り」は付点のリズムによる、軽快かつ気品溢れる旋律であります。

 「トロイ人の娘の踊り」〜これがおそらくいちばん著名な、美しい典雅な旋律は全曲中の白眉、ポール・パレーは快速さっぱりと駆け抜けます。(1:49/FM番組のテーマになっていた)「ヘレネ(フリネ)の踊り」はちょっぴり剽軽、軽快な付点のリズム。Bacchanale (バッカナール)とは酒の神バッカスの宴の意だそう、フリギア人とはギリシア神話によく登場する、現在のトルコ辺りの住民だったらしい。金管中心に賑々しい、華やかな世界が繰り広げられる5分間。ラスト、「第2幕のワルツ」も著名な旋律、ぐっとエッヂとスウィングの効いたワルツであります。

 名曲!最高。わずか20分ほど、なんて楽しい作品なんでしょ。実演で、できればほんまのバレエも見てみたいもの。

 歌劇「ザンパ」序曲は、これも中間部がFM番組のテーマに使用されました。イタリアの海賊ザンパはシチリア島の金持ちルガーノを誘拐し身代金を要求するが、娘カミールラを見て彼女を身代金代わりに要求。しかし、彼女の許婚は云々〜といった筋立てらしいが、全曲録音ってあるんでしょうか。(いろいろ調査したが、ないみたい)そんな期待を抱かせるほど、変幻自在な各場面展開が想像させる素敵な音楽が次々現れます。歌劇「サムソンとデリラ」は、所謂ド・シロウトが想像するところのアラビア風旋律に導かれ、熟達の管弦楽技法によって大爆発に至る緊張感〜これも著名な作品でしょう。もの凄く、管弦楽効果、オーケストラの技量が試される賑やかな音楽であります。

 「ミニヨン」のガヴォットは2分ほど、ユーモラスな息抜きでしょう。「フェードル」は悲劇的な旋律が重く、劇的な開始であります。やがてシンフォニックな展開を見せて堂々たる構え〜優雅な中間部を迎えました。なにか没ったオペラ用の作品ですか?このCD中、特異なスケールを誇っております。ラスト歌劇「王冠のダイヤモンド」序曲もFM番組のテーマに使われれました。静謐かつ優雅繊細、ゆったり流れるような素敵な音楽〜剽軽な管楽器の調べ〜華やかな疾走、爆発〜ありがちな展開はノリノリ、ウキウキさせる7分ほどの愉悦。これもちゃんと全曲録音あるのでしょうか。ネットで探してみたけれど、見当たりません。

(2014年1月12日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi