Ginastera バレエ音楽「パナンビ」作品1/バレエ音楽「エスタンシア」作品8
(ジゼル・ベン・ドール/ロンドン交響楽団)


NAXOS 8.557582 Ginastera

バレエ音楽「パナンビ(蝶)」作品1(全曲)
バレエ音楽「エスタンシア」作品8(全曲)

ジゼル・ベン・ドール/ロンドン交響楽団/Luis Gaeta (bbr)/Luis Gaeta (ナレーター)

NAXOS 8.557582  1997年録音

  Alberto Ginastera (1916-1983)はアルゼンチンのCoplandと呼ばれた由。英Coniferから買い取った音源だそうで、NAXOSは気骨あるレーベルですね。「エスタンシア」はやたらと元気の良い、血沸き肉踊る組曲版(4曲)を聴いたことがあって、全曲は初録音なんだそう。「パナンビ」は往年のEVERST録音が有名、でも拝聴機会はありませんでした。ジゼル・ベン・ドールはウルグアイの女流指揮者とのこと。

 2015年5月に一度聴いて曰く

なかなか立派なアンサンブルにティンパニの大活躍も聴き応え充分・・・但し。音質は良好なんだけど、音量が低く、音場遠く散漫、聴き手の体調もあるのか”アツくノリノリ”ってな感じじゃない、どこか醒めているような・・・(「パナンビ」)

あちこち魅惑の土俗的リズムと旋律が躍動して、迫力たっぷりな打楽器も活躍、ロンドン交響楽団は整ったアンサンブル+クリアな音質にアツさ、ノリが足りない。粗っぽくても作品へのアツい共感が欲しいところ、もしかしたらベン・ドールの統率問題か?(「エスタンシア」)

 散々なコメントはいかにも聴き込みが浅く、聴き手が集中できていないのが明々白々。反省しての再聴です。オーディオ専門筋によると「肌理も粗くどことなく薄っぺらいのだけれど、くっきりした直接音に豊かな余韻が伴い、音の混濁やノイズ成分は少ない。クリアでシャープな音がする。マイクが少ないのだろうか?低域のカットオフも緩めで、低音弦の地鳴りのような響きもそこそこ伝わってくる。Dレンジの広いパナンビは再生が難しいが、チューニングが決まるとオーディオ的快感がある」とのこと。要はするに我が家の激安オーディオ問題だったのでしょう。ヴォリュームを上げてしっかり再聴いたしました。うむ、たしかに目の醒めるような鮮度、迫力ですな。

 バレエ音楽「パナンビ(蝶)」作品1は1937年ブエノスアイレス国立音楽院在学中21歳の作品らしい。「エスタンシア」が叙情(静寂)と劇的変拍子(打楽器大活躍)にノリノリの対比を見せて、いかにも熟練!こちら未だ素直というか南米の個性はほんわか、むき出しに非ず。全体に静謐に整った、美しいサウンドであります。全体にややDebussyの影響(幻想的なサウンド)を感じさせ、時に激しい打楽器の多彩な迫力がアクセントに。この辺りはStravinskyか(第4曲「Warriors' dance」打楽器乱舞)。けっして若書きの習作ではない名曲と思いますよ。さきのオーディオ通の方が「Dレンジの広いパナンビは再生が難しい」と書いた通り、弱音を上手く再生できるか(たいていロマンティックな旋律ばかり)どうかで作品印象は変わるでしょう。

 ラス前「The warriors threaten the Sorcere」(どーもWarrior-戦士というのが迫力打楽器らしい)〜ラスト「Dawn」(夜明け)の爽やかなこと!

 「パナンビ(蝶)」は若書きの習作ではない名曲と書いたけど、「エスタンシア」の技法の熟達を聴けばその差は歴然でしょう。冒頭「Dawn - Introduction and Scena」の土俗的な変拍子リズムを聴くだけで、ノリノリに血沸き肉踊るエキゾチックな雰囲気爆発・・・そこに意味ありげに静かなナレーターが入る(意味不明理解不能)。続く静謐な「Morning - Wheat Dance」はもうDebussy風ではない、オリジナル甘美な優しさ溢れます。厚みのあるロンドン交響楽団のホルンも魅惑の音色。静謐部分がややつかみどころがない「パナンビ(蝶)」に対して、こちら静寂対比のわかりゃすさ、変拍子リズムのヴィヴィッドなノリがダイレクトに伝わります。大衆的、農村労働者のための明るいStravinskyといった風情か。(「The cattlemen - Entry of the foals」にその影響顕著。南米風「春の祭典」)「The townsfolk」はHonneger風?

 「Afternoon - 'Triste' from the Pampas」にLuis Gaeta の朗々たる愛の歌(?)が・・・バスバリトンはずいぶん艶やかな高音が出ております。「Rodeo」のリズムの激しさは本場物、Coplandより実践的、ここはオーディオ的にも一番オモロいところ。ロンドン響の打楽器+金管の腕の見せ所はわずか 2:02也。その対比「Twilight idyll」「Night - Nocturne」と安寧が甘美に続いて「Dawn」(Dinasteraって夜明けが好きなんですね)ラスト、「Malambo」はガウチョの土俗的なリズムで締め括り最高潮へ。音質迫力最高。だれや?「粗っぽくても作品へのアツい共感が欲しいところ、もしかしたらベン・ドールの統率問題か?」んな戯言書いたのは(=ワシや)。

(2016年8月12日)

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written by wabisuke hayashi