フランス・バロックのファゴット作品(ジョージ・ズカーマン)


CARTON 30371 00042 Boismortier

ファゴット協奏曲ニ長調

ジョージ・ズカーマン(fg)/フェルバー/ヴュルテンベルク室内管弦楽団

Couperin(Francois)

2本のためのファゴットのための協奏曲ト長調

ズカーマン、ユルゲン・ゴーデ(fg)

DEVIENNE

弦楽とファゴットのための四重奏曲ハ長調 作品73-1

ズカーマン(fg)/ズザーネ・ラウテンバッヒャー(v)/フランツ・ベアー(va)/トーマス・ブリース(vc)

CORETTO

4本のファゴットと通奏低音のための”ラ・フェニックス” ニ長調

ズカーマン、ゴーデ、フリッツ・ヴォルケン、カール・スタインブレッヒャー(fg)/マルティン・ガリング(cem)

CARTON CLASSICS 30371 00042 録音年不明(p)1996

 

これLP時代からお気に入りでした。このCDは当時のデザイン(turunabout)を忠実に再現しております。(だから収録42分しかない)いやぁ、ノンビリして楽しいですなぁ。ズカーマンって、どんな出目か調べが付かなかったけれど、昔からコロムビア・ダイヤモンド1000シリーズで馴染みでしたね。ユーモラスで軽快で鮮やかな演奏です。Weber+Mozart の協奏曲もお見事でした。録音も良好。(「音楽日誌」2006年1月より)
 ・・・そうかぁ、こんなCD未だ棚にあったんですね。LP時代も所有していたのか、若い頃からマニアックだったのだね。ジョージ・ズカーマン(fg)はその後、情報を種々いただきました。カナダの大ヴェテランはご健在でしょうか。録音情報は掲載されず、CD番号で検索しても出現せぬ珍盤であります。若い頃LP時代より、こんな類の音源を拝聴してマニアックでした。かなりノンビリとした仏蘭西バロック集でんな。演奏スタイルともかく、音質かなり良好。

 Boismortier(ボアモルティエ1689-1755)は大Bach とほぼ同い年、ニ長調協奏曲は作品21なのか、他に聴く機会はないので自信はありません。豊かな残響+優雅な弦楽アンサンブル(金属的な現代チェンバロも聴こえる)に支えられ、ズカーマンは悠々朗々と奏して気持ち良い感じ。細かい音形が上下する明るい第1楽章「アレグロ」から微笑むように楽しげであり、第2楽章「ラルゴ」はノンビリ、ゆったりと繊細に歌ってバックとの息の合い方もお見事。終楽章「アレグロ」は再び、明るく流れよく、軽妙に動きある旋律は(おそらく)超絶技巧。テンポは急がず、中庸なんじゃないでしょうか。ま、快速ファゴットなんて、あり得ぬのかもしないけど。

 弦のたっぷりニュアンス表情付けは、いかにも”昔風”。リズム感を強調しないことが、牧歌的な雰囲気をいっそう際立たせております。わずか7分半ほど。

 Couperinの作品は、協奏曲となっているけれどファゴット2本による無伴奏作品。珍しいでしょ。「プレリュード」「エア」「サラバンド」「シャコンヌ」「ガイメント(陽気に)」の5つのヴァリアントより成り立って計12分ほど。やや細身、明るい音色(楽器が違うのかも/高音部担当?)のユルゲン・ゴーデ(マンハイム・プファルツ選帝候室内管弦楽団のメンバーか)と絡み合って、陰影豊か、ユーモラスを基本に時にもの哀しい旋律が顔を出しました。(とくに「シャコンヌ」が素敵〜Bach 辺りをイメージするとずいぶんと牧歌的)ラスト「ガイメント」には高音主体、愉悦が溢れました。

 DEVIENNE(1979-1803)はフツウ、クラリネット四重奏みたいな室内楽風、ソロがファゴットに置き換わっております。時代は既に我らがMozart に至っていて、ちょうどそんな楽しげ、溢れるような喜びに充ちた明るい旋律続きます。まさにヴォルフガングを彷彿とさせ、名手(地味渋なる)ラウテンバッヒャー(v)を先頭に、ノリノリのアンサンブル!第1楽章が短調に崩れていくところなど、ほとんどクリソツ。ファゴットと弦楽器の緊張感も文句なしの作品、そして演奏。音質もこれが一番良好かも。第2楽章「アレグロ」は、Mozart ホルン協奏曲第3番 変ホ長調K.447第2楽章「ロマンツェ」(やはり)激似な安寧に充ちた甘美な旋律です。終楽章「アレグロ」は春の野を軽快にステップするような、眩しいほど明るさいっぱい。14:24文句なしの名曲、もっと知ってほしい!このCD一枚中の白眉でしょう。

 ラスト、4本のファゴット+チェンバロ(通奏低音)という凝った編成はCORRETTE(1709-1795)の作品。これってオリジナルはチェロ用ですか?wikiによると、この人の作品旋律はボロカスに評価されているらしいけど、なんやらとても楽しくて、4人の太ったおっさん達がノンビリ、楽しげに会話している風情有。笑顔ユーモラスな行進曲を連想させる第1楽章「アレグロ」、ゆったりちょっぴり湿っぽい味わいのアダージョ、快活な躍動を感じさせるゴキゲンなアレグロ〜3楽章からなるわずか10分弱の作品です。

(2013年6月26日)


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written by wabisuke hayashi