Kuhlau「妖精の丘」序曲/Lumbye 幻想曲「夢の光景」「アウグスト・ブルノンヴィルに捧ぐ」/
Schubert 交響曲第8番ロ短調「未完成」
(フレデリク9世/デンマーク王立歌劇場管弦楽団)


Kuhlau「妖精の丘」序曲/Lumbye 幻想曲「夢の光景」「アウグスト・ブルノンヴィルに捧ぐ」/Schubert  交響曲第8番ロ短調「未完成」(フレデリク9世/デンマーク王立歌劇場管弦楽団) Kuhlau(1786-1832)

劇付随音楽「妖精の丘」序曲 作品100

Lumbye(1810-1874)

幻想曲「夢の光景」「アウグスト・ブルノンヴィルに捧ぐ」

Schubert (1797-1828)

交響曲第8番ロ短調「未完成」

デンマーク国王フレデリク9世/デンマーク王立歌劇場管弦楽団

DOCUMENTS 223542 CD6 録音年不明(1950年前後?) 10枚組1,770円で購入したウチの一枚

 DOCUMENTSのボックス・シリーズは時にこんな珍しい音源(デンマーク王立歌劇場管弦楽団ばかり10枚組)を(格安で!)揃えて下さるから油断できない。知名度的にはエドウィン・フィッシャー(p)とかオットー・クレンペラー辺りが有名だけれど、ほか指揮者、作品も知名度低く、しかも音質よろしからぬ、もとより「デンマーク王立歌劇場管弦楽団」自体が知名度が高いとは言えぬ・・・でも、安かったら冒険もできます。お馴染みさんばかり付き合っても、ノーミソ活動も弱りがち。

 デンマーク国王フレデリク9世(1899-1972)って、ほんまもんの王様だったらしいが、正式な音楽教育を受けていたのでしょうか。これはたいへん立派な演奏でして、少々驚きました。音質的には、ま、それなりのモノラル録音でして、音楽の様子を知るには充分な水準だと思います。

 Kuhlau(クーラウ)はフルートの作品をいくつか聴いていたが、管弦楽は初耳です。「妖精の丘」序曲は12分弱の作品でして、劇的であり、華やかでわかりやすい、親しみやすい旋律の宝庫であります。フレデリク9世の指揮ぶりは、スケール大きく、時にオケを大爆発させて堂に入ったもの。この作品は「国王フレデリック6世の娘ヴィルヘルミネと後のフレデリック7世の婚礼を祝福するために作曲された」とのことだから、ご先祖縁(ゆかり)の作品に思い入れもあるのでしょう。

 Lumbye(ロンビー)もデンマークの人か。じつは、このボックス一枚目トップに同一作品が収録され、これがサミュエル・レヴィソン指揮による太古1907年録音!(想像よりずっと聴きやすい音です)つまり、ご当地では馴染みの作品ということでしょう。「夢の光景」は短い甘美かつ楽しげなるエピソードの連続であって、「アウグスト・ブルノンヴィルに捧ぐ」は保育所か幼稚園の運動会音楽風の躍動があって賑々しい。

 さて、フレデリク9世の技量は古今東西名盤犇(ひし)めく「未完成」で試されるでありましょう。かなり著名なる演奏家でも、この作品に確固たる個性を刻むのは至難の業かも。遅めのテンポ、ものものしい雰囲気タップリ、壮大荘厳なる味わいは素人の余技水準ではないでしょう。この人は劇的表現を旨とするようで、濃厚なる浪漫方向(但し、恣意的なテンポの揺れは少ない)表現と感じました。第1楽章、静謐なる旋律から情熱と緊張をタメにタメ、ついぞ管弦楽全体の叫びに至る圧倒的なカタルシスを感じさせて下さったものです。

 デンマーク王立歌劇場管弦楽団は、おそらくは(もちろんCDにて)初耳だろうが、歌劇の伴奏専門的、安易なる技量水準ではありません。陰影に富んだ表現と、繊細なるアンサンブルを誇ります。第2楽章「アンダンテ・コン・モト」も、歌に溢れた幅広い表現が呼吸深く表現されて、メリハリ充分であります。ときに激しい爆発もありました。

(2006年10月20日)


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