Franck ソナタ イ長調(フルート版)/Dutilleux ソナチネ/
Poulenc フルート・ソナタ
(ジャン・クロード・ジェラール(fl)/フランソワ・キリアン(p))


signum SIG X21-00 Franck

ソナタ イ長調(フルート版)

Dutilleux

フルートとピアノのためのソナチネ

Poulenc

フルート・ソナタ

ジャン・クロード・ジェラール(fl)/フランソワ・キリアン(p)

signum SIG X21-00 1987年録音

 2010年頃から本格的にCD処分を初めて、ここ数年オークションに出してもびくとも動かくなくなって、処分は諦めました。CD在庫は最盛期の1/5ほどになって、大型CDラックをいつ処分するか考えているところ。このCDは2008年2月@300オークション入手とのメモ有、当時は知名度なんのその!珍しいものを求めて意欲的でした。Jean Claude Gerard(1944-仏蘭西)は来日もしているようです。いかにも仏蘭西らしい明るい、華やかな音色。Francois Killian(1962-)も仏蘭西のピアニストとのこと。

 Franckのヴァイオリン・ソナタは官能性極まった名曲中の名曲、Wikiによるとピアノ独奏版(Alfred Cortot)や、他チェロとかいろいろ編曲版が存在するとのこと。情感豊かなヴァイオリンはもちろん(ジャック・ティボーが刷り込み)ピアノの存在感が際立つ作品でしょう。第1楽章「Allegretto ben moderato」はピアノのエキゾチックな和音開始に、思っきりエッチなヴァイオリンが呼応・・・に非ず、ここではフルート。もっと端正であり、しっかり襟を糺したような風情に清潔感がありました。話は逸れるけど、MendelssohnとかKhachaturianのヴァイオリン協奏曲をフルートで奏したものを聴いたことがあって、いくら技巧的に優れても表現の幅的に少々窮屈だった記憶がありました。こちらFranckの室内楽はヴァイオリンとは違った、それなりの魅力を感じたもの。(6:36)

 第2楽章「Allegro」。不穏に蠢くピアノは頻繁に転調して、情熱的なフルートが絡みます。主役はピアノ?フルートとのバランスには少々余所余所しい印象があって、劇的な楽章に少々色付けやら力強さが足りないかと。(8:21)第3楽章「Recitativo-Fantasia (ben moderato) 」(幻想的な叙唱)は再び第1楽章風官能的、静謐な対話。頻繁に転調を繰り返して、ここでの主役はピアノでしょう。フルートはDebussyの「シランクス」を連想させて静謐、ちょっぴり和風テイストに朗々と歌います。(7:20)

 第4楽章「Allegretto poco mosso」は平明清々しい主題がピアノ、フルートとカノンして始まります。抑制されたピアノにフルートは天翔ける小鳥の歌のよう。ここでのソロもヴァイオリンより端正、しっとりとした清潔感、たっぷり美しいけれど、表情豊かなヴァイオリンを懐かしく連想しておりました。ちょっと弱い感じ。(6:15)

 Henri Dutilleux(1916ー2013仏蘭西)の若き作品である「ソナチネ」は無調の短い作品。allegro-andante-anime途切れなく演奏される9:31、キラキラと神秘的な魅惑の作品。無調にありがちの難解さ皆無、最終盤は剽軽に躍動して、オリジナルではないFranckよりずっとフルートの個性が生きていると感じました。Francis Poulenc(1899-1963仏蘭西)フルート・ソナタも哀愁の旋律が流麗な第1楽章「Allegro malinconico」(4:24)嘆きのつぶやきのような第2楽章「Cantilena」(4:07)喜びが爆発する第3楽章「Prest giocoso」(3:31)。どれもわかりやすい旋律が続いて、これもフルートの作品としての魅力たっぷり。

(2019年9月7日)

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written by wabisuke hayashi