Mozart 歌劇「フィガロの結婚」全曲
(ハンス・ロスバウト/パリ音楽院管弦楽団/エクサン・プロヴァンス音楽祭)
Mozart
歌劇「フィガロの結婚」全曲
ハンス・ロスバウト/パリ音楽院管弦楽団/エリザベート・ブラッスール合唱団/エクサン・プロヴァンス音楽祭合唱団/パネライ(フィガロ)、シュトライヒ(スザンナ)、シュティヒ・ランダル(伯爵夫人)、レーフス(アルマヴィーヴァ伯爵)、ローレンガー(ケルビーノ)ほか
●NOTA BLU 「I GRANDI DELLA CLASSICA」 93.5140-1/2 1955年エクサン・プロヴァンス音楽祭ライヴ録音 2枚組$3.98(だったはずの個人輸入)
●仏EMI 7243 5 72195 2 5 5枚組税込1,974円。2006年に正規盤を入手しました。
相変わらず歌劇声楽方面は、限られた範囲でしか音楽を楽しむことが出来ておりません。(主にBach 、Mahler か。そしてMozart !)イタリア・オペラに至っては手持ちの有名作品集ボックス(24枚組)を人に譲ってしまって、「心ある音楽愛好家なら座右に常備すべき」作品も揃っていない状態です。歌劇は「画像で見るといっそう楽しい」〜DVDのこなれた価格での普及とか、一方で管弦楽作品以上に新録音経費が嵩むため、歴史的録音の復刻+激安CD化が進んできました。
ハンス・ロスバウトはこの「フィガロ」+「ドン・ジョヴァンニ」(CDは現役)、「コジ・ファン・トゥッテ」のエクサン・プロヴァンス音楽祭の録音が存在するらしい。↓以下は、このサイト初期の素朴というか、なにも語っていないようなコメントだけれど、私的基本状況は変わっておりません。再聴キッカケは、有名なるフリッツ・ブッシュ/グラインドボーン音楽祭の「フィガロ」(1935年)でして、これが正直「ドン・ジョヴァンニ」ほどの興奮を感じない?・・・(これは当然聴き手の未成熟+体調故と類推されるが、それとも歌い手の好みか)そういえば、ロスバウトのCDあったよね・・・と、ほこり被ったCDを棚奥から取り出してみました。
こっちのほうが良いんでないの?「しっとりとした感情移入ではなく、淡泊に(というか、愛想ないというか)さっさと音楽を進めていく感じ」・・・う〜む、そうかなぁ、「熱気は充分で、名の通った歌手の演技に観客のリアクションも豊富」・・・というか、冒頭序曲から躍動する快速!熱気!推進力!明るい表情!集中力!ワタシはオペラ歌手の最近の様子は(というか一般的に、ほとんどなにも)わからないが、ここでの歌い手は(ロスバウトのオーケストラ共々)いきいきとした表情が豊かなこと!センスも現代的。
フィガロ(ローランド・パネライ)は明るく機転の効いた行動力を感じさせ、しかも雄弁、圧倒的存在感。(第1幕ラスト「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」)スザンナ(リタ・シュタライヒ)は夢見るように清楚で可愛らしく(第4幕「愛しいひとよ、早く」)、第2幕「愛の神よご照覧あれ」第3幕「楽しい思い出はどこへ」に於ける伯爵夫人(シュティヒ・ランダル)のなんという落ち着いた気品、「恋とはどんなものかしら」(第2幕)〜ケルビーノ(ピラール・ローレンガー)は(彼女としては)珍しい”ズボン役”でして、ちょっとセクシーで知的なのは、手練れの観客にとって、それはそれで満足の世界なのでしょう。(盛大なる拍手。絡み合う木管の美しいこと!)
省略されることの多いバルバリーナ(マデリーヌ・イグナル)のカヴァティーナ「なくしてしまった」(第4幕)もシミジミ情感が深い。旋律が美しいんです。(ピアノ協奏曲第18番 変ロ長調第2楽章に霊感を与えている。あるいはその逆か)音質云々はEMI盤を聴いたことがないので比較のしようもないが、「良質のAM 放送」程度か。CD2枚分一気に楽しめます。ムリしてあまり昔の録音を好んで聴く必要もないが、「ドン・ジョヴァンニ」も欲しくなりました。 (2005年6月10日)
これはフランスEMIの音源の海賊流用だと思います。オリジナルは聴いたことがないので何ともいえませんが、このCDはAM放送のような音質。低音も伸びず、ぱっとしません。「ロスバウトのMozart 」というのは興味がありました。
NOTA BLUというレーベルは、正規録音から明らかな海賊流用をして、音質を悪化させて激安で売ってくれる、悪魔のようなレーベル。(見つけるとたいてい買います。魂を売ってしまう)
「フィガロ」はオペラの中でも別格の楽しさがあると思いますが、生の演奏もきいたことがなく、わたしは善し悪しを判断するすべを持っていません。それでもこの曲はたくさん聴いていて、ベーム(LP時代のVSOの抜粋が良かった)、グイ(グラインドボーンのやつね。これも抜粋LPでした)、ヴァルヴィーゾ/ウィーン国立歌劇場の来日公演のFM放送のエア・チェック(ヘンドリックスが可愛らしいスザンナ役)テープ、なんかで楽しみました。
CD2枚で収まるくらいですから、テンポは早め。ロスバウトだから、という先入観があるかもしれませんが、全体としてしっとりとした感情移入ではなく、淡泊に(というか、愛想ないというか)さっさと音楽を進めていく感じです。
ライヴならではの熱気は充分で、名の通った歌手の演技に観客のリアクションも豊富。パリ音楽院のモーツァルトも珍しいですよね。ましてやオペラでの演奏となると、録音は少ないはず。ときどき顔を出す木管の美しさは出色。
「フィガロ」は(ワタシの数少ない)筋を知っているオペラなので、スザンナ、ケルビーノ辺りの歌い手に注目したいですね。スザンナは可愛らしくて、賢い感じが欲しい。シュトライヒの歌はぴったりの華やかさがあると思います。(女性に年齢は失礼ながら)当時35歳だったはず。経験と若さが、いちばんバランスのとれていた頃でしょうか。
ズボン役のケルビーノは、意外なことにローレンガーで、知的で色気があるところがおもしろい。「恋とはどんなものかしら」における喝采も納得。このひとはもともとメゾ・ソプラノだったそう。
私がコメントを付けられるはこのくらい。
これからオペラを聴こうという人には、もっと音の状態の良いCDがよいでしょう。オペラは年代物の廉価盤が多いので、どうしても「歴史的録音」ばかり買ってしまうのですが、邪道かも知れません。ワタシ個人的にはおおいに気に入っています。言うまでもありませんが、リブレット(はおろか、録音年月日のコメントさえ)は付いておりません。
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