Field「夜想曲集」<(バルト・ファン・オールト(fp))



COLUMNS 0189 1995年録音(オランダ・ハールレム) $2.99で個人輸入 John Field(1782-1837)

夜想曲集 第1番〜第13番、第16・17番

バルト・ファン・オールト(fp)

COLUMNS 0189 1995年録音(オランダ・ハールレム) $2.99で個人輸入

 暑い。暑いと音楽を聴く意欲が失せる。体力負けして居眠りしてしまう。集中力が著しく落ちる。もともと大曲好きで、Mahler とかBruckner辺りを聴き始めるとハマってしまうし、春にはBeethoven のMYブームがやってくるけど、夏にはさすがにいけません。ま、気分を変える良い機会。

 Fieldは夜想曲(NOCTURNE→これ、名訳ですね)というジャンル(?)を作った人だそうで、音楽関係の本にはよく載っているでしょ?ショパンにも影響を与えた、とのことですが、圧倒的にCDは少なくて、なかなか売っていません。NAXOSがピアノ曲全集に着手してくれているのはありがたい。(未聴)

 オールトは、我が寺神戸亮/鈴木秀美とトリオを組んで、日本では知られているほうながら、「クラシック名盤大全(器楽曲編)」(音楽之友社)で取り上げられているのには驚きました。(ワタシが購入したのは、この本発行前)COLUMNSというレーベルは、バークシャーの個人輸入では安いんですよ。けっこう狙い目。

 ここで使われているフォルテピアノは1823年製のブロードウッドで、この音色が最高。古楽器は「初録音!」なんて宣伝しているような時期には、やたらと素朴すぎてスカスカの響きだったり、技術的にこなれてなくて、物珍しさだけが取り柄、というCDもありました。ここ最近、技術的な問題のクリアは当然として、「オリジナルに近い楽器を使って、どう新しい芸術を作っていくか」を求めたいもの。(ま、不況で安易なCDは売れないということですよ)

 ふわっと軽くて、繊細。現代楽器に見られる威圧感(ま、力強い迫力のこと?)がなくて、やさしく微笑んでいるような音色。色気は充分。響きに奥行きもある。この楽器ならではの艶消しの個性が演奏に活かされていて、夢見るような〜控えめながら〜そっと、囁くような歌。もちろん、優秀な録音のせいもあるでしょう。

 それにしてもショパンそっくりで・・・・というか、ショパンは1810-1849だからショパンが影響を受けているということでしょう。甘く切ないショパンの名曲を、もっと素朴にして、化粧を少々薄くするとFieldになる。シンプルな旋律の繰り返しは、これはこれでジンワリと胸に染みるもの。

 え〜、いわゆる、ここ最近の「癒やし系」音楽です。


関連CD

John Field ピアノ協奏曲第7番ハ短調〜オコーナー(p)/ファースト/新アイルランド室内管弦楽団(ワタシの持っているCDは、SOUND SOUNDCD2005)

 オコーナーは早くからFieldに熱心で、かつては彼の録音しか手に入らなかったものです。このCDは「寄せ集め激安CD」に偶然に収録されていたもの。オーケストラが薄いのが弱点ながら、堂々たるピアノは自信満々。曲そのものも、ピアノの妙技性を存分に表現した立派なもの。この時代に、時々見られる「技巧だけのアホ協奏曲」(ん?失言。リスト、タールベルク辺りが代表選手か)のツマらなさとは別格の美しい曲。

 音質も悪くないが、まだまだ演奏の可能性は残されている感じで、NAXOS盤に期待します。

(2000年8月4日更新)


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written by wabisuke hayashi