Faure ピアノ四重奏曲ハ短調 作品15/ト短調 作品45
(ジャクリーヌ・エマール(p)/ギュンター・ケール、ヴェルナー・ノイハウス(v)/
エーリヒ・ジヒェルマン(va)/ベルンハルト・ブラウンホルツ(vc))
Faure
ピアノ四重奏曲ハ短調 作品15
ピアノ四重奏曲ト短調 作品45
ピアノ五重奏曲ニ短調 作品89
ピアノ五重奏曲ハ短調 作品115
ジャクリーヌ・エマール(p)/ギュンター・ケール、ヴェルナー・ノイハウス(v)/エーリヒ・ジヒェルマン(va)/ベルンハルト・ブラウンホルツ(vc)
VOXBOX CDX5073 1966年/1970年録音 2枚組1,550円(1990年代初頭の相場)→処分後、再購入
未だ20世紀中に以下のコメント有。この2枚組CDはBRILLIANTのFaure室内楽5枚組入手時点、処分いたしました(←辛口レビュー有、明晰で悪くないと思うけどなぁ・・・)。ま、棚中何種も同じ作品CD要らんでしょ、的安易な発想にてオークション処分おそらく500円也。やがて幾星霜を経、Franck ピアノ五重奏曲ヘ短調〜ジャクリーヌ・エマール(p)/レーヴェングート弦楽四重奏団(1955年)を拝聴したら・・・このピアノってプレイエルじゃないの、ほんわか夢見るようにマイルド、官能的な作品旋律が浮き立つように・・・彼女のピアノってこんな繊細に暖かかったっけ? 彼(か)のFaureをもう一度聴きたい!と思っても後の祭り、やがてBRILLIANTの新しいセット「Faureエディション」にはこの音源含んでいるらしいことを発見、しかし今更ねぇ・・・19枚セットですし。(単品でも入手可能でした)
ある日、この2枚組amazonマケプレにてこのCDを偶然発見@200ほど〜数週間うんうん悩んで@47にまで値下がったら、ガマンし切れず注文(+送料340円)・・・十数年を経ても聴き手に知的前進なし、愚かな出戻り買いは、しっかり聴いて元を取りましょう。(オークション処分〜再購入黒字が出ている!)到着迄数日、その間偶然ネットよりデータ入手したギュンター・ケール/マインツ室内管弦楽団によるBach ブランデンブルク協奏曲は思わぬヴィヴィッド、豊かな仕上げにびっくり!そんな期待と経緯もありました。
●
(ここ迄執筆、放置半年・・・)数多くの作品、演奏を自由に聴ける環境が実現したこと=音楽作品を虚心に愉しむとことにならぬのは、なんというシニカルな悲劇なのでしょう。気力体力充実して、将来に夢があり、ひとり息子も小さくて可愛かった20数年前、Faureの美しい旋律を堪能すべく購(あがな)ったCDはこれ、なにより”安い”ということが主眼でした。要らぬ知識、先入観もなく、Jacqueline Eymar(1922-2008)名前さえ正確には読めなかった。まず作品をしっかり聴くこと、それはそれでシアワセだったのか。
この2枚組を久々に拝聴して、作品の粋、カッコ良さにしびれました。音質良好。(エマールともかく)ギュンター・ケールは(おそらく)独逸系、知名度もほとんどなし。その後ERATOの仏蘭西系演奏家を多く聴いて(こちら演奏がどーの、というほど室内楽を聴き込んでいないから、云々などできるはずもなし)ド・シロウトなりに美しい旋律を愉しみましょう。
ピアノ四重奏曲第1番ハ短調は第1楽章「Allegro molto moderato」から決然とメリハリしっかりしたピアノと弦楽との対話。エマールのピアノは1950年台のFranck ほどの妖しい香りはない(おそらく楽器が異なる)けれど、品を作らず粋に不足せぬ自然体でしょう。第2楽章「Scherzo: Allegro vivo」は軽妙ヴィヴィッドな歩み、第3楽章「Adagio」の嘆きは深淵、安らぎもあり、終楽章「 Allegro molt」はピアノの切迫したアルペジオに乗って、スタッカートしたリズムの弦が気紛れに歌い続けました。チェロの優雅な歌が際立ちます。Brahms 辺りとは風情が異なって、アツい激情に非ず。快い疾走、余裕のフィナーレは、淡彩に甘い旋律連続、名曲。(28:39)
ピアノ重奏曲第2番ト短調。第1楽章「Allegro molto moderato」はさざ波のようにピアノがほの暗く開始、静謐優雅な弦を支えます。第2楽章「Allegro molto」はスケルツォ、切迫緊張したピアノが疾走します。第3楽章「Adagio non troppo」はもの哀しい甘美な嘆き満載、弦を中心に静謐憂鬱、夢見るような歌が続きました。ここもFaureらしい優雅な世界だ。
終楽章「Adagio molto」には激しさがあり、それは3/4拍子の優雅なリズムが前提でした。ぞくぞくするようなカッコ良い旋律やなぁ。ピアノと弦は緊密な対話を続けて、やがて明るく全曲を閉じます。全体として独逸勢の生真面目な弦に引きずられた方向でしょうか。ワタシは仏蘭西系の室内楽のファンであった!そんなシンプルなことを思い出したものです。(31:27)
弦楽五重奏も一気に聴こうとトライしたけど、集中力続かず断念。また機会を改めましょう。 (2014年11月30日)
●
馴染みのない演奏家ですが、ピアノがフランス、弦がドイツ系の人たちでしょうか。(読み方はいい加減。ギュンター・ケールはVOXでマインツ室内管の指揮をしています)哀愁と幻想漂う旋律の魅力には抗しがたいものがありますね。Debussyに似て、もうすこしオーソドックスで保守的、そして甘く聴きやすい。
ワタシ、室内楽はなぜかBeethoven が苦手でして、フランス系のがけっこう好きなんですよ。Franck 、Chausson、もちろんDebussy、ラヴェルもお気に入り。(たいていVOXが格安で出してくれています)このFaureは4曲とも短調なんですね。
全体に真面目でキッチリとした演奏ぶり。フランスが香るような雰囲気や、輝かしい音色は期待できませんが、手堅く、まっすぐで、そう悪いもんでもありません。ピアノの安定感は抜群。Faureの美しい旋律をタップリ4曲分、楽しませてくれる貴重な録音。ちなみにVOXには同じ顔ぶれによるピアノ3重奏曲ニ短調の録音も有。
ハ短調の四重奏曲は、調性から想像されるよりずっと穏和な曲。リリカルでエキゾチックな旋律の宝庫。スケルツォにおける軽快なリズム感は聴きもの。アダージョの「泣き」も適度な抑制が効いていて美しい。最終楽章における、とくにチェロの雄弁な歌、力強いアンサンブルとノリ。
ト短調の四重奏曲は、劇的で細かい音形の旋律で始まります。不安をはらんだ甘い旋律と、力強い決然としたスケールの対比。弾き崩しとか、流した感じのない明快な演奏ぶり。自然と身体が揺れる快いリズムの高揚。
ギュンター・ケールのヴァイオリンが、あまり美音でないのは少々残念。でもチェロのやるせない歌はたまらない。追い立てられるようなテンポの第2楽章では、疾走するピアノは魅力充分。アダージョの静謐さ、最終楽章のほの暗く、浪漫的な旋律の妙。
ピアノ五重奏曲はヴァイオリンが一本増えただけなのに、ずいぶんアンサンブルに奥行きが出ますね。音楽のスケールも大きく感じます。主役のピアノは、全体のアンサンブルの中に溶け込んで、意外と地味な役割に。
ニ短調五重奏曲は、粉雪が舞い落ちるようなピアノで開始されます。甘やかで、悲劇的な弦の叫びがそれに絡んでいく。胸が締め付けられるような、静かで複雑な旋律。頻発する転調による、色合いの多彩な変化。
アダージョの沈静した安らぎ〜興奮への移行。終楽章のノンビリとした牧歌的な味わい〜よろこびに満ちたフィナーレに至ります。
ハ短調五重奏曲。弦の厚いユニゾンが熱っぽい。絶え間なく続くピアノのアルペジオが、バックで美しく響いています。第2楽章は「アレグロ・ヴィーヴォ」となっていますが、スケルツォですよね。軽快でユーモラスな短い楽章。集中力ある、ノリノリの演奏。
一転して第3楽章の陰鬱な静けさ。悲しみ。やがて来る感興の高まり。終楽章における変幻自在な旋律の気紛れなこと。ちょっと、あっけない幕切れ。
録音はVOXにしては、ずいぶんマシなほうでしょう。ややデッドで、繊細さにも不足しますが、鑑賞の妨げになるような水準ではない。エラート辺りからも、良心的な価格でFaureの室内楽は手に入ります。そちらの方が有名な演奏家で、評価も高い。
VOXのほうはいっそう安く手に入りますので、もし「まだ聴いたことがない」のでしたら、試しに買ってみて下さい。(最近、目にしませんけどね)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
|