Chabrier 狂詩曲「スペイン」/Ravel 「ボレロ」/
Turina Rapsodia Sinfonica「交響的狂詩曲」(デヴィッド・ワイルド(p))/
La Oracion del Torero「闘牛士の祈り」/La Pajara Pinta(パハラ・ピンタ)
(ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団)


EMI 1 J 063-01642 Chabrier

狂詩曲「スペイン」

Ravel

ボレロ

Turina

Rapsodia Sinfonica「交響的狂詩曲」(デヴィッド・ワイルド(p)

La Oracion del Torero「闘牛士の祈り」

Espla

La Pajara Pinta(パハラ・ピンタ)

ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

EMI 1 J 063-01642 1970年前後の録音?

 この音源は掟破り(未だ著作隣接権が切れていない)に間違いないけれど、あちこち探してみても現役では探せぬ貴重音源。1975年発売のLPとのこと、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団という名称から考えて、1970年前後の録音と類推いたしました。左右の分離はっきりとして、かなり鮮明な音質であります(例の如し、やや低音が弱い)。この指揮者は西班牙系独逸人でして、おそらく基本は独墺系音楽、+西班牙系レパートリーを多く録音して、欧州ではともかく、日本ではあまり好まれないこの類の音楽をたっぷり、たくさん楽しませて下さいます。ありがたいこと。

 狂詩曲「スペイン」と「ボレロ」は売れ筋。いくらでも賑々しく、元気いっぱいに演奏可能な「スペイン」は、やや抑えたテンポ、清潔明るい響き、切れ味ある整ったアンサンブルにて美しく仕上げられております。かっちりとして曖昧さがない。「ボレロ」も同様、クールにリズムを刻んで、熱狂系ではない、正確さを前面に立てております。テンポはやや遅め、イン・テンポを守って各パートは自分の色(節回し、色気)を強調しない。静謐から始まって、淡々とボリュームを上げても熱狂しません。当時のニュー・フィルハーモニアも洗練され、上手いですね。

 響きは濁りなく、アツくならず、細部明快明晰なまま、華やかな盛り上がりがやってきます。かなり知的な「ボレロ」でした。

 この後収録分が意外と聴く機会が少ないもの。Turina 「交響的狂詩曲」は美しくも幻想的なピアノ協奏的楽章であって、デヴィッド・ワイルド(David Wild)は英国のピアニストらしい。雰囲気は著名なる「スペイン庭の夜」に似て、いっそう親しみやすい甘美な旋律に溢れます。オーケストラはデリケートであり、弦の美しさ(ヴァイオリン・ソロも絡む)は絶品です。途中細かい音形がスペインの軽快名妙なるリズムを刻んで、ピアノは知的に淡々と進んで(ここでも)響きは濁りません。9分弱の夢見るような名曲也。

 「闘牛士の祈り」も「カルメン」辺りの知識で接すると拍子抜けするような、静謐誠実なる”祈り”であります。弦のみで表現される闘牛士の内なる懺悔、安寧の心象風景でしょうか。これも中間部から例の西班牙旋律リズムが躍動して、盛り上がりがやってきます。Turinaって、西班牙の色付けを伴った驚異のメロディ・メーカーだったんですね。オーケストラのアンサンブルの優秀さにも驚かされました。8分ほど。

 La Pajara Pinta(パハラ・ピンタ)って、いろいろ調べたが、意味がようわかりません。子供向けの鳥のキャラクターなのかな?ユーモラスに啼き交わす小鳥の対話みたい。剽軽で荒唐無稽、軽妙なリズム(時に大きな一撃も!)に乗って、平易かつ優しくも短い旋律が続きます。ここでは木管の上手さが光ってますよ。ここでもサウンドはあくまで上品、洗練されたアンサンブルが続きました。ここでようやくカスタネット登場。10分ほど。

(2013年2月3日)

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written by wabisuke hayashi