ENGLISH STRING MINITURES(1)
(デヴィッド・ロイド・ジョーンズ/ロイヤル・バレエ・シンフォニア)


NAXOS	8.550330  1989年録音 833円 John Rutter (ジョン・ラター1945-)

組曲 A-Roving(さすらい)/I Have a Bonnet Trimmed with Blue(青い縁取りのボンネット)/O, Waly Waly/Dashing Away with the Smoothing Iron(アイロン掛けまくり)

Charles Wilfrid Orr -(チャールズ・ウィルフレッド・オール1893-1976)

A Cotswold Hill Tune(コッツウォルド丘陵の民謡)

George Melachrino (ジョージ・メラコリーノ1909-1965)

Les jeux(遊戯)

Peter Dodd (ピーター・ドッド1930-)

Irish Idyll(アイルランド牧歌)

Cecil Armstrong Gibbs(セシル・アームストロング・ギブズ 1889-1960)

Miniature Dance Suite(小さな舞踏組曲) March/Quick Minuet/Graceful Dance/ Sarabande/Jig

Frank Cordell (フランク・コーデル 1918-1980)

King Charles's Galliard(チャールズ一世のガイヤルド)

David Lyon (デイヴィッド・ライオン1938-)

Short Suite Rustic Dance(田舎の踊り)/Gavotte/Aria/Moto perpetuo(常動曲)

Roy Douglas (ロイ・ダグラス 1907-)

Cantilena (カンティレーナ)

Philip Lane (フィリップ・レーン 1950-)

Pantomime(パントマイム) Alla marcia/Andante/Vivace

デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ/ロイヤル・バレエ・シンフォニア(バーミンガム)

NAXOS 8.554186 1996年録音

 購入2005年6月16日となっていて、21世紀に入って人生かなり草臥れてくると、この辺りジミな英国音楽に嗜好一気にのめり込みました。まるで水墨画の色彩、時に快活ではあるけれど、基本静謐落ち着いた味わい支配して、穏健わかりやすい保守的旋律連続します。管も打楽器も入らない、ひたすら弦のみによる淡彩な世界。デイヴィッド・ロイド=ジョーンズはNAXOSにて大活躍のヴェテラン、ロイヤル・バレエ・シンフォニアなんて、ほんまにそんな団体あるんかい?訝るくらいマニアな演奏であります。ふだんはバレエ音楽の伴奏しているのかも。素朴、なかなか味わい深いサウンドであります。音質も良好なのだろうが、ほとんどそんなことを意識させぬ、淡々とした世界が続きました。

 Rutter (ラター)はリズミカルに躍動して、親しみやすい旋律(さすらい)で登場。どれも元曲(民謡とか流行歌とか)あるんじゃないの?どこかで聴いたことあるような・・・「青い縁取りのボンネット」って帽子のこと?これって愛の囁きに聞こえますけど。「O Waly, Waly」は正真正銘スコットランド民謡。ヴァイオリン・ソロの主旋律が泣かせますねぇ。やがてチェロに引き継がれ、アンサンブルは天国的に美しさに涙が出るほど・・・「アイロン」は鼻歌でも歌いながら、楽しげに働くご婦人の姿なのでしょうか。お仕事しているとは思えぬ快活な舞曲であります。

 Wilfrid Orr (ウィルフレッド・オール)の「コッツウォルド丘陵の民謡」も懐かしさ、暖かさでは負けていない。Melachrino (メラコリーノ)の「遊戯」はこどもが駆けまわる風景でしょうか。 Dodd (ドッド)の「アイルランド牧歌」の静謐を聴いていると、英国音楽ってどうしてこんなにウェットに曇っているの?儚げな旋律は長調なのに、妙に悲しげです。

 Gibbs(ギブズ)の小さな舞踏組曲は、まるでWilliam Byrd(ウィリアム・バード 1543? -1623)を連想させるような擬バロック的端正な和声。舞踏といっても古代床しいゆったりと落ち着いたものでしょう。Cordell (コーデル)のガイヤルドは甘美なヴァイオリン・ソロから開始され、いっそうバロックの風情が溢れました。 Lyon (ライオン)のShort Suite(短い組曲)第1曲目「田舎の踊り」というのは、おそらく様式の呼び名と想像され、エキゾチックな付点リズムもややモダーンな印象です。「ガヴォット」はまるでProkofievの「古典交響曲」風、「アリア」は泣けるほど典雅であり「常動曲」は囁くような小走り。

 Douglas (ダグラス)のカンティレーナ(抒情的な旋律)は7:42、このCD収録中最長(つまりどれも短く、人懐こい旋律ばかり)。静謐な深呼吸にて息長く、そっと歌うといった穏健な精神漂いました。Vaughan Williamsの「舞い上がるひばり」に似ております。ラスト、Lane (レーン)のパントマイムは、元気いっぱいの「行進曲風」に始まり、シンプルなアンダンテを経、快活陰影豊かなヴィヴァーチェにて締めくくる・・・あっという間の7分間、ポップな旋律でした。ジミだけど。

(2013年3月1日)


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written by wabisuke hayashi