Dvora'k 交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」
(ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ウィーン交響楽団)
Dvora'k
交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」(1952年録音)
Janacek
シンフォニエッタ(1955年録音)
ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ウィーン交響楽団
VOX Legends VOX7805 8枚組 3,990円で購入したウチの一枚
VOXはかなり買いましたが、ここ最近ご無沙汰気味です。もっとほかに安いのが出てきたし、もとより岡山に売っていないというツラさもある。音質が悪いことを気になさる方もいらっしゃることでしょう。この8枚組は出ていることは知っていたし、メールなどで意見を求められたりしておりました。ようやく、ご近所で発売してくれて手に入ったんですよ。(経費節減を進めたのか、解説がなくなりました)
結論。こんなに楽しんだ「新世界」は久々でした。飽きさせない仕掛けがタップリ有。その前に、この録音に耐えられるかがポイント。奥行きがない。バランスが異常に悪い。突出するパートもある。残響少なく、乾いた音。低音も足りない。それでも、ワタシはそう苦になりませんでした。(いつも例に出す)EMIの骨なし録音より、ずっとよろしい。それに、高音がキンキンしない(劣化しているだけか)のも好感が持てる。
「新世界」〜名曲です。ふだん文句タレのワタシも、この曲には無条件幸福。爽やかな希望に満ちた、ウキウキするような雰囲気。優秀なオーケストラ、整ったアンサンブル、勢いのある演奏で聴きたいもの。ケルテス、セルもヨロシ。バーンスタインのニューヨーク時代の録音も、疾風怒濤のような熱気を感じました。パターネの歌うような旋律も、心から楽しみました。じゃ、ホーレンシュタインは?
まず、オーケストラは上手くない。アンサンブルの乱れはなさけないほど。多分に確信犯的にカッチリとしていなくて、逆に最近こんなん聴かんなぁ、というくらいの味わいに変貌している。ワザと縦の線を合わせていないな、と思えるくらいなんです。異様なるテンポの揺れ、奥の方から聞こえるべき金管が、時々前のほうに突出するし(その響きが妙に薄っぺらい)、ライヴの一発録りのような(へんな)熱気も感じます。
リズムが粘って、ドイツ系の浪漫的・19世紀巨匠風の重みもある。有名なラルゴはテンポが遅くて、イングリッシュ・ホルンの歌にも懐かしさは感じられません。ひきずってひきずって粘り充分。躍動感の少ないスケルツォ、重苦しく、厚みのないフィナーレ。ホルンの音色に魅力がなく、トランペットに切れ味もない。やがてテンポ・アップして暴走する音楽。プカプカと強烈に合いの手を入れる金管。ピッチの悪いクラリネット。見事に鳴らない弦。
これだけクソミソに言っても、なおかつこの演奏は面白い。今まで聴いたことのない内声部がバランスから外れて聞こえてくるし、人間クサイというか、現代では絶滅してしまった熱気とかが感じられて、最後まで飽きさせません。趣味悪いと言われそうだけれど、カラヤンの(流したような、上手い)「新世界」の何倍も楽しい。発見多し。お勧め!
「シンフォニエッタ」との組み合わせは盲点を突かれた気分だけれど、いちおう同郷と言うことでしょうか。なんかのスポーツ大会用の音楽だけれど、猛烈に遅く、おどろおどろしく、スケール大きく、別な曲を聴く思い。3年の違いでウィーン交響楽団は、少々腕を上げたようだけれど、ま、大同小異で、そうそう立派なメカニックでもありません。単に録音状態が改善されているだけかも。
結局、ここでは最後までノリが悪い。「新世界」ほどの発見もありません。
さ、ここまで書いてこのCDを買う勇気が出ましたか?手元に既に所有している方、再度聴き直して、ワタシへの抗議のメールを心より待ちます。@500の価値があるのかどうか、さ、論争だ!
(2001年7月20日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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