Dittersdorfの作品


OLYMPIA OCD405 Dittersdorf

フルート協奏曲ホ短調(1977年録音)
クリステスク/クルージュ-ナポカ・フィルハーモニー/コスティー(fl)

交響曲ハ長調(1984年録音)
ラチゥ/オラディア・フィルハーモニー室内管弦楽団

コントラバス協奏曲ホ長調(1977年録音)
ボボク/アラド・フィルハーモニー/トマージュ(cb)

交響曲ニ長調(1984年録音)
ラチゥ/オラディア・フィルハーモニー室内管弦楽団

OLYMPIA OCD405  $5.99で購入(バブル円高だった頃)

 2003年再聴。以下のはムダのない、というか愛想のない文書でんなぁ。でも、いま聴いてもほとんど感想に変化がない、というか成長がないワタシ。バロックも好きで、Mozart も大好きだけど、その間というか、マンハイム楽派っつうの?ようわからんけど、その辺りはけっこうLP時代からお気に入りでした。朴で、軽快なリズム感もあって。

 このCD、オーケストラが渋いでっしょ。オール・ルーマニア勢です。「クルージュ-ナポカ」って、なんか立派なオペラ・ハウスもある。そのむかし(どのむかし?)オーストリア・ハンガリー帝国領だったとかで、複雑な民族問題もあるみたいだけれど、逆にそういう伝統的音楽的な底流があるのかもしれません。この三団体も意外と言っては失礼ながら、けっこう瑞々しい響きで楽しめました。

 フルート協奏曲は、ちょっとほの暗い旋律が魅力的で、ずいぶんと浪漫的に聞こえるのは演奏スタイル(今風の古楽器系ではない)によるものでしょう。とてつもない細かい旋律頻出で、これはそうとうに難しそうな作品。いえ、演奏する側のこと、聴くほうは存分に楽しい。Albinoniみたいな味わいもある。

 オーケストラは残響豊かで、なんともいえないやわらかさもあります。フルートはのびのびと気持ちヨロしいし、技術的な問題もないが、ベルリン・フィル辺りを想像していたいると、しょうしょうストレート系と感じるかもしれません。

 交響曲が2曲収録されて、やっぱJ.C.Bach 〜そして初期Mozart へ、まっすぐ伝わってくる世界と確信。1984年のワリに音がイマイチというか、アンサンブルがちょっとカタくて、薄いかもね。でも、この楽しさは格別でしょう。ハ長調は3楽章10分ほどだけど、ニ長調交響曲は堂々たる23分4楽章。ティンパニも入っちゃいます。変化に富んだ旋律も堂々たるもの。これ、単純に時代の推移ととらえてよろしいのでしょうか。

 編成だって小さいだろうから、もっと演奏会で取り上げていただけると人気出そうな曲。いかがでしょう。第2楽章の纏綿と切なく歌う旋律なんて、魅力いっぱいと思うのですが。終楽章はHaydn風かな、ちょっとノンビリとした変奏曲になっているんですね。オラディアとはハンガリー国境に近い街とのこと。

 コントラバス協奏曲は、この楽器最高の傑作。(・・・と、自信を持って言えるほど聴いていないか。Vanhalくらい?)これほど、自由自在に、あの図体のでかい、融通の利かなさそうな楽器が、楽しく、ユーモラスに響くなんて!と驚きの連続。トマージュ(ThomasZ)さんの技巧は特筆もの(かなり困難そうなパッセージをいともたやすく・・・)で、ヴィヴラート豊かなその音色には、一種色気さえ漂いました。

 アラド・フィルは、録音を聴く限りCD収録3団体のウチ、一番整ったアンサンブルと思います。(アラドという街はよくわからない。でも日本からの格安航空券はある。いちど行ってみたいもの)ジミだけど、こんな作品はちゃんと聴かなくっちゃ、と反省しました。NAXOSでもARTE NOVAでも、新しい録音がたくさん出ています。(2003年5月1日)

     


 ディッタースドルフは1739年の生まれだから、ハイドンより少し年下で同年代。いい加減な知識しかないけど、このCDの写真が「ディッタースドルフが宮廷作曲家を務めた、オラディアのバロック宮殿」と書いているので、現在のルーマニアとは因縁浅からぬ人なんでしょうか。
 数曲聴いた印象では、どの曲も旋律の美しい楽しい曲ばかり。このCDはルーマニアのエレクト・レコード原盤です。ルーマニアの演奏家は、最近アルテ・ノヴァからずいぶん出るようになりましたが、馴染みのある人はほとんどいません。

 フルート協奏曲は、もの悲しく多彩な旋律。ソロはまずは十全の音色と技術(カデンツァは素敵)で、バックの充実ぶりも意外。完全なロマンティック・スタイルながら、奥行きのある深い響きが出色です。

 ハ長調交響曲は、10分ほどのシンフォニア。曲自体はJ.C.Bach 辺りの曲と似ていて、元気よくシンプルな旋律が明るくて楽しい曲。ハ長調に相応しい広がりもあって、やや能天気でしょうか。オーケストラはもっと緊張感のあるアンサンブルが欲しいところながら、それほど無神経な水準ともいえない。

 ニ長調交響曲は、ハ長調交響曲に比べると陰影があってもう少し深い。アンサンブルのテンションの下がるところが散見されます。モーツァルトにかなり近く、23分かかる本格的な交響曲。

   コントラバス協奏曲は、拾いものの名曲。ユーモラスで、しかもバリバリのテクニックが堪能できます。アラド・フィルのバックも思いの外、しかっりとしたアンサンブル。変幻自在のコントラバスの超絶技巧-細かい音形の妙技、ハーモニクスの軽さ、が頻出して、もう出色の楽しさ。

* 演奏者の読みはまったくいい加減。悪しからず。90年代前半の個人輸入でしょうが、なぜかルーマニア辺りの演奏家に拘って数枚購入している。我ながら不思議。


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi