Debussy 室内楽作品ほか
(ラスキーヌ/ランパル/P.パスキエ/トルトゥリエ/シルルニク/ユボー)


ERATO  WPCS-21066

Debussy

神聖な舞曲と世俗的な舞曲
フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ
チェロ・ソナタ
ヴァイオリン・ソナタ

ラスキーヌ(hp)ランパル(fl)P.パスキエ(va)トルトゥリエ(vc)シルルニク(v)ユボー(p)
パイヤール/パイヤール室内管弦楽団

ERATO WPCS-21066 1962年録音  480円(中古)で購入

 2003年の夏は久々の冷夏。夏休みが終わってから暑くなってへんな天候だったが、フランス音楽をたくさん聴いたような気もしますね。人生も折り返し点を過ぎると、どうも疲れが溜まってきて、好きだった音楽も激しいのは聴けなくなったりします。濃厚な味わいより、薄味を好んだりね。熱狂より、ちょいと醒めた”粋”を。ちょうどこんなCDがピタリ!よくできた選曲だ。季節はもうすっかり秋。

 ま、どの曲も全編耳元でそっと囁いているような作品です。しかも、甘く切ない。一方でアルカイックな味わいも感じます。神聖な舞曲と世俗的な舞曲は弦とハープのみの作品だけれど、上品で動きの少ない「舞踏」でしょう。抑制され気取った「神聖な舞曲」に対して、「世俗的な舞曲」の三拍子には人なつこい微笑みがあります。

 Debussyのフルートは(シランクスにせよ)、日本の古典音楽を連想させますね。古雅で幽玄。パスキエのヴィオラは、くすんだ響きで薄もやが掛かったような音楽効果を作り出します。(ナマでDebussyの管弦楽を聴いていると、ヴィオラの効果的な使い方にいつも感心)フィナーレにおけるおけるハープの荒々しい使い方は新鮮そのもの。

 チェロ・ソナタの切ない旋律は、一度聴いたら忘れられません。セレナードは、まるでブルースのような自由なる展開。フィナーレの軽妙な表情はチェロ作品の常識を破っていると思います。技巧的に難しい曲なのでしょうが、小粋に、鼻歌交じり(風)に弾いていただきたい。トルトゥリエの”粋”に文句なし。

 ヴァイオリン・ソナタはもう少し気取った作品です。シルルニクは控えめな表現で、この作品に限り、かなり甘やかな音色(ボベスコ辺り)で慣れていたので、地味に感じました。この人、基本オーケストラ・マンのはず。この作品に限らず、ソロの雄弁なる自己主張より、サラリとした演奏のほうが曲が映えるのかもね。

 ユボーはフランス系室内楽に欠かせない人です。ソロに寄り添っていながら、しっかりとした主張もあります。リリカルな味わいで、やはり無用に雄弁にならないところがよろしい。お疲れ気味の時によく効く一枚か。(2003年10月11日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi