Debussy 小組曲/Ravel 序奏とアレグロ/
Satie ジムノペディ第1番/第3番(ルイス・レーン)/
組曲「マ・メール・ロワ」(マイケル・ティルソン・トーマス)/
逝ける女王のためのパヴァーヌ(ジョージ・セル)/
ラ・ヴァルス(ユージン・オーマンディ)


SONY SBK63056 Debussy(Henri Busser編)

小組曲

Ravel

序奏とアレグロ(Introduction et Allegro)

Satie(Debussy編)

ジムノペディ第1番/第3番

以上 ルイス・レーン/クリーヴランド管弦楽団(1969年)

Ravel

組曲「マ・メール・ロワ」

マイケル・ティルソン・トーマス/フィルハーモニア管弦楽団(1988年)

逝ける女王のためのパヴァーヌ

ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団(1963年)

ラ・ヴァルス

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(1963年)

SONY SBK63056

 

不遇だったジョージ・セルの弟子Louis Lane(1923ー2016亜米利加)を含む珍しい寄せ集め音源。デリケートに親密、ていねいな仕上げ、小粋静謐な仏蘭西音楽との相性はよろしかったみたい。ほかいくつか聴いたデーハーな作品より相性はこちらでしょう。MTTによる忘れられた音源、往年の亜米利加で活躍した巨匠たちによるちょいと珍しい毛色の作品もムリムリ組み合わせ、オーマンディの豊満かつ色彩豊かなサウンドが際立ちました。(2020年11月「音楽日誌」より)
 CBSコロムビアらしい音源寄せ集めな一枚。ルイス・レーンによるDebussy/Ravel/Satie録音は当時の会社レパートリー穴埋め録音だったのでしょう。ポイントはハープかな?この3作品だけではLP一枚収録いっぱいになりません。未だ隠れた音源が眠っているのかも。「小組曲」のオリジナルはピアノ連弾、 Henri Busser(1872ー1973仏蘭西)はDebussyの友人、長命を保って100歳を超えたのですね。2管編成淡彩な味わいある編曲、小舟にて(En Bateau)はフルートとハープによってゆっくり流れる川の風景が床しいもの(3:43)行列(Cortege)木管の浮き立つようなリズムに乗って、下降するベースが感銘深い。華やかな爆発有。(3:33)メヌエット(Menuet)には木管の仄暗いちょっぴり不安なデリカシー満載。(3:10)バレエ(Ballet)は弦の符点のリズムに乗って華やか、細やかなエンディングを迎えます。(3:14)

 名曲!音質、洗練されたアンサンブル、小粋な風情も文句なしの演奏です。

 Ravel「序奏とアレグロ」は絃楽4部+フルート+クラリネット、そしてハープが貴婦人のような品のあるサウンドを実現します。躊躇いがちの序奏から優雅なアレグロはワルツ、そっと声を潜めて耳元で囁くような、佳い匂いが漂うような妖しい名曲。最高!(8:45)「ジムノペディ」は、なぜか第2曲を編曲してくださらなかったDebussy。これはもうとことんエッチな官能溢れる作品、オリジナルは深呼吸して聴き入ってしまうアルカイックな瞑想作品。著名な前奏曲も連想させます。これはモノクロの映画に淡い色彩を付加したような不思議な世界でした。第1番「ゆっくりと苦しみをもって」 (Lent et douloureux 3:29)第3番「ゆっくりと厳粛に」 (Lent et grave 2:41)目隠しで聴けば、おそらく亜米利加のオーケストラとは気付かぬ繊細かつ正確な演奏でした。

 組曲「マ・メール・ロワ」は1988年録音。Michael Tilson Thomas(1944-亜米利加)がロンドン交響楽団の首席に就任した時期、フィルハーモニア管弦楽団との録音?オリジナルの組み合わせはネットに探せません。(全曲は別途ロンドン交響楽団と録音有)馥郁とした静謐なメルヘン続く 1:57-3:28-3:39-5:20-4:02。前3曲と続けて違和感ない淡い色彩、繊細な演奏。音質も極上。

 問題はここから、CBSが誇る個性豊かな往年巨匠たちの登場となります。レパートリー的にもちょいと違和感を予想させるもの。「逝ける女王のためのパヴァーヌ」はRavelの一番人気でしょう。刷り込みはクリュイタンス、ホルンのヴィヴラートはまるでサキソフォーンのようにエッチに響いたものですよ。録音印象もあるのか、ジョージ・セル引き締まって淡々と細身、品行方正、正確な表現、作品を以て語らせるといった風情でしょうか。(6:21)

 ラスト「ラ・ヴァルス」は御大オーマンディ登場。遠方からの舞踏会の風景が弱音に表現されても、オーケストラの厚み、豊かさはしっかり理解できるもの。やがて音量全開にオーケストラの各パートは華やかに歌って、前5作品の床しい抑制とは異なる世界は豊満に優雅そのもの。賑々しい打楽器の迫力も文句なし。弦のポルタメントも脂粉漂うような濃厚なパワフル・サウンド・・・これはこれでたっぷり作品を堪能させていただきました。(12:36)

(2021年4月24日)

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written by wabisuke hayashi