Debussy 交響的素描「海」/夜想曲
(カルロ・マリア・ジュリーニ/フィルハーモニア管弦楽団)
Debussy
交響的素描「海」
夜想曲
カルロ・マリア・ジュリーニ/フィルハーモニア管弦楽団/合唱団
EMI TOCE-13205/1962年録音
Carlo Maria Giulini(1914ー2005伊太利亜)は、たしか「海」を三度録音して、これは最初の録音。幾度も聴いているはずだけだけど、じつはけっこうな優秀録音でした。
三管編成に6種の打楽器+チェレスタ、ハープ、知らんかったけれど弦はひとつのパートが複数の声部を担当するフクザツな響き、各楽章使われる楽器が異なって終楽章がもっとも編成が大きいそう。それを例の如くまったりマイルドに上品、表情豊かに仕上げてウェット、フィルハーモニア管弦楽団との相性はよろしいと感じます。4年後の素っ気ないけどクールなブーレーズとの録音とはずいぶんと違う。あれはあれで好きだけど。最近聴いた中でのヴェリ・ベスト。
第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」染みるような夜明けの描写。しっとりていねいな仕上げに、よく歌って所謂淡いお仏蘭西風に非ず、よく歌ってニュアンス豊かに刻々と陰影豊かな情景変化。ラストの爆発はオーケストラの技量を物語るもの。(9:31)
第2楽章「波の戯れ」波の動きは木管のニュアンス、金管の炸裂が解像度高く表現されて、テンポの揺れも有機的な説得力。(7:09)
第3楽章「風と海の対話」風雲急を告げて荒れる海。緊張感高まるトランペット先頭に余裕のオーケストラの技量でしょう。やがて平穏が海の景色が戻って、弦の響きも練り上がれられて清潔。やがて緊張感とテンポを高めて圧巻のクライマックスを迎えました。(8:54)
夜想曲も楽章ごとに楽器編成が異なるそう。2-3管編成+ハープ、「シレーヌ」には打楽器がないけれど女声合唱(ヴォカリーズ)が入ります。
「雲 (Nuages)」セーヌ川の上をどんより、ゆっくり低く暗く流れていく雲の描写は天才のワザ。弱音器を着けた弦楽器はディヴィジによって細分化され(ヴァイオリンは第1、第2がそれぞれ6分割、合計12分割/Wikiより)これがなんとも暗槓たる風情を醸し出して、解像度高くニュアンス豊かにデリケートなアンサンブルでした。(8:50)
「祭 (Fetes)」ここにはティンパニ/吊りシンバル/シンバル/小太鼓入って、フルート、弦、金管によりリズミカルな躍動が続きます(変拍子ですか?)。華やかだけど、微妙に哀愁な風情も感じさせて、祭りの行列がやってきました。ラストに向けていったんテンポを落として、徐々に熱狂を高めて圧巻のクライマックスへ。フルートの華やかな音色、金管の浮き立ち方、打楽器の存在感、オーケストラはほんまに上手い。(6:16)
「シレーヌ(Sirenes)」とは希臘神話に登場する海の怪物なんだとか。女声合唱がなんとも妖しい存在感に木管や弦、ハープがそれに絡んで妖しい高揚は続きます。マイルドな金管も申し分なし。申し訳なけど、このニ曲も聴き過ぎてやや食傷気味、久々に説得力のある演奏に新鮮な感動をいただきました。(11:27) (2025年8月23日)
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