Debussy グラナダの夕べ/月の光/パコダ/
亜麻色の髪の乙女/クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲/
小組曲(ジェフリー・サイモン/フィルハーモニア管弦楽団)


Cala IGCD2093 Debussy

グラナダの夕べ(版画より/ストコフスキー編曲)
月の光(ベルガマスク組曲 より/カプレ編曲)
パコダ(版画 より/グレインジャー編曲)
亜麻色の髪の乙女(前奏曲集第1巻より/グライヒマン編曲)
夜想曲(「雲」「祭」「シレーヌ」)
クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲(ジェームズ・キャンベル(cl))
小組曲(小舟にて-行列-メヌエットーバレエ/ビュッセル編曲)

ジェフリー・サイモン/フィルハーモニア管弦楽団/フィルハーモニア(女声)合唱団

Cala IGCD2093 1990年録音

 Geoffrey Simon(1946ー濠太剌利)による一癖ある選曲多彩。彼は管弦楽編曲ものが好きみたいですね。2枚組CDはもう一枚「海」などが収録されます。低音や音場の広がり奥行き、残響豊かに艶のある音質は極上、フィルハーモニア管弦楽団のアンサンブルは緻密でした。

 ゆったりと西班牙のリズムを刻む「グラナダの夕べ」はゴージャスに静謐、官能的な響き(6:33)優しい憧憬を感じさせる「月の光」は切なく馴染みの旋律はいっそう柔らかく、木管によって淡い色彩に充たされたまま大きな盛り上がりを見せます。(5:05)「パコダ」とは仏塔(ストゥーパ)のこと。妖しく大きなリズムが揺れて、ピアノやチェレスタ?ハープ?(自信はない)がキラキラと輝いて感動的。ガムラン音楽を意識したとこと。(5:32)誰でも知っている「亜麻色の髪の乙女」は控えめな弦を主体にしたもの+木管による儚い調べとなります。(3:16)

 夜想曲はオリジナル。鬱陶しくも空が低い「雲」。このリアルに微妙な動きの描写は天才のワザでしょう。弦のニュアンスが微に入り細を穿つ表現の徹底、透明な木管の繊細さ。(8:13)緊張感のあるリズムを刻む「祭」は細かい音形とフクザツなリズムを刻んで、妖しくも華やかな祭りの気分を盛り上げます。ここはアンサンブルの整え方、リズムのノリを両立させるのが難しいところ。フィルハーモニア管弦楽団は上手いですね。(6:13)「シレーヌ」とはギリシア神話に出てくる、海人を美しい歌声に惑わす怪物とのこと。ここは女声合唱と管弦楽のバランスが意外と難しいところ。女声ヴォカリーズと木管の掛け合いも美しく、爽快な広がりと盛り上がりを見せて表現は洗練されておりました。(10:22)

 クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲には名手James Campbell(1949-加奈陀)登場。懐かしい旋律に、わずかなヴィヴラートも床しいクラリネットが、かなり存在感を見せてデリケートに、低音から高音まで上品に、スムースな技巧に歌います。幾種も聴いてきた作品だけど、こんなにソロが浮き立つ演奏は初めてかも。ラスト、かなり力強く、アツく盛り上がって終了。(8:48)小組曲のオリジナルはピアノ4手連弾、現在ではHenri Busser(1872ー1973仏蘭西)のほうが馴染みでしょう。初めて聴いたのはエルネスト・アンセルメ(1961年)世の中にこんな美しい、名残惜しい音楽があったのか! そんな感激も蘇る爽やかなサウンド。リズム感の良さ、弦の透明なこと、木管が際立って清潔に感じました。 賑々しい盛り上がりもたっぷり。(小舟にて3:43-行列3:02-メヌエット2:55-バレエ3:08)

(2023年9月23日)

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written by wabisuke hayashi