Debussy/Ravel 管弦楽曲集
(クリュイタンス/フランス放送管弦楽団)
Debussy(Caplet編)
おもちゃ箱
こどもの領分(以上1954年録音)
Ravel
クープランの墓(1953年録音)
高雅で感傷的なワルツ(1954年録音)
アンドレ・クリュイタンス/フランス放送管弦楽団
TESTAMENT SBT 7247-CD3 7枚組4,980円で購入したウチの一枚
2003年の夏は梅雨の延長のような、盛り上がらない冷夏でした。例年、この時期には音楽への集中力を失ってゴロゴロしてます。もうBeethoven 、Brahms はまったくダメ。そもそも交響曲は、いずれどんな作曲家でもちょっと夏にはツラいもの。ピアノ曲なんかよかったかな。Ravel をずいぶん聴きましたね。ああ、Bach も。ロザンタールの二枚組(Ravel 、Debussy各々。ACCORDレーベル)がとても良かったので、フランスものはたくさん耳に入りました。
クリュイタンス「A French Collection」7枚組は2002年に購入〜ひさびさ、ああ欲しい!と思ったBOXでしたね。LP時代に散見していた音源もあって懐かしく、すべて75〜79分収録というのも嬉しい。ま、いかにも、という演奏連続で期待を裏切らない、つまり、繊細で、セクシーかつ上品であり、構成がしっかりしているのに、強面のところが一切ない、ということなんです。静かな微笑みが絶えません。
「おもちゃ箱」は原曲を知らないので、こんなもんか?という感じ。ユーモラスで馴染みの旋律(いかにもDebussy風?)がなんども出てきます。こうしてみると(当たり前の話しだけれど)Ravel とDebussyの違いは歴然で、なんと自由奔放なことか。チェレスタ(?)/ピアノが大活躍。
「こどもの領分」は印象一変。原曲の価値とは比べられないが、これはこれで賑やかな楽しさが溢れます。「ゴリウォークのケーク・ウォーク」なんてお祭り騒ぎですよ。(ホルンの怪しいヴィヴラートが魅力的)
Ravel の緻密で怪しい美しさは、ワタシはブーレーズの怜悧な表現でこそ、と考えております。「クープランの墓」は、ワタシ第一番のお気に入り。冒頭の前奏曲のオーボエがクルクル回りだすでしょ?アンサンブルをきっちり揃えていくのは至難のワザじゃないのかな。クリュイタンスにはそこはかとない色気とノリが・・・そう、流れ出すような(でも静かな)勢いがあって、芳香(脂粉?)が漂うな演奏です。
アンサンブルもリズムもきちんと刻んでいるのに、この夢見るような甘さはなに?オーボエのオツにすました音色、フルートも明るく華やかなこと。「リゴードン」は抑制が利いて、しかもウキウキした感情が走ります。「ワルツ」は、わざとガチャガチャとお下品に開始するんですよね。でもね、あとはまさに「高雅で感傷的」〜というより「優雅でソフィスティケイト」か。洗練され、ゆったりと余韻が漂うような表現。
EMI系の録音にはずいぶんと苦しんできたけど、これはずいぶんと聴きやすい音質。TESTAMENTの復刻技術に感謝、ですね。1950年代の録音はピンキリで、どうしようもない戦前風水準から、優秀なるステレオ録音まで揃いますからね。奥行きとか艶には少々不足するが、これだけ鮮明だと文句なし。
・・・ああ、美しい音楽だなぁ、なんて考えつつ、名残惜しく音は消えていきました。(2003年10月24日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】
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