Corelli 合奏協奏曲集 作品6(フランツ・リスト室内管弦楽団)


Corelli

合奏協奏曲 作品6全曲(12曲)

ヤーノシュ・ローラ(v)/フランツ・リスト室内管弦楽団/コスティヤル(v)フランク(vc)ペリティス(cem、org)

HUNGAROTON HCD12376-77-2 1980年頃録音 2枚組 $4.99ほどで個人輸入

 2004年再聴です。昔馴染みのフランツ・リスト室内管弦楽団だけれど、ネット検索してみると、膨大なる録音があるようであり、一方でなかなかCDを手に入れることは難しくなっているようでもあります。なんども(最近も)日本にきているようですね。現役の団体か。録音情報は定かではなくて、(p)1982西ドイツ製となっているから1980年頃のデジタル録音らしい。以下の拙文を見ると「LP時代はイ・ムジチの3枚組で楽しんだ」と書いてあるが、今となっては記憶なし。でも、たしかに細部まで旋律は記憶しております。

 久々、聴いてみると爽やかな気持ちになりますね。ああそうだ、作品6-4 ニ長調が大好きで、ヴァイオリン・ソロが追いかけっこをしているような、息もつかせぬ晴れやかな表情はいかがでしょうか。(こんなパターン多いですよね。あれ?↓にも同じコメントがある)そうだ、ワタシはCorelliのヴァイオリン・ソナタ集(全12曲。ラストは有名なる「ラ・フォリア」)なんかが気に入って、いつもいつも聴いていたっけ。グリュミオーのだったかな。Vivaldiの底抜けの明るさも楽しいけど、Corelliの躍動感溢れる作品にはいっそう胸を熱くさせる魅力があります。

 現代楽器で、技術的には文句なし。「歯切れの良いリズムで、コレルリに相応しい、弾むような楽しさは表現されています。ローラを中心とするソロの技量も文句なし。ややクールでコクのある音色、おそらくは同門と想像されるメンバーの均一した水準の高さ」〜その通り。しかし、数年前のワタシは厳しい評価をしております。「音色がイタリアしていない。やや硬質の個性ある音色は、生真面目すぎてやや堅苦しい。明るさ、自発性、即興性、勢い、みたいなものが欠けています」〜なに言っているんだか。

 今のワタシなら、適度な残響感(音像がぼやけない。優秀録音)に、ハリのあるアンサンブルが映えて、少々クールなスタイルに賛辞を惜しみません。おそらくは、これ以上の集中した弦楽アンサンブルは久しく聴いたことはない。「音色がイタリアしていない」って、きっとアーヨ/ミケルッチ時代のイ・ムジチのイメージなんでしょ。リラックスしてはいないが、それこそ生真面目に、性格に、ていねいに旋律を歌ってくださって、よけいな飾りがない。「やや硬質の個性ある音色」〜これが個性なんです。

 オルガンが効いてますね。「ずいぶんと地味で目立たない」とかつてはそう思ったが、いえいえそんなことはない。ゆったりと静かなところで、奥行きを作り出します。「ノリノリの躍動感」とか「いっぱい装飾音」を!なんて、かつてはそう望んでいたけれど、この端正なる華美に走らない(つまり美音を売り物にしない)響きは地味ではあるが、だからこそ長く聴き続けて飽きがこないものです。重すぎず、適正を感じさせるテンポ感もちゃんと有。

 ほかのCDを、と当時考えていたらしいが、4年間、とうとう出会いはありませんでしたね。お気に入りのCorelliだから、出物があれば入手せぬはずはない。ヴァイオリン・ソナタ集、トリオ・ソナタ集も買う機会を得ません。このCDを大切に、しばらく出会いを待ち続けましょう。(2004年5月14日)


 最近、CLASSIC音楽ではどの辺りの曲が人気か」は、よくわからなくなりました。ナマの演奏会もそんなに行く機会はないし、CDもこれといった人気曲、というのが感じられない。コレルリはLP時代、もうすこし人気があったような(とくにこの作品6の8番ト長調「クリスマス協奏曲」〜そういえばストコフスキーの録音もあったなぁ)記憶もあるのですが、最近、新しい録音は出ていますか?

 フランツ・リスト室内管も、少なくとも録音ではここ最近消息を聞きません。現代楽器の室内管は、むかしほど大切にされていないかんじ。ハンガリーの実力派で、録音もたくさんあるはずです。この曲集は昔からワタシのお気に入りで、LP時代はイ・ムジチの3枚組で楽しんだもの。

 ワタシ、イタリア・バロックに限らず、バロック音楽には目がないほうでして、ヴィヴァルディも悪くないがアルビノーニの旋律がお気に入り。コレルリは躍動感溢れるリズムが最高です。(とくにこの作品6の4ニ長調協奏曲)腕利きのソロたちの掛け合いは、楽しい緊張感が押し寄せるようでウキウキしてしまいます。

 リスト室内管の演奏は、正直云って評価が難しいところ。

 アンサンブルが充実していて、じゅうぶん瑞々しい響き。歯切れの良いリズムで、コレルリに相応しい、弾むような楽しさは表現されています。ローラを中心とするソロの技量も文句なし。ややクールでコクのある音色、おそらくは同門と想像されるメンバーの均一した水準の高さ。

 録音も適度な残響と奥行きがあって、悪くありません。でも、この演奏、なんかちがう。音色がイタリアしていない。やや硬質の個性ある音色は、生真面目すぎてやや堅苦しい。明るさ、自発性、即興性、勢い、みたいなものが欠けています。暗いというわけではないが、イタリアの一点の曇りもない青空ではない。

 通奏低音も、チェンバロとオルガンを使い分けて工夫されていますが、ずいぶんと地味で目立たない。どこをとっても、悪い演奏ではないし、それなりに楽しめますが、コレルリにはもっとノリノリの躍動感を求めたいもの。使用楽器にはこだわりませんが、ここ最近の古楽器系のいっぱい装飾音がついた演奏は一度聴いてみたいもの。

 けっして水準の低い演奏ではないし、この曲のイメージを壊すようなものでもありません。きっとハンガリーは、イタリアより少々日の当たりが悪くて寒いのでしょう。気候の違いが反映しているのかも。この曲はこのCDしか持っていないので、安くて良い演奏があったら教えて下さい。

(2000年4月22日更新)


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written by wabisuke hayashi