コンセルトヘボウの花束(Concertgebouw Lollipops)


Decca-Eloquence 4825650 Schubert 軍隊行進曲第1番ニ長調(パウル・ファン・ケンペン)
J. Strauss I ラデツキー行進曲(パウル・ファン・ケンペン)
Clarke トランペット・ヴォランタリー(エドゥアルド・ファン・ベイヌム)
Nicolai 歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲(エドゥアルド・ファン・ベイヌム)
Thomas 歌劇「ミニヨン」序曲(エドゥアルド・ファン・ベイヌム)
Grieg 2つの悲しい旋律 作品34「傷ついた心」「晩春」(エドゥアルド・ファン・ベイヌム)
Berlioz 序曲「ローマの謝肉祭」(エドゥアルド・ファン・ベイヌム)
Sibelius 交響詩「フィンランディア」作品26(エドゥアルド・ファン・ベイヌム)
Glinka 歌劇「ルスランとリュドミュラ」序曲(ベルナルト・ハイティンク)
Rismsly-Korsakov 序曲「ロシアの復活祭」 作品36(イーゴル・マルケヴィッチ)
Bolodin 歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」(イーゴル・マルケヴィッチ)
Verdi 歌劇「運命の力」序曲(ベルナルト・ハイティンク)
Berlioz 歌劇「ヴェンヴェヌート・チェルリーニ」序曲(ベルナルト・ハイティンク)
Franck 交響詩「アイオリスの人々」(ウィレム・ヴァン・オッテルロー)
Saint-Saens 死の舞踏(ベルナルト・ハイティンク/ヘルマン・クレッバース(v))
Dvora'k スケルツォ・カプリチオーソ(ベルナルト・ハイティンク)
R.Strauss 楽劇「ばらの騎士」作品59より第1ワルツ/第2ワルツ(オイゲン・ヨッフム)
Elgar 行進曲「威風堂々」第1番(アンタル・ドラティ)
Sousa 行進曲「忠誠」(アンタル・ドラティ)
Sousa「星条旗よ永遠なれ」(エドゥアルド・ファン・ベイヌム)

アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

Decca-Eloquence 4825650

 コンセルトヘボウ管弦楽団縁(ゆかり)往年の指揮者によるPHILIPS音源(1950−60年代中盤か)を集めたCD2枚の企画もの。若い世代さておき、往年のファンには堪らぬコンピレーション・アルバムでしょう。存命なのはBernard Haitink(1929ー)のみ、現役最長老の一人。エドゥアルド・ファン・ベイヌム以前はモノラル+一部ステレオ、それ以降はステレオ録音となります。音質はまずまず良好揃い。Paul van Kempen(1893ー1955)は阿蘭陀出身独逸国籍の往年の指揮者、独墺系硬派な録音が残って、こんな軽快な小品は珍しいかも。ゴリゴリとした骨太な重量感は時代を感じさせました。

 Eduard van Beinum(1901ー1959)はメンゲルベルク(Willem Mengelberg, 1871ー1951)の後を襲ってコンセルトヘボウの音楽監督を務めたのは1945-1959年、実際は1938年より首席指揮者であった由。モノラル〜ステレオ初期に大量の録音が残って、その辺りの音源は廉価盤LPに多く採用されて、子供時代〜若い頃から彼の名はお馴染みでした。ロンドン・フィルとかロサンゼルス・フィル、海をまたいで活躍して残念(当時は飛行機も遅かったことでしょう)60歳前に急逝したのは痛恨。前任の濃厚デフォルメ表現とは対極、モダーンでスッキリとした表現と濃密なサウンドが両立してお見事であります。Grieg辺り繊細なニュアンスたっぷり、「フィンランディア」は豪快な躍動があって、この人はSibeliusを得意としておりました。

 ハイティンクの前にIgor Markevitch(現ウクライナ出身1912ー1983)の件、この人は18歳コンセルトヘボウを指揮してデビューとは知りませんでした。この人は数多い録音とは裏腹にメジャーオケのシェフ経験が少なくて意外、露西亜系音楽を得意として、ここでもキレのある色彩豊かなリズム感、明晰な解像度表現は時代の先鋭を走っておりました。「だったん人の踊り」は合唱入(←これが充実して、管弦楽とのバランスもよろしい)自分はこの演奏が刷り込みとなります。

 我らがハイティンクが前任の急逝を受けてコンセルトヘボウの首席に抜擢されたのが1961年、31歳の若さでっせ。ご存知のようにこの人は常識的オーソドックスな表現のまま徐々に成熟していったけれど、前任に比べあきらかに音が軽い、線が細い感じ。これは彼の個性でもあり、時代の流れもあるのでしょう。「ルスランとリュドミュラ」序曲はムラヴィンスキーが念頭にあると物足りないですか?著名な序曲集もバランス感覚に溢れて素直過ぎ、ややおとなしい感じ。若い勢いがあって悪くないけどね。彼の魅力を発見したのは1980年台ウィーン・フィルとのBruckner辺りから、世評もそんな感じ、以前の録音も見直された流れと思われます。「死の舞踏」には懐かしいHerman Krebbers(1923ー)の名前が・・・このオケには著名なソロ級のメンバーがゴロゴロしておりました。ちょっと常識的でオモロない演奏かも。「スケルツォ・カプリチオーソ」はユーモラスなリズム感が愉しく、冒頭のホルン先頭にオケの技量は最高、若々しい”軽さ”も悪くないもの。

 ハーグ・フィル(レジデンティ管弦楽団)を長く率いたWillem van Otterloo(1907ー1978)は年功序列から考えると本来ベイヌムの後任だった人でしょう。手兵を率いてコンセルトヘボウ(会場)ライブも数多く音源が残っております。ここではややマニアックなFranckの初期作品のみ収録。妖しくもしっとりとした優雅な風情漂って語り上手、サウンドにコクがありました。

 Eugen Jochum(1902ー1987)が若きハイティンクと共同首席を務めたのが1964年迄。就任当時未だ59歳だったけれど、昔はヴェテラン扱いやったろなぁ、きっと。時代がちゃいまっせ。独墺系に実績もあった人だし。最晩年に至る迄(このオケで)Brucknerの立派なライヴ音源がありました。R.Straussの脂粉漂う華やかなワルツは、おとなしいバランス感覚なハイティンクとは明らかに異なる個性、ヴィヴィッドな表情、例の如し高揚した煽りもあって緩急陰影たっぷりな表現、間の取り方、ルバートの上手さも堂に入ったもの。この辺りはヴェテランのワザでしょう。

 Antal Dorati(1906ー1988)もこのオケにしばしば客演していたのでしょう、少なくない録音が残されておりました。この2曲は「行進曲集」みたいなアルバムが存在したのか、じっくりとした足取りな「威風堂々」、賑々しい「忠誠」。ラストがベイヌムによる亜米利加讃歌とはひねりが効いた締め括りでしょう。思いっきりゴージャスな響き+ノリノリのリズムでした。

(2018年4月22日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi