Command Spectaculars
(スタインバーグ/デルヴォー/ヴァンデルノート)


 RD035 Berlioz

ラコッツィ行進曲

ウィリアム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団

Debussy

夜想曲より「祭り」

ピエール・デルヴォー/コンセール・コロンヌ

管弦楽のための映像より「イベリア」街の道と田舎の道/夜の薫り/祭りの日の朝

アンドレ・ヴァンデルノート/パリ音楽院管弦楽団

Saint-Sae”ns

フランス軍隊行進曲(「アルジェリア組曲」より)

J.Strauss U

常動曲/トリッチ・トラッチ・ポルカ

Wagner

ワルキューレの騎行

ウィリアム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団

Rimsky-Korsakov

スペイン奇想曲アルボラーダ/変奏曲/アルボラーダ/シェーナとジプシーの歌/アストゥリア地方のファンダンゴ

ピエール・デルヴォー/コンセール・コロンヌ

Tchaikovksy

イタリア奇想曲

アンドレ・ヴァンデルノート/パリ音楽院管弦楽団

Command Recrording RD035 1960年頃?録音

 最近やや忘れられた往年の名指揮者 William Steinberg(1899ー1978独逸→亜米利加)、Pierre Dervaux(1917ー1992仏蘭西)、Andre Vandernoot(1927-1991白耳義)による、米Commandによる優秀録音から名曲寄せ集めてネットより入手した音源。最近のハイグレードに非ず、.mp3/320bpsでも充分現役で聴ける水準でした。

 ラコッツィ行進曲は泥臭い洪牙利の民謡とか、スタインバーグのストレートな表現と圧巻パワフルな金管がマッチして、元気のよろしい熱気ある開始となりました。(4:32)Debussy 「祭り」はざっくりととした流れと小粋な雰囲気といったイメージのあるデルヴォーの担当。浮き立つような変拍子と軽妙に華やかな管楽器が乱舞して、亜米利加のオーケストラに比べて微妙な”軽さ”、”細さ”が優雅でしょう。(6:18)「イベリア」は若い頃注目されて、その後あまり活躍を伺えなかったヴァンデルノートによるもの。時にアンサンブルが厳しかったと云われるパリ音楽院管弦楽団はさすがお国もの、コンセール・コロンヌと比べると厚みがぐっと増しております。カスネットが浮き立って、木管の色気が香るような躍動がノリノリ。金管の色彩も亜米利加とはまったく違って、朗々と明るくと華やかに歌います。(6:37-11:28)

 行進曲など元気のよろしい作品はスタインバーグ担当。「フランス軍隊行進曲」は意外と生真面目にしっかりと縦線の足並みがそろって、アンサンブルは優秀(4:12)「常動曲/トリッチ・トラッチ・ポルカ」スタインバーグがウィーンの音楽?そんな心配をよそに、きっちりとていねいに細部描き込んで生真面目、それはそれで喜ばしい愉しいユーモアに溢れるもの。二曲続けて演奏されます。(5:23)「ワルキューレの騎行」はピッツバーグ交響楽団の強力金管(とくにホルン)爆発、このテンションは仏蘭西チームではアカンでしょう。このオーケストラは世評以上に技量は高いと感じます。(4:42)

 「スペイン奇想曲」はデルヴォー担当。コンセール・コロンヌの木管はパリ音楽院以上に(エエ加減な)仏蘭西の香気いっぱい、管楽器がソロを執る時の味わいある音色が愉しみ、ホルンの軽いヴィヴラートは思いっきりエッチでっせ。各パート、ソロは勝手に演って(自己主張して)いる感じ、アンサンブルが微妙にユルくて(縦線が合っていない)雰囲気や流れ、勢いで聴かせるのも期待通り。西班牙の民謡、賑々しいリズム満載の名曲は思いっきり愉しくて、Rimsky-Korsakovの管弦楽技法は鮮やか。ラスト、のりのりのファンダンゴはお祭り騒ぎ。。(15:01)

 ラスト「イタリア奇想曲」冒頭のトランペットによるファンファーレはさすがに華やか!弦による憂愁な露西亜風旋律も神妙に深みが感じられるもの。ヴァンデルノートの統率は立派ですよ。その旋律を引き継ぐ軽い木管がいかにも仏蘭西風に明るい魅惑、やがてテンポアップしてタランテラのノリや流れは優雅そのもの。縦線がきっちり揃うことがすべてではないけれど、その辺り少々甘いのは仏蘭西の個性でしょう。熱狂的なクライマックスを迎えて、しっかりタメも有、伊太利の明るい陽光への憧憬を表現してくださいました。(15:50)

(2022年10月22日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi