Cimarosa 序曲集第1集
(アレッサンドロ・アモレッティ/ニコライ・エステルハージ・シンフォニア)


NAXOS 8.570508 Cimarosa

歌劇「ヴォルドミーロ」序曲/歌劇「ストランバ男爵夫人」序曲/歌劇「伯爵の奇行」序曲
歌劇「秘密の結婚」(ウィーン版)序曲/歌劇「不誠実な誠実」序曲/歌劇「ドン・カレンドリーノの帰還」序曲
歌劇「大工」序曲/歌劇「クレオパトラ」序曲/歌劇「饗宴」序曲/
歌劇「太陽のおとめ(イダリーデ)」序曲/ 歌劇「信じやすい人」序曲/歌劇「みじめな劇場支配人」序曲

アレッサンドロ・アモレッティ/ニコライ・エステルハージ・シンフォニア

NAXOS 8.570508 2000年録音

 油断すると狭い嗜好の範囲内に音楽を聴きがち、見聞を広げるよう日常努力が趣味を息長く続ける鉄則と考えております。

 ドメニコ・チマローザ(Domenico Cimarosa, 1749-1801)はナポリ出身の作曲家、我らがMozart が1759-1791だから、その活動時期はほぼ重なっております。歌劇「秘密の結婚」は一番有名らしいけど未聴、オーボエ協奏曲(編曲もの)とか美しいレクイエムくらいかな、聴いたことがあるのは、ま、ほとんど初耳ということでっせ。NAXOSは意欲的に珍しい序曲集をCD3枚分出してくださって、その文化的寄与は計り知れません。アレッサンドロ・アモレッティ(Alessandro Amoretti)は伊太利亜の指揮者らしい。オケはNAXOS専用?録音用ハンガリーの団体、モダーン楽器による溌剌達者なアンサンブルを聴かせております。弦も管もマイルドに響いて、音質もちろん良好。

 Mozart は別格として「序曲集」とのはどーも中途半端というか、隔靴掻痒的印象になりがち。オペラ・ド・シロウトのワタシでも(例えば)彼(か)の勇壮なる「マイスタージンガー」第1幕への前奏曲を聴いたら、合唱が続かないことに違和感ありますもの。さて(すべて)初耳Cimarosaの歌劇「ヴォルドミーロ」序曲始まったら・・・これは・・・Mozart クリソツじゃないの。軽快軽妙に躍動してノリノリの世界。途中、木管による暗転も風情が似ております。わずか4分也。歌劇「ストランバ男爵夫人」序曲だって”軽快軽妙に躍動してノリノリ”なのは同様、オーボエの朗々としたソロが印象的ですね。吹き上げるような愉悦に溢れて、途中思わぬ転調は新鮮そのもの。こちらはティンパニがないのかな?狭い範囲の知識イメージでは、Mozart の愉悦に+Rossiniの疾走をプラス、ってイタリア・オペラ伝統の流れなんでしょう。J.C.Bach のシンフォニアも連想しました。6:16。

 歌劇「伯爵の奇行」序曲はもっと快速、しゃくるような弦の上方旋律はRossiniそのものと云った感じ。突然テンポ・ダウンしてオペラ・アリア風旋律が登場、このままテナーが歌い出しそうな・・・と思ったら冒頭の快速疾走が戻る3:27。歌劇「秘密の結婚」序曲(版がどーのという所為はいっさい理解不明)ティンパニを伴う短い、立派な序奏はちょっぴり「魔笛」を連想させ、やがて主部はティンパニの活躍が続き、やがてオーボエの朗々華やかな歌に導かれ、愉しい物語が始まる期待に溢れました。堂々たるスケール、時に急な転調、暗転が旋律サウンドに鮮度を加えます。6:00。Cimarosaってオーボエが好きだったのかも。最終版のアッチェレランドも決まっております。

 歌劇「不誠実な誠実」序曲は、ほとんどMozart の初期中期の交響曲風。ここで初めてホルン登場か?サウンドに深みが出ますよね。人懐こい旋律は”軽快軽妙に躍動してノリノリ”って、どれもそうなんだけど、この幸福感!飽きませんよ。途中、ちょっぴり遠慮がちに暗転が出現するのはパターンだけど、この辺りMozart だったら暗転に崩れてとことん変貌、元に晴れやかな表情に戻る対比はもっと大胆でしょう。5:26。歌劇「ドン・カレンドリーノの帰還」序曲はややテンポ・アップ。Mozart の初期中期の交響曲風開始なのは同様です。9:11はこの一枚収録中長い方で、途中曲調が変わってテンポ・ダウン、このまま歌参入を期待・・・というのは「伯爵の奇行」と同じパターンでしょう。もう一回風情が変わって場面転換、まるでオペラの予告編みたいな組曲風。

 歌劇「大工」序曲。7曲目に至ると声が恋しくなる・・・ワン・パターンとか旋律に霊感が足りんとは思わぬけれど、”軽快軽妙に躍動してノリノリ”パターンが続いておりますから。ここは中間部の哀愁の旋律(弦)+木管の可憐な相の手が素敵〜ここからムリムリ元気に戻るところもいつも通り、エエ感じ。5:25。歌劇「クレオパトラ」序曲は、古代エジプトに題材を取っているせいか、冒頭序奏は荘厳な感じ。ホルン登場、やがて快速な主部に入っても練り上げられた旋律は、いっそうMozart に接近した印象です。弦の細かい旋律は厚みのある管楽器に支えられて立派、色彩も豊かでしょう。4:21。これはいっそう本編の歌を聴きたくなりました。

 歌劇「饗宴」序曲歌劇「ドン・カレンドリーノの帰還」序曲と並ぶ9:12の長さ、「魔笛」をうんと短くしたような序奏は2度登場、躍動する弦が疾走します。この辺り「Mozart でも聴く?」なんて目隠しだったらきっと信じることでしょう。例の如し歌謡的にゆったりとした旋律が中間部に登場、おそらく本編の有名なアリア旋律?そんな想像をしました。オーボエとホルンのからみ合いもスケール大きく、やがてガラリと場面転換、冒頭の軽妙な躍動に戻るのはパターンだけど、多彩な味わいは全曲中ちょっと聴きものかも。

 (ちょっと疲れてきた・・・)10曲目は歌劇「太陽のおとめ(イダリーデ)」序曲。本格的に荘厳な序奏に続き、主部に入ってもいつもより足取りしっかり、スケール大きく、ホルンやティンパニが効いております。編成は一番大きいかも。ここれはフルートが大活躍、”軽快軽妙に躍動してノリノリ”とばかり云えぬ、やや重みと落ち着きもありました。5:34。 歌劇「信じやすい人」序曲。上演機会はもうないだろうけど、この辺り題名がオモロいですね。快速、明るくシンプルな初期Mozart 風、途中暗転もクリソツ。4:53。オーボエにトランペット(なんか違う楽器かも?)入っているかな?4:53。

 ラストは歌劇「みじめな劇場支配人」序曲。Mozart にもSalieriにも「劇場支配人」ってあるから、当時の題材としてポピュラーだったんでしょう。晴れやかな表情に愉悦が躍動しております。編成は弦4部+オーボエ2本というシンプルなもの(と類推)ちょっぴり暗転も登場して優雅な味わいの序曲であります。途中リズムが変わって、テンポを上げて軽妙な風情を加えました。5:18。

 Cimarozaはオペラの人だから、どうしても演奏機会は少ないですよね。交響曲とかじゃないから、演奏会の冒頭に配置したとしても、序曲だけじゃ印象薄いですもんね。初耳印象は天才Mozart も音楽史的な流れの一員なのだな、ということ。耳あたりよく、BGMとしても使える音楽でした。

(2015年12月27日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi