Chopin 「スケルツォ」(ビレット)



NAXOS	8.550362  1990/91年録音
Chopin

スケルツォ第1番〜第4番
即興曲 第1番〜第4番
演奏会用アレグロ イ長調 作品46

ビレット(p)

NAXOS 8.550362  1990/91年録音 833円で購入


Chopin

スケルツォ第1番〜第4番
子守歌 作品57
舟歌 作品60

ポリーニ(p)

DG 431623-2  1990年録音  250円で購入(中古)

 ビレットのChopin 全集は収録が徹底しているし、価格も安くて貴重な録音に間違いありません。録音も新しい。ワタシは数枚先にバラ買いしていったので、全曲セットでは購入せず仕舞い。全部集めようかな、と思ったこともあったが、中途半端で止めてしまったんです。演奏に、いろいろと不満を感じることが多くなったせいもありました。

 Chopin は好きだけれど、ここしばらく(一年以上は)聴いていなかったと思います。中古でポリーニのCDを手に入れて(バーンスタインの「トリスタン」を買ったはずが、中を開けたらこれだった)「嗚呼、やっぱりChopin の旋律って素敵だな」とつくづく感じましたね。「ポリーニなんて有名どころを聴きやがって」なんて、言わんで下さいよ。でも、ルービンシュタインも大好きだから、好みは保守的か。

 ワルツが一番のお気に入りだけれど、スケルツォの自由奔放な世界にもドキドキしちゃいますね。これ、やっぱりテクニック的にちゃんとしていないと楽しめないと思います。ビレットは強靱な打鍵、切れ味鋭くて「ドキドキ感」はちゃんとありました。収録曲数も多いし、安いし、これはこれで充分楽しめる一枚。

 でも、不満も有。全体に音がカタくて、切れ味が冷たさ(クール、ではない)につながっています。大音量のところで響きがかなり濁るのもいただけない。鮮明な録音だけれど、デジタル臭があって、これは録音のせいかもしれません。技術的な問題はないように聞こえるが、細部の刻印が不自然というか、リキみが目立つから、もっと肩のチカラを抜いて演奏して欲しいものです。旋律の歌がぎこちない。

 ポリーニの演奏にも不満はあります。どうも上手すぎ、というかキマり過ぎ、といったら良いか、予定調和過ぎる。ワタシのオーディオ問題かも知れないが、ピアノの音色が少々安っぽく聞こえるところもある。でも、クール(こちらは冷たさ、ではない)でキズのない演奏なんです。毎日聴くには、こんな演奏が相応しいのかも知れません。

 ビレット盤みたいに響きの濁りはないし、自然な演奏スタイルも悪くない。嫌いじゃありません。(録音はそう優秀とは思えない)でも、Chopin って、もっと暖かい、ゆったりとした「歌」が欲しいんですよ。「晩年のルービンシュタインは抜け殻」(誰だ!気の抜けたサイダーと言ったのは)なんて言われるが、ワタシはそれを聴いてChopin を知ったし、あんな演奏が好きなんです。(スケルツォは聴いていないが)


   ビレットに戻りましょう。即興曲は、良い意味でやや流していて、スケルツォほどのリキみがありません。録音はピアノの一種特有の色気をとらえて、楽しめる演奏なんです。有名な第4番「幻想即興曲 嬰ハ短調」も、一見流麗な指運の陰に「アク」(独特のアクセント)を感じさせて個性的です。

 「演奏会用アレグロ」は13分以上かかります。スケルツォと同じ時期・場所の録音ではないでしょうか。やや大味で、音の濁りが気になります。実質上、初めて聴く曲でしたが、あちこちに光る旋律を感じさせながら、まとまった印象を持てないのはビレットの責任(ぎこちない〜テクニックではない)かも知れません。(2002年5月3日)


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written by wabisuke hayashi