Chopin  ピアノ協奏曲第1番(チェルネッカ)
演奏会用アレグロ(管弦楽伴奏版 ポンティ)


MEDIAPHON(輸入元TEICHIKU)	MED22.230 Chopin

ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11

チェルネッカ(p)/ペシェク/スロヴァキア・フィルハーモニー

スケルツォ第2番 変ロ短調 作品31

ブルヴァ(p)

葬送行進曲 作品35

シマルフス(p)

演奏会用アレグロ 作品43 (ウィルコミルスキ編管弦楽伴奏版)

ポンティ(p)/シュミット-ゲルテンバッハ/ベルリン交響楽団(旧西)

MEDIAPHON(輸入元TEICHIKU) MED22.230 録音年不明  250円で購入(中古)

 ま、例の如しのPILZ系演奏か勢揃い+ポンティ/シュミット-ゲルテンバッハはVOX音源臭い。Chopin の作品はほとんど一通りCDで揃えているが、ワタシは熱心な聴き手とは言い難いし、ピアノ協奏曲でしょ?たくさん、ありますもんね、手許に・・・ということで数ヶ月ご近所BOOK・OFFに放置してあったんですよ。

 で、散歩がてら週一回の訪問をしたら、このCD、恨めしそうな顔をしてこちらを見ているの。で、ま、可哀想なので手にとって曲目確認したら「演奏会用アレグロ」の管弦楽伴奏版が入っていて、これは「!」でしょ?珍しい。DDDなんて表記になっているが、VOXBOX CDX5064「ロマンティック・ピアノ協奏曲集第1巻」と同じ音源か?と類推。

 有名なる(そして少々食傷気味な〜ワタシににとって)ピアノ協奏曲第1番ホ短調〜チェルネッカ(Ida Cernecka)は、インターネットで検索を掛けるとけっこうヒットするから、実在らしい。CDも意外に出ていて、録音も新しいからDDD表示もウソとは決めつけられません。でも、詳細情報不明。イダ・ヘンデルと同じ名前だからポーランドのピアニストかも。

 これね、スタインウェイでしょ。もの凄くクリアで、ドキドキするくらい美しい音色のピアノ。端正で、華麗で、キラキラ輝くような、微妙にテンポが揺れます。ちょっと感情が高揚するけれど、アツくなりすぎなくて、響きが濁らない。正直、こんなに感じる(この作品の録音では)演奏はアラウ/クレンペラー以来か?あっと驚く拾いものです。コレ。

 なんせ録音も良好。誠実さと、適度な色気と、音色としての洗練された美しさ、リズム(微妙なお国訛りみたいな)へのこだわり、どれをとっても知名度ある演奏に負けません。細部まで明快で、弾き崩しがないのも文句ない。音に芯が感じられるは当然。そう、リキみがないの。肩にチカラが入っていなくて、嗚呼、Chopin のピアノ協奏曲って、こんなに胸騒ぎを覚える作品だったの?と愕然とするばかり。ペシェクのバックは鄙びていて、上手すぎず(ヘタすぎず)ちょうど良いんじゃないの。

 2度3度と聴いちゃいました。いや、ココロ寂しい秋の風情に、甘い旋律がピタリと似合っちゃって、切なくなるんです。なんど聴いても。とくに第2楽章の繊細なる囁きね。終楽章も、そっと語り出すみたい。これ、そうとうお勧め。全39:56也。


 ブルヴァ(この人実在?)の、これまた有名なる「スケルツォ」は存分なる技量でした。でも、これもの凄い演奏がいっぱい出ているでしょ。それに比べると、少々大人しいかな。でもね、実演では(ワタシの数少ない経験で恐縮)音がつぶれたりすることが多くて、ここではていねいで、線の細い味わいも悪くない。

 シマルフスの「葬送行進曲」は、きっとピアノ・ソナタ第2番の録音が存在するのでしょう。縁起でもない曲だけれど、ワタシこの曲相当にお気に入りなんです。息子が小さいときに一緒に見ていた「仮面ライダー」(ブラック?RX?)の、美人悪役ビシュムの最期がこの曲でしたね。

 威圧感がなくて、リリカルな味わい。中間部の極上のやすらぎ感。トツトツとして、ていねいな表現にココロ奪われました。


 さて、期待の「演奏会用アレグロ」です。この曲、ビレットの演奏で存在は知っておりました。(NAXOS 8.550362)なんか、協奏曲になるはずだった作品ですよね。だからこのような編曲版が出てくるのは一理有。でもね・・・。

 正直、チェルネッカの協奏曲が出色の満足感を与えてくださったあとだったので、こちらポンティの演奏は(バックともども)少々流し気味(ちょと切れ味出過ぎ)に聞こえました。音色は輝くよう。彼はテクニシャンではあるけれど、Chopin はそれだけで済むほどヤワじゃない。バックが少々お粗末であることも手伝って、期待ほど感動できなかったのは残念至極。あくまで「期待ほど」ね。

 でも、聴かないで済ませるにはもったいほどの作品でしょ。センチメンタルな旋律が存分に溢れてます。貴重なる管弦楽版伴奏付きの存在に感謝。なにを贅沢言ってるんだか。

 ビレット盤を再聴しました。録音の問題もあるかも知れないが、彼女のピアノは時に音が濁るんです。テクニック的にも、やや強面でギクシャクするところもある。でも、歌心もクセもちゃんとあって、作品46だったらずっと楽しめました。嗚呼、もっとChopin はちゃんと聴かないと。(2002年11月22日)


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written by wabisuke hayashi