Liszt、Stravinsky(チェルカスキー)Liszt ソナタ ロ短調 Stravinsky バレエ音楽「ペトルーシュカ」からの3章 Liszt ハンガリアン・ラプソディ第2番 チェルカスキー(p) NIMBUS NI1748 1985年録音 7枚組3,000円で買ったウチの一枚 チェルカスキー(1909-1995)は、オデッサ生まれのアメリカのピアニスト。手元に1995年のサントリーホールのライヴ・テープがあるから、最後まで現役で通したんでしょう。カラヤンとの録音もあったはず。ジャケットの顔写真が最高で、ガンコ一徹、場末の飲み屋の常連(職業畳職人、その道60年)・・・風な、深い味わいある雰囲気を醸し出して、それだけでも価値がある。 「NIMBUSの組み物が安いですよ!」と、メールいただきますが、じつはワタシもけっこう買っている。(Schubert の歌曲がへんな演奏だなぁ、と思っていたら、社長の余技らしい。なんという悪徳商売。抱き合わせ商法・・・そういうの嫌いじゃいないが)チェルカスキーがこんなに録音を残していたとは知らなかったし、すべてコンサート・ピースそのままで、いわゆる全曲シリーズものはないという徹底ぶり。幅広いレパートリー、そして激安価格。買わいでか。(RSS-廉価盤CD推進協会ご推奨) Lisztは少々苦手です。「前奏曲」くらいかなぁ、聴くのは。ファウスト交響曲やピアノ協奏曲もつまらないし、ピアノ曲は小品がたまに良いのもある・・・・「愛の夢」「ラ・カンパネルラ」の有名どころ・・・と思うくらい。「超絶技巧練習曲」(ベルマン)は買って約10年、いまだにケースから出していない始末。(深く反省) で、名前だけ知っているロ短調のソナタは初耳でした。たしかチェルカスキーはLisztを得意としていたはずで、どっしりとした貫禄と余裕たっぷり、若手にありがちのテクニック先行・ギンギンとは別世界。音色が瑞々しくって、いつもは乾燥しすぎのLisztの旋律がオアシスに変わっている。(というか、初めて聴いたので、ほかとは比較不可能) こんな演奏をさきに聴いていたら、もしかしてLisztを好きになったかも。 このCDのお目当ては「ペトルーシュカ」のほうで、これがもう最高・・・っていうか、じつはヨレヨレ。なんせ76歳の録音でしょ。1970年だったかな、ポリーニのレコードが出たじゃないですか、もの凄く鮮やかで輝かしい極め付き。その後、FMでバビン編曲の2台ピアノ版を日本の若手で聴いたり(テープに録音ってある)で、とにかくこの曲はそんな猛スピードで、バリバリ突っ走っていただくものと信じておりました。 「ロシアの踊り」から、テンポがやや遅くて、揺れるのはテクニックの衰えでしょうね。でも、ここで捨てちゃいけません。音に空虚さがなく、重量感もたっぷり、弾き崩した雑さがない。枯れた味ではなくて充分セクシー。一つひとつの音を確かめながら、諄々と語りかけるような演奏。タッチは豊かで瑞々しく、コクのある節回しは素晴らしい。 この曲に対する先入観が打ち崩されて、妙に説得されてしまう圧倒的存在感。 ハンガリアン・ラプソディ第2番は有名な曲だし、わりと流したような、サラリとした演奏ぶり。切れ味はないけど、技術的にそう危うくもなくて(エヘヘ、そうでもないか)、後半の高音が続くところも無事乗り切っているし、恰幅の良い旋律の節回しも健全。 味わいある芸ですね。こういうのは時代の流れに消えてしまうんでしょうか。
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