Chabrier 狂詩曲「スペイン」/田園組曲/ハバネラ/スラヴ舞曲/
ポーランドの祭り/ラメント/田園前奏曲/楽しい行進曲(エルヴェ・ニケ/モンテカルロ・フィル)
Chabrier
狂詩曲「スペイン」
田園組曲(牧歌/村の踊り/木陰で/スケルツォ=ヴァルス)
ハバネラ
歌劇「いやいやながらの王様」より「スラヴ舞曲」/「ポーランドの祭り」
ラメント/田園前奏曲/楽しい行進曲
エルヴェ・ニケ/モンテカルロ・フィルハーモニー
NAXOS 8.554248 1997年録音
あまり深刻にならず、音楽はシンプルに愉しめるものを〜これが基本と思います。小学生時代に出会った交響詩「スペイン」はまさに”シャンパンの泡”(こどもだったからシャンパンは知らなかった)演奏はアーサー・フィードラー/ボストン・ポップス管弦楽団(17cmLP/ちなみにB面は「グリーンスリーヴズ幻想曲」)こどもの刷り込みは一生モンでっせ。やがてレナ・キリアコウ(p)による絶品「牧歌」に出会ったり、謹厳実直独墺系音楽よりお仏蘭西音楽が好き、というのもこの辺りにルーツあるのかも。フランス・バロックの大家エルヴェ・ニケ(Herve Niquet, 1957〜同世代だ!)は、こんな粋な録音もしていたのですね。もう10年以上前に入手していたCDとなります。(762円也)
そういえばその昔、ポール・パレー辺りから馴染みだったモンテカルロ・フィル(旧国立歌劇場管弦楽団)は、2015年より山田和樹さんが芸術監督就任とのこと。めでたい。
Chabrierのピアノ曲も管弦楽作品も売れ筋「スペイン」を除けば(少なくとも日本じゃ)まったく人気ないと思います。演奏会演目にもあまり見掛けませんもんね(なんせ独墺偏重+せいぜいTchaikovskyばかり)妖しくセクシーなDebussy、精密緻密な色彩を残るRavel は人気だけれど、先輩筋(1841-1894)のほうはさっぱり。ヴィヴィッドな躍動、さっぱりと粋なリズム感、大好きですよ。歴史的音源だったら無料音源もたくさん入手可能、あまり肩肘張らず襟も糺さず、ところどころ”摘み聴き”するのが似合っている音楽かも。
演奏はどれもどこか余裕、ごりごり細部息詰まる神経質な描き込み!に非ず。アンサンブルにユルさ、粗さ、曖昧はないんだけど、明るく優雅な余裕風情漂いました。一番打者は売れ筋No.1「スペイン」の躍動に始まって、作曲者存命中から”こればっか!”状態は変わらぬそうです。あまりテンポを入念に動かさぬ、さらりと華やかな演奏也。ちなみにWaldteufelにワルツ「スペイン」作品236があって、ほとんどそのまんま三拍子に仕上げて愉しさ限りなし。つい数日前、初めてピアノ版を聴いたけど(アレクサンダー・タロー(p))こちらも悪くない。
ピアノといえば絵画風小品集(10曲)〜4曲を編んだ「田園組曲」(演奏順番も変更されている)。「牧歌」の淡々とした風情はピアノのほうが似合って、レナ・キリアコウ(p)はゆったりとしたテンポがまるで名残惜しく過去を振り返るような風情だったことを思い出しました。剽軽なリズムにちょっぴり哀愁漂う「村人の踊り」、静謐な安らぎを感じさせる「木陰で」、ヴィヴィッドなリズムに溢れる「スケルツォ=ヴァルス」はピアノ曲を凌駕して色彩豊かでしょう。気怠い熱気、湿度にゆったり揺れる「ハバネラ」、歌劇「いやいやながらの王様」からの2曲はいかにも華やか壮麗な舞台作品を連想させるスケールがありました。「ポーランドの祭り」出足はまるで「スター・ウォーズ」でっせ。
「ラメント」は題名通りの静謐な「嘆き」美しい「哀歌」であります。「田園前奏曲」も高原に涼風漂って、ゆっくり夕日が落ちていくような落ち着いた風情。ラスト「楽しい行進曲」は独墺系一糸乱れぬ行進から大きく異なって、自由に大街道を練り歩く賑やかなお祭り風です。あちこち列は乱れ、勝手におしゃべりして上機嫌にパレードは続く、といったところ。時としてズドンとした打楽器の乱入、金管の存在感爆発も気紛れ。 (2015年4月5日)
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