Bruckner 交響曲第5番 変ロ長調
(アレクサンダー・ラハバリ/BRTNフィルハーモニー)


Koch Discover International 920430 Bruckner

交響曲第5番 変ロ長調

アレクサンダー・ラハバリ/BRTNフィルハーモニー

Koch Discover International 920430 1996年録音

 Alexander Rahbari(1948−/本名はアリ・ラハバリとのこと)イラン出身のヴェテランはかつてNAXOS、そしてこのDiscoverレーベルに多く録音があって、かなり以前に交響曲第2番ハ短調を聴いていた記憶もあります。BRTNフィル(現ブリュッセル・フィルハーモニック)の首席指揮者(1988−1996)、ザグレブ・フィル(1996-2005)を経、現在はペルシア国際フィル(?)にて活動中・・・閑話休題(それはさておき)

 Brucknerは交響曲第5番、第7番、第8番、第9番がとくにお気に入り、この変ロ長調交響曲は巨大ですよねぇ、ほとんど80分に及ぶ微速前進(いつ終わるかわからん!)チェリビダッケ(1993年)なんて最高。逆に熱気溢れる快速躍動ハインツ・レーグナー(1983/4年/68分)、最近ではカラヤンの悠然ととしたスケール、ベルリン・フィル圧巻の威力、ツボを押さえた演奏(1976年)に感心したものです。正直にカミングアウトするとラハバリの第5番なんて存在も知らず、ネット(youtube)に転がっていた音源也、そんな検索+ダウンロードできるサイトがちゃんとあるんです。恥ずかしながらAAC/96bps(ロジック不明・・・AACの96kbpsとMP3の128kbpsはほぼ同等の音質とのこと)ま、かなりの圧縮ファイルってことなんでしょう。それなりフツウに聴けましたよ。元のは知らんし、版云々はもちろん知識外、ワタシにはいつもの馴染み通りと聴きました。

 第1楽章「Introduktion: Adagio - Allegro」(序奏部:アダージョ - アレグロ)。怪しい低弦ピチカートに導かれて、暗闇の地下階段へ〜そこに立ちはだかる巨大なる障壁!みたいな金管のコラール炸裂、そして(パターンである)ヴァイオリンのトレモロに乗って、ヴィオラ、チェロが第1主題を歌う・・・カッコ良い作品やなぁ、最高。がっりち厚みのあるオケの腕の見せどころでしょう。ブリュッセルのオケが独墺系の重心の低さは期待できないけれど、意外なほど流麗、耳あたりの良いサウンドにスケールはあって、緊張感に不足はないもの。旋律を優雅に歌って、テンポはスムースに中庸、大音量に叫んでも厳つい重量感やら神妙さを感じさせません。テンポの揺れはほとんど呼吸のごとく、大見得のような不自然なところもない中庸。金管の鳴りっぷり、テンションに不満もない、オケの実力は上々でしょう。

 第2楽章「Adagio. Sehr langsam(アダージョ、非常にゆっくりと)」。再び低弦のピチカートによる開始は、闇夜をとぼとぼ歩む風情を連想させます(主題)。やがて優雅な副主題が弦によって滔々と歌われ、それは洗練され、ていねいな語り口に高揚します。金管が入るところは、交響曲第3番やら第7番の第2楽章を思い出させるパターンなのでしょう。語り口はあくまで穏健優美、響きは濁らず、咳いた対比を強調しておりません。ここも大仰な煽り表現はなくて、もっとスッキリとした音質で聴きたかった(弱音に細部不如意な印象有)と思わせるほど、木管の繊細な美しさが映えます。クライマックスに於ける金管の力感も充分。

 第3楽章「Scherzo. Molt vivace, Schnell - Trio. Im gleichen Tempo」(スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ、急速に、トリオ:(主部と)同じテンポで。)Brucknerのキモは「スケルツォ」。ここもテンポ設定は中庸、金管先頭に叫んで走る第1主題と、優雅な第2主題(レントラー)の適度な対比、テンポの移行も自然です。金管の炸裂に不満はないけれど、おそらくオリジナルはもっとキレのある爽快なサウンドと類推します。中間部はほっとするような息抜きになっておりました。この楽章にも、ごりごりとしたいかつい風情はありません。

 第4楽章「Finale. Adagio - Allegro moderato」(終曲。アダージョ - アレグロ・モデラート)しっかりとした足取りはリズム感の良さを物語って、前各楽章のエピソードを振り返ります。やがて金管の荘厳なコラールが呼び水となって圧巻のフィナーレへ〜この辺りの二重フーガってカッコ良いですよね。一連の流れの自然さ、構成感の上手さはラハバリのたしかな手腕でしょう。オケは鳴りきって、響きは濁らず、いかつい硬直感も見られない。これは仏蘭西系のオケの腰の軽さ、響きの明るさなのでしょう。最終版のテンポアップ、高揚も自然な流れ、ラストのアッチェランドにムリはありません。

 意外な完成度。壮絶な深みとか神妙に非ず、耳あたりの良い、爽やかな大曲に仕上がりました。

(2016年1月30日)


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