Bruch ヴァイオリン協奏曲ト短調
(ナタン・ミルシテイン/バルビローリ1942年)
Bruch
ヴァイオリン協奏曲ト短調
ナタン・ミルシテイン(v)/バルビローリ/ニューヨーク・フィルハーモニック(1942年)
Chopin
ピアノ協奏曲第1番ホ短調 作品11
ルービンシュタイン(p)/バルビローリ/ロンドン交響楽団(1367年)
History 205636-303 10枚組 2,286円で購入したウチの1枚
History歴史的録音10枚組のバルビローリには、協奏曲録音が多いのが特徴です。事実上半数以上がそう。ま、著作隣接権をクリアする音源を集めた安易な企画かも知れないが、戦前では「伴奏録音指揮者」みたいな評価だったのかも知れません。トスカニーニ後のニューヨーク・フィル時代の評価は芳しいものではないが、録音で聴く限りにおいてはなかなかの水準と思いました。
やや荒々しいアンサンブルで、テンション高いものもあったし、幻想交響曲や「マイスタージンガー」(ハレ管)のように後年の滋味深いスタイルが、そのまま収録されたものもありました。協奏曲はどれも伴奏上手だけれど、Bruch は出色ですね。なんといってもナタン・ミルシテインの背筋が伸びた、端正なソロが魅力的。なんとなしMendelssohnの添え物〜みたいな印象だったこの曲が変身しましたね。
清潔で上品なるヴァイオリン。テクニックが鼻につかず、粘着質でもない。実に爽やか。朗々と貫禄〜というより、むしろ繊細。適正なるテンポ、走りすぎず、もちろんもたれない。旋律の歌が急かないんです。どこも切々と胸に染み入るような切なさがあって、この曲があまり好きじゃなかった人も、きっと好きに。好きな方はよりいっそう好きになること必定。
バックがね、すばらしい。戦前のバルビローリ/NYPOの充実ぶりを物語る、謡と暖かいアンサンブルのみごとさ。ソロにピタリと合わせて、ほんまに美しい。録音がかなり聴きやすくて、細部まで様子はわかります。どの楽章も快調だけれど、やはり第2楽章アダージョ〜サワサワと風に揺らぐ鬱蒼とした森林のような味わいが、彼には似合う。これでこそ、ナタン・ミルシテインの清廉なるヴァイオリンが生きます。
この10枚組中、一番のお勧め!としておきましょう。何度も何度も楽しみました。
有名なるChopin は、あちこちで出ていた音源です。何故第2番が収録されなかったのかな?ま、これとか、クライスラー辺りで「バルビローリは伴奏指揮者」みたいな印象ができあがったんでしょうか。音質はかなり落ちます。SP収録の都合か、前奏大幅カット有。ルービンシュタイン50歳で、気力充実の頃。もうバリバリ。
硬派のマニアにはステレオ時代の「味わい系」は評判悪いようだけれど、ワタシは大好きなんです。えもいわれぬ、まったりと甘く、しかも正攻法。年輪感じちゃいます。ここではもっとパ〜ンと張った感じがあってね、いかにも若い(って、50歳のおっさんだけど。この人95歳まで生きたから)し、かなり突っ走ってます。
バルビローリらしさは、弱音で静かに歌うところにチョロリ、くらいかな。基本、さばさばしたもんですよ。テンポが速いのはSP収録の制限故か?そのくらいの融通は、プロであるルービンシュタインはしますから。テンション高くて、燃えるようですね。音色は輝くように美しいが、後年の「深み」みたいなものは感じません。
違和感あるような演奏でもないが、好んで取り出すような録音でもないと思うのですが。 (2003年4月18日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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