Bach ブランデンブルク協奏曲第3/2/6/4番(A.デイヴィス+ラレード)


Bach

ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調
マタイ受難曲より「主よ、哀れみたまえ」

アンドルー・デイヴィス/トロント交響楽団/フォレスター(a)/スティーヴン・スターリク(v)

(1985年5月12日ロイ・トムソン・ホール・ライヴ)

ブランデンブルク協奏曲第2/6/4番

ラレード/聖ルカ管弦楽団

(1992年10月13日 カザルス・ホール・ライヴ)

カセットにてエア・チェック→MDへ

 ブランデンブルク協奏曲も「CDが安かったら必ず買う」お気に入り作品です。CDがこんなに安くなる前、しかもFM放送が意欲的なライヴを流してくださっていた頃は「必ずエア・チェックする作品」だった、ということになります。もう数百本のエア・チェック・カセットは、ダンボールごと人に譲ってしまったが、MDではそれなりに保存してありました。そんなこんなの寄せ集めMDの一本。

 アンドルー・デイヴィスの存在を初めて知ったのは、レパード/イギリス室内管によるBach チェンバロ協奏曲集で第2/第3チェンバロを担当していた頃。いまや現役英国指揮者としてはNo.1の人気実力だけれど、この頃はカナダ・トロント響の指揮者だったんですね。これは「第1回グレン・グールド・ピアノ・コンクール」のガラ・コンサート(みたいなもの)の収録でした。

 ブランデンブルク協奏曲第3番ほど、知的でしかも喜びに溢れた作品は滅多に存在しない〜コレ、小学生の時にカラヤンの17cmLPで出会って以来の確信です。A.デイヴィスは自ら通奏低音を担当しつつ、しごくまっとうに、オーソドックスに音楽を進めます。ごくごく少人数の親密なるアンサンブルで、特異なる激しいリズムとか、異様に速いテンポとは無縁でした。それでもこの適度に張りつめた「ノリ」は悪くありません。

 でも、このオケ、特別に美しい弦とは言えない。もしかして会場の音響やら、収録の問題かも知れないが、やや乾いた響きに聞こえます。例えば、二つの和音しか存在しない第2楽章〜これリヒター盤(新)の弦なんか入魂ですよね。こちらはやや素っ気ないか。

 続く「主よ、哀れみたまえ」。名手スティーヴン・スターリクのヴァイオリンがさめざめと泣きながら、フォレスターのしっとりとした歌に絡み合って絶品。LP時代、メンゲンルベルク盤での記憶では、もの凄いポルタメントの嵐、揺れ動くテンポ〜濃厚なる表情に中毒したものです。ここではずいぶんと清楚であり、ひっそりとした哀しみでした。フォレスターはこのとき、たしかカナダ国会議長。いや、まったく堂々たる深淵さ、貫禄。


 ヴァイオリニスト・ハイメ(ジェイミー)・ラレードは、近年指揮者としても活躍していて、録音も存在します。これ、1992年来日時の全曲演奏会の半分ですね。(もう一枚MDに収録してある)自分でヴァイオリン・ソロを取っているかは不明。カザルス・ホールって室内音楽専用なんでしょ?ずいぶんとオフ・マイクで残響が多すぎる印象はあります。

 このオケ、無茶苦茶上手いんですよ、技術的に。どれもけっこう速いテンポでグイグイ進んでいきます。第2番のトランペット・ソロなんて、いや久々に鮮やかでノビノビとした美しい音を聞かせていたいただきました!という感じ。実演の音量バランスを配慮してか、(第2番でも第4番でも)フルートが使われております。もちろん、現代楽器使用。でも、リコーダーではないという不足を感じさせない、控えめな配慮表現もちゃんと有。

 一見(聴)、爽快なる演奏だけれど、この拘りのなさはどういうことでしょうか。ここの楽器はとても見事であって、存分に美しいのに、結果としてできあがった音楽の味わいの薄いこと。楽しげだし、BGMとしては文句ないか。第6番第2楽章のしっとりした味わいも悪くないし、第4番の爽やかさに文句を付けるつもりはありません。

 MDウォークマンでは、逆に音楽集中できず、自宅コンポで「ながら聴き」すると気持ちがよい〜そんな演奏でしょうか。どうも印象が薄い。CDでは出ないだろうから、貴重な録音でしょうか。MD収録に若干の余白があって、J.Gabrieliの「ソナタ18番」(ムジカ・フィアタ・ケルン)が収録されておりました。古楽器だか、鄙びすぎず、当然不必要な切れ味もなく、ちょうどよい味わい。(2003年6月20日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
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written by wabisuke hayashi